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齋藤孝(1960年~)氏は、東大法学部卒の教育学者、著述家。明治大学文学部教授。教育、コミュニケーション、自己啓発などに関わる一般向け書籍を多数執筆。
私は、10数年前に著者の『読書力』(2002年)を読むまで、ビジネス書以外を読む習慣がなかったのだが、それ以降ビジネスとは全く関係のない本を週1冊ほどのペースで読むようになり、著者の言う「読書を“技”化」することができた。(因みに、著者の読書を技化する基準は、文庫100冊、新書50冊を読むことである)そういう意味で著者は私にとって読書の師であるが、人生の数年先を生きている先輩でもあり、本書を手に取った。
本書は、タイトル通り、人生の折り返し地点とも言える55歳から、残された時間をどのように使っていくべきかの提案を綴ったものであるが、そのベースとなっているのは、『論語』の有名な一節を引用した、「55歳の時点で、「天命を知る」(50歳)、「耳順う」(60歳)、そして、「心の欲する所に従って、矩を踰えず」(70歳)、この三つすべて目標にしてみよう」ということである。
そして、時間管理術として、①仕事は社会貢献と考える、②好きなだけ趣味と教養に没頭する、③雑談力を磨いて社交を楽しむ、の3つを挙げて、具体的なアイデアを列挙している。
アイデア自体はさほど目新しいものはないが、著者らしいのは、古今東西の偉人・著名人の言葉を随所に引用している点であろうか。
西郷隆盛『南洲翁遺訓』より、「人を相手にせず、天を相手にせよ。天を相手にして、己を尽し人を咎めず、我が誠の足らざるを尋ぬ可し。」
ニーチェ『ツァラトゥストラ』より、「君は君の友のために、自分をどんなに美しく装っても、装いすぎるということはないのだ。なぜなら、君は友にとって、超人を目ざして飛ぶ一本の矢、憧れの熱意であるべきだから。」
バートランド・ラッセル『幸福論』より、「私たちを自己の殻に閉じ込める情念は、最悪の牢獄の一つとなる。幸福の秘訣は、こういうことだ。あなたの興味をできるかぎり幅広くせよ。そして、あなたの興味を惹く人や物に対する反応を敵意あるものではなく、できるかぎり友好的なものにせよ。」
俵万智『サラダ記念日』より、「「この味がいいね」と君がいったから7月6日はサラダ記念日」(2011年7月6日の自身のツイッターより、「ささやかな日々を記念日で一杯にしてくれる、それが自分にとっての短歌。・・・何でもない日の代表だった七月六日だけど、選んでしまうと特別になる。今日何があるわけでもないのですが。」
『平家物語』の平知盛の言葉、「見るべきほどのことは見つ。いまは自害せん」 等々
最近は、人生後半に入った人の心構えを説く本が少なくなく、著者によってトーンも異なる(例えば、五木寛之氏など)が、斎藤流「人生折り返し後の生き方」もひとつの参考にしたい。
(2020月10月了)
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大学生の頃から愛読していた齋藤孝さんの書籍。たまたまKindle日替わりセールで安売りしていたので購入。
相変わらずとても読みやすくスラスラ頭に入ってきた。
55歳からの時間管理術というタイトルだけれど、何歳にとっても大事なエッセンスが書かれていた。歳を取ればとるほど時間が早く感じてしまう一方、仕事でもゆとりができプライベートでも子どもが巣立っていき暇が増えていく。そういった時に大切なのは教養を磨くこと。
教養と聞くと何か堅苦しく聞こえるけれど、映画だったり趣味だったり、美術館だったり、好きなものに没頭することで視野が広がり、感性が磨かれていくことなのだろう。
今隙間時間を見つけたら勉強勉強と追われていたけれど、心から好きと思えることにもっと時間を使っていきたい。
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著者は以前に45歳が人生の折り返し地点とする本を出したそうだが、著者自身が年齢を重ねて考えが変わったのか今度は55歳が人生の折り返し地点とする本を出したようである。おそらくもう何年か後には65歳が人生の折り返し地点とする本を出すのだろう。そうやって人は老いが受け入れられず、まだまだ自分は若いと思いたいのかもしれない。しかしながら、健康寿命が70歳程度であるなら、本当の人生の折り返し地点は30代後半であって、40歳になったら人生の折り返し地点を過ぎたと考えるのが妥当だろう。という意味で本書は特に55歳だからということではなく、30代後半から読んでも参考になる部分が多少はある。とは言っても、これといった「時間管理術」が書いてあるわけではなく、博学な著者がセレクトした100以上の偉人達のエピソードや名言がこれでもかというぐらい盛り込まれているだけなので、そういったものを手っ取り早く知ることにより、今後の生き方を考えるという読み方が正しいのかもしれない。
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斎藤孝さんの本を読むと、いつも好奇心が刺激されます。いろいろなことをやってみたくなります。本書は55歳に向けた人生論。仕事中心で出世が気になる時期は終了、ゲームセットです。やりたいことをやりたいことの順にやっていきましょう。漱石、孔子、老子、荘子、などの先達の生き方から謙虚に学ぶことも大切。そして何より本書で最もなるほどと感じたのは、55歳を過ぎても、まだまだ新たな人との出会いが新しい喜び、学びをもたらしてくれるということ。変なプライドを持って殻に閉じこもっている場合ではないのですよね。
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この本から得られたことは、時間のマネジメントによって有効な使い方と雑談力
齋藤さんって、このような考え方を持っているんだと知ることができ良かった
評価としては、自分の考えと違うところも多く、三つとさせていただきました
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向上心を持って死ぬまで努力することが、これからの人生でも大切になります。
自分で自分の時間割を決める。2時間程度を1コマとし、予定を入れてしまいます。スケジュールを管理する手帳のほかに1年間ともに歩むノートを作成するのもおすすめあです。
55歳からは、生きている意味を実感することがテーマになります。この世に生きてきて良かったと思える瞬間を増やしていくことが大事です。そのためにはできるだけ力のあるものに出会うことです。
55歳以上な生活の中心は雑談です。雑談力を上げるポイントは手短で
軽やかな発言を心がけることです。一つの話は15秒に納めます。話の内容もできるだけ明るくすることです。
美術展は予習、本番、復習わセットにして考えるとさらに楽しめます。
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孔子「論語」 50にして、天命を知る。60にして、耳順う。70にして、心の欲する所に従って矩を踰えず。