電子書籍
後味が…
2020/03/23 00:13
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投稿者:にゃお - この投稿者のレビュー一覧を見る
最後の最後までのストーリーは良かったんですが、途中女性と諦めというかこう罪滅ぼしのように寝たりのシーンが必要なのかな?とか最後まで迷惑かけてスッと去っていくとかが納得できず…
全体的には好きでした。
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今年に入って、母がしきりに栗本薫さんの話をしてた時期があった。その頃、ちょうどこの本を三省堂書店で見かけ、縁を感じたので読んでみた。
ジャズ界の偉大な先人たちよりも人生経験が乏しいことを気にしながらも、いろんなことを考えながら音楽に向き合う若い主人公。この本に描かれたすべての経験が、これからの彼のジャズを作り上げていくのだろう。
本の帯の「ハードボイルドなのに青春小説でもある」という一文が、この本の内容をよく表してるな…と思った。
一言で言い表せない愛ってあるよね。
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若きアルトサックス演奏者の話。その容姿と才能からいろんな人の関心を集めて、面倒な事件に巻き込まれていく。
主人公に惹かれる人はなぜ惹かれるか理由が説明できないってみんな言う。もちろん主人公自身もなんで自分が好かれいるのか分からず困惑する。
自分とかけ離れた人を好きになるというか、憧れるという気持ちはすごいわかる。宇宙人みたいに何考えてるか分からないから、変に勘繰らなくてすむし、自分の都合の良いように相手を解釈できる。自分にとってまったく理想通りの人って存在しないけど、いるかもしれないって夢見せてくれる相手っていいなって思う。
ここに出てくる人は主人公に夢や理想をみている気がする。
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本物のジャズを希求し、敢えて猥雑なキャバレーに身を置く若きサックスプレイヤー・フルート奏者の矢代。そのサックスの音色に何かを感じ取った暴力団の男・滝川との奇妙な交流から始まる、熱くてクールなジャズ小説。と同時に、世知辛い世の中の思惑に翻弄されるしかない一青年の遍歴を描いた青春小説であり、高尚な魂の求道をストイックにしたためた教養小説でもある。キャバクラに呑み込まれる遥か以前、昭和末期という時代を感じさせる差別用語丸出しの赤裸々な描写も、都会のいかがわしい喧騒を表現するにはぴったり。
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1983(昭和58)年発行、角川書店の単行本。少しこれまでとテイストは違うものの、やはりこの時代を舞台としたと思われる風俗ものには引っかかるものを感じる。話としては、途中のエピソードでなんか必要ないんじゃないかな、と思ってしまうものがあったりする。とはいえラストの決意の部分と「あの人の名前も知らなかったんだ」という独白がかなり効きます。そこへ向かう成長物語としてかなり面白いです。
読んだのは単行本で版違い。初出は『野性時代』1983年8月号。