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岩井志麻子の怪談実話シリーズ最新作。
今作から『今昔物語』を元にした内容。『今昔物語』を現代風に語り直したストーリーは嘘っぽくもあり、生々しくもある。怖いというよりイヤな感じなのは流石だ。
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今昔物語になぞらえて、現代と人の心の暗い闇が炙りだされる趣向は独特で背筋がうっすら寒くなる。現実の事件と虚構の筆の合間を漂う奇妙な浮遊感。このじとじとした6月の湿っぽさは、著者が描くちろちろ燻る男と女の情炎のもの悲しさにぴったり。
一話目の「三の獣、菩薩の~」と六話目の「人妻、死にて~」のラストのせつない後味が鮮やか。だから岩井志麻子は止められない。
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文庫書き下ろしの10短編。
タイトルからも分かるように「今昔物語」からインスパイアされた作品だが翻案ではない。あまりに短編で、深みが足りないが、面白かったのは、霊能力者が未解決の暴行殺人事件の現場で死者の声を聴くと、実は犯人の一人だった自分の声も聞いてしまう最後の話。
ほかに、母親が昔殺された理由が今の団地の売春組織から分かった話。売れっ子歌手と結婚するため、邪魔者を次々殺し、幽霊が出ても平気な女の話。外国でチンピラを殺して、そのまま帰国した男の妻が産んだ子に、チンピラの入れ墨と同じ痣があった話。
ホラー漫画家の姉が殺され、兄が失踪し、兄を外国で見かけた知人が追って開けたドアの向こうは姉が死んだ部屋だった話。落ちぶれた大女優が暴露本を出したが、ゴーストライターのストーカーになり、ライターの家で妻の死体を見つけてしまう話。捨てた女の家に暫くぶりでいって泊まったら、翌朝女はすでに白骨化していた話。
40年前に女子中学生を殺したことを占い師に話したら、実は占い師は妻で殺した時にいたもう一人の中学生だった話。
盗作疑惑の作家に昔アイデアを盗まれ、嫌がらせまで受けたという「被害妄想」の女性の話はよく分からなかった。
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実際には未解決事件であっても
この小説では
必ず 因果は巡ってくる
悪事がそのまま・・ということはないんだと
これは 願望でしょうか?
いえ そうとは思わないんですけどね
きっと何年たっても 巡ってくるもんですよ
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今昔物語集を下敷きに描かれた、じわっと怖い物語の数々。怪談実話といえばそうだけれど、サイコミステリっぽい雰囲気もあります。人間の様々な欲望がどろどろと絡み合う、だけれど、少しくらいは誰にだってこういう邪な思いはあったりもするんじゃないかな、と思えたりも。
お気に入りは「震旦の盗人、国王の倉に入りて財を盗み、父を殺せる話」。もともとの話もなかなかに凄まじいのだけれど、アレンジもそれ以上。「七階」がなんだか怖くなってしまいます。でも読後感はちょっとしんみり。
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かなり面白かった
チョイスしている物語も知らないものも多かった
そこからの着想として、意外な感じは特にないものの、じわじわくるホラー感があるのが良かった
この人の文章好きだ
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タイトルとあらすじ書きでホラーだと思い込んでしまいましたが不思議な風味の混じったサスペンスみたいです。
それぞれの昔話をモチーフに短編のお話が展開されます。でもあんまり昔話に掛かってないしうまいのはタイトルだけと感じた…
売春やら麻薬やら未成年飲酒喫煙だらけな輩系のドロドロでちょっと苦手でした。