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容疑者の過去や周辺を調べ
生い立ちや人格の形成などから
事件への印象を変えていく
という話はよくある
今回は途中から
謎の一人称で語る者が現れ
この辺から強引に終盤に向けて突っ走った
という感じを受ける
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結婚詐欺から人を殺めた容疑者の過去をライターが追いかけるストーリーですが、この小説の本質は、容疑者である児童虐待を受けた幼い姉妹の生き様を描いたもので、社会への警鐘。
謎が明らかになっていくハラハラドキドキの構成は凄いの一言。一気読みです。
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重くて痛い話。
少し前に義理だか実子だかは知らないのですが娘に性的虐待を行っていた父親が無罪になったというニュースを思いだしました。アレはやるせなくてつらかった。どう考えても犯罪でしょうに。青少年育成保護法はどうなってるんだ。
いまだに被害にあう女性にも隙があっただの、自己管理がなってないだの言う人も居るし、世の中まだまだ、男性の性犯罪にはなんとなく甘い気がしてウンザリします。
事件だけを捉えると血も涙もない冷酷な殺人のようで、実は根があるというのが今回のお話の救いなのかなぁ。いや、結局姉妹は救われなかった訳なのですけれども。
暴力で従わされることに慣れてしまうと、その支配から自力で抜け出すことはとてもとても難しいんだろうな、と。本当につらい話ですが、今現在つらい思いをしているであろう子供たちが現に存在するだろうことがさらに辛いなぁと思います。
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柚月裕子さんにハズレ無し!
しかし…救われない話
━どうすれば彼女たちは救われたのだろう。
児童相談所や福祉事務所 児童養護施設は、どんな状況であっても 親と暮らすことが一番いいって 本気で言ってる( -_・)?ですかね。
そして、何を彼女たちは求めていたのでしょうね。
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無戸籍児、児童虐待、児童養護施設、個人情報保護法の壁、等々、現代でも広く深刻の度を増しているテーマが、主題となったミステリー。北陸福井の方言が、事件解決の糸口になっていくあたりは、巻末の解説にもあるように松本清張の『砂の器』へのオマージュか?
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人はひとりでは生きられない。誰かに助けられ、誰かを支えながら生きている。が、その前提には自分という人間の確立が必要だ。自立の上にこそ、確とした人間関係は成り立つ、そう強く思う。
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犯罪背景を描いた、やるせない気持ちにさせられる作品でした。
作者の作品は今まで刑事ものしか読んでいなかったですが、新しい一面がみられ、別作品も読んで行こうと思います。
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すいすい読めたけど、最後のドトールのシーンが気になった。片芝と最初に会ったのも最後のドトール。その時は片芝の分のコーヒーを買いにカウンターへ由美が行っている。それなのに、最後片芝と海谷と三人でのドトール、由美が先に失礼しますと席を立つ時、なぜ自分の分のコーヒー代をテーブルに置いたのだろうか?先に片芝たちが由美の分のコーヒーを買っといてくれた?それは考えにくくないかな〜って。そこだけ気になってしまった。
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首都圏連続不審死事件をベースにした社会派ミステリー。無戸籍、児童虐待、解離性同一性障害、アルコール依存、ギャンブル依存、共依存...。これでもか!と盛り込まれた重厚な内容。東尋坊のいのちの電話までをも配置する念の入れよう。序盤の伏線が中盤から後半にかけて明らかになるにつれ、気持ちがどんどん重くなる。動機が曖昧なところと行動が大胆かつ冷静になっていくプロセスにちょっと違和感があるが、心理的に追い詰められていく様は、人は一人では生きていけないことを実感させる。
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すごく読みやすかった。
子ども時代の話が大げさかなぁ?
周りに守ってくれるオトナはいなかったのか。。とか思ってしまった…
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柚月先生の作品を読むのは初めて
最近、女性作家の本をよく読むのだが、結構、家庭内の性的暴行を描かれている事がある
自分は男性だし、幸いにもそういった世界を身近に感じて生きてきていないので、この事実がどれほどあるのか分からないのだが、一定程度は事実としてあるのでしょうね
おぞましいというかやりきれないというか
本作もその辺りを題材とした作品
ある女性が結婚詐欺で捕まる
主役的立場の女性記者がその事件に興味を持って追っていく
女性はとても綺麗な女性だったのだが、なぜ結婚詐欺などしなければならなかったのか
そこを明らかにしたいと思ったのだ
事件を追っていくと北陸富山県が関係している事が見えてくる
シーン変わり
作品では東尋坊付近で暮らす女の子も描かれていく
こちらは結婚詐欺で捕まった女性の幼少期なのだが、ちょっとしたトリックみたいなものもある
女の子は早紀という名前で、妹がいてこちらは冬香という名前
そして結婚詐欺の犯人が冬香という名前
読みすすめる中では妹の方が結婚詐欺の犯人なのだと思わせられる
のだが、、、実際に捕まったのは姉の早紀の方
でも実際に結婚詐欺をしたのは妹の冬香の方
まぁこの辺は色々トリック的な事があるのと自分の文章力では単純文章化できないので読んでいただくとして、、、
幼少期に父親から性的暴行を受けていた姉妹
姉は外に助けを求め、現実的かどうかは不明だが新たな戸籍を得て新たな生活を送る
妹は施設に預けられ、父親が改心したところで一緒に暮らし始める
が、すぐに元の木阿弥
酒に溺れて性的暴行を繰り返す
説明はされていないが姉は死んだのだろうとなんとなく悟っていた
そこで姉妹再会
妹が陵辱されている事を知った姉は父親の殺害を計画し実行
成功して妹は再び施設に
妹は目立たぬように生活を続け、高校時代に養子縁組して違う名前を得る
姉妹は表立っては会わないようにしていた
父親とはいえ人を殺しているので時効までは危険を犯さないようにしようという姉に従っていた
そして妹は結婚
相手は事業で成功している人物で、一般的にはかなりの幸せを掴んだのだ
姉は自分がした事ではないが、不当な方法で戸籍を手に入れたという事実を理解し、介護士という仕事につき目立たぬように普通の暮らしを続けていた
15年たち時効
その後はそれほど多くは無いものの姉妹は時々会うように
妹の頼みの綱は姉のみ
妹は姉に会う事を楽しみにしていたが、いつからか辛いようになる
父親との辛い思い出を姉に会うと思い出してしまうのだった
そういった事から逃げるためだったのかパチンコに手を出す
妹は一家のお金管理を全て任されていたようで、事業家として成功している夫の収入を大量にパチンコに注ぎ込んだ
が、いつまでも続くものではない
お金が尽きたらよくある話で消費者金融に
そこからはお金を返すために別の消費者金融から借りるという���転車操業を繰り返す
それもどうにもならなくなったところで、婚活サイトで結婚詐欺という手法を思いつき実行に移す
結婚もしている自分の身元ではマズいと思い、姉の身元を使ってサイト登録する
最初はドキドキしながらだったが慣れてくると大胆になる
そしてそのお金を消費者金融に返すが、それとともにまたギャンブル癖が
相手の男性からも「いい加減にしろ」「警察に駆け込むぞ」と言われ始める
そこで姉に相談
姉は常に妹の味方
「じゃ殺そう」と言って計画をたてる
姉は介護士なのでそういったクスリの知見があり、普通の人よりは簡単に入手もできる
クスリを用意するのは姉、実行するのは妹
実際に交際しているのは姉という事になっているため、姉は実行時間に完璧なアリバイづくりをする
それを繰り返した
が、ある時に実行犯の妹が失敗
練炭自殺に見せかけるつもりが、車の鍵を持ち帰ってしまう
鍵がないのに鍵がかかっている事から警察では第三者の犯行と思わざるを得ない状況になる
そこから姉が結婚詐欺で逮捕されたという流れ
逮捕には主人公的な女性記者の取材もかなり貢献した
女性記者はネタ元として紹介されたおじさん記者と情報を共有していたが、そのおじさん記者が警察とつながっていて、警察からもらった情報を女性記者に提供することもあればその逆もあった
その辺りは結構実際の警察と記者の関係性でもあるのかもしれないなと知らないながらに感じました
最後の最後でタイトル蟻の菜園の説明
蟻の菜園とは、南米だかで果物がなっているところに蟻が巣を作り、蟻の糞などを食べる細菌とかが増える
細菌は細菌で果物を育ててくれ、蟻がその果物を食べるとかなんとか言う話だったかな。。。
つまるところ「共依存」の事を指しているようで、本作の姉妹もそういう状態だったと
妹は姉がいないと駄目、姉には全幅の信頼をおいていた
姉は常に妹の味方だったが、それも依存の一つの形だったのかもしれない
あとは妹は多重人格になっていて、本作でもその「本来の自分では無い自分」の視点で描かれた部分がある
その「本来の自分ではない自分」とも共依存だったと言っていたのかもしれない
非常に面白かったです
巻末に柚月先生の代表作として「盤上の向日葵」という作品があるという事だったので次はそちらを読んでみたいですね
ちょっと調べたところ柚月先生おきれいな方ですね
将棋の知見が多いのか、将棋観戦の記事があったり、ひふみんとの対談記事があったり
盤上の向日葵も将棋に関連した小説のようです
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2つの視点、途中からは3つの視点から物語が進んで真相に収斂していくのは見事。私、の存在が期待外れ。これが別の人物なら大どんでん返しだったのに。タイトルも、ああなるほど!と読了後に納得するものにして欲しかった。
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柚月裕子作品、いつもながらワビサビが半端ない。
実父から性的虐待を受けた姉妹早紀と冬香の物語。
読めそうで読めない交換殺人のトリックは記者目線で一気に引き込まれたが、虐待シーンは目を塞ぐほど切ないし、完全なアンハッピーストーリーで辛くなる。
しかも、最終的な転落のきっかけは、パチンコと出会い系、、、身近でリアルだけど、そんなことでここまで転落するかと思うと、一層辛くなる。
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暗くて重過ぎる早紀と冬香の過去と絆の話。由美が追っている婚活サイト殺人事件と目をつけた冬香の過去が繋がる様でボタン一つ掛け違っている様なハマらない感じが中盤まで続くが,後半からはものすごいスピードで伏線が回収されていく。
メインの事件の動機と冬香の解離性同一障害は個人的にイマイチだと思ったけど,悲しき姉妹の共依存関係は響くものがあったし,自分が先に新しい人生を手に入れてしまった負い目もあって何があっても冬香を守る!を実行していく早紀の心意気に胸が押しつぶされそうになった。
序盤で描写のあった,由美と康子の関係がその後あまり描かれなかったのが気になる。
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再読。
美人で男には不自由なさそうな円藤冬香が結婚詐欺容疑で逮捕された。男性の連続不審死にも関与が疑われる。興味をもったフリーライターの今林由美は事件について調べ始めた・・・。
事件の真相。その原因となる過去。読み進めるととても苦しく悲しい。
改めて読んでも、やっぱり面白いと思った。
柚月さんは、文書や構成はとても上手、とは言えないけれど、それでも読ませてくれる、考えさせてくれる作品が書ける作家。