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建築のことなど専門的なことは分からないが、それがミステリーになるなんて意外だけどすごいなぁ。
それと同時に仕事に打ち込む男たちの物語としても感動した。
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一級建築士の青瀬が設計した、信濃追分のY邸。
訳あってY邸を再び訪れますが、無人で、引っ越した様子もありません。
無人の家には何もありませんでしたが、ただ一つ、古ぼけたタウトの椅子が、浅間山を望むように置かれていました。
Y邸でいったい何が起きたのか、謎は深まります。
一見関係なさそうなストーリーが伏線となっており、最後の最後に伏線が見事につながります。
親子や夫婦の関係、仕事、コンペ、バブルなど、さまざまな要素がつながった時、大きな謎が解けていきます。
一気読みしました。
さすがです。
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私にとって未知の分野である建築の世界に引き込まれました。Y邸をそしてそのノースライトを見てみたいと思いました。登場人物それぞれが、順風満帆な人生でなく(勿論そんな人はごく少数でしょうが)、それ故に他人には触れられたくない傷を持ち、悩み苦しみどこかでバランスを取っている登場人物たち。また建築界の巨匠タウトにも重要な役割を持たせ、ストーリーに時間的な拡がりを感じます。主人公が「自分が住みたい家」として設計し建てたY邸が、施主の吉野が理由を語った時の真実に心が動かさせました。
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『64(ロクヨン)』から六年ぶりの長編は、警察ミステリではなく、建築士が主人公のゆるーいハードボイルド。
消えた施主一家を探すというスタートから徐々にストーリーが拡がり始める。手掛かりを追ったその先に、建築家や画家の足跡があり、さらにそんなサイドストーリーにぶら下がるようにして、夫婦、親子、同僚とのドラマが絡みついている。多くのサイドストーリーを取り込んでそのたびに物語が膨れていくので、全体にゆっくり進み、そのせいか謎解きとしての鋭さがまるでない。絡み合ってるドラマをほどいたら、良質の短編が三、四編書けそうに思う。
いつものシンプルな筆致と絶妙な行間のみで、読者を作中に引きずり込む手腕は巧いと思うが、今回は凝りすぎた分、全体に間延びしてバランスが崩れたような気がする。膨れ上がった挙句に、何かが押し潰されてしまったとでも言うのかな。
謎解きも難しくなく、さり気に巻かれたヒントから全体の構図を読み解くのに時間はかからない。終盤にお仕事モノとしての山場を見せられ若干辟易した後に明かされる真相は予想通りだが、点が線に繋がる種明かしはやっぱり巧いと、最後で救われた気になった。
ストーリーを構成する要素が多岐に渡っているので、仕事人として、家庭人として、主人公の境遇に共感できる読者は多いんだろうなー。静かなる熱い再生の物語です。
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素晴らしい!一気読みしました。伏線回収、読後の爽快感等すべてが素敵。タウトのことはあまりよく知らなかったが、この本を読んで興味がわきました。64などあらすじを知っていてもこれまで暗い雰囲気が苦手で、手が出なかった横山秀夫作品。書評欄での高評価につい読んでしまった。読んで良かった!書評書いた人ありがとう!読んでいていろいろな場面が頭の中に映像のように出てくるのは、作者の描写力がすごいということだと私は思う。Y邸でまっ暗闇の中電話を待つ青瀬の場面などは、私もそこにいるような感覚になった。映画かドラマ化されそう。私の読解力が無いからなのか、途中でマンションのエレベーターで出会った老婆の場面は何が言いたかったのかと思った。何かの伏線と思ったがあれきり出てこなかった。元妻の老後の姿と重ねたのか?謎である。
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建築士青瀬が自由に設計してくれと依頼され作った信濃追分のY邸は評判で雑誌にも取り上げられた。しかし田端に住む施主はそこに引越ししてないと分かった。なぜ?そしてY邸にはブルーノ・タウトが設計したかも知れない椅子が残されていた・・・所員5名だけの弱小設計事務所に大きな仕事が舞い込んで来た。コンペに勝てるのか・・・
うーん。
横山秀夫が書いたというのでなければ途中で読むのをやめていただろう。先を読み進もうという推進力に乏しい。
最大の難点は、忙しいはずの青瀬がなぜ施主の吉野の行方をそんなに懸命に探すのか分からない。だから先を読む楽しみが湧いてこない。(良いミステリーからは、先を読む楽しみがコンコンと湧き出る。)最終的な謎解きはキレイなものだったけれど、そのオチのために逆算して無理矢理にストーリーが造られた感じがする。
画家の記念館の設計コンペの話は割と面白い。しかし主題とは関係がない。
ブルーノ・タウト(何年か前に熱海のタウトが設計した旧日向邸を見てきた。建物そのものより、ガイドのおじさんがひたすら自慢話ばかりするのが記憶に残った)に関する蘊蓄に溢れているけれど、それも主題(なぜ自分が設計した家の施主を探すのか)とは関係がなく、取ってつけた感は否めない。
横山秀夫の作品は、これ以外は全て面白かったのだけれど。
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400頁超えの大作なのに読みやすい。謎として提示される一家の失踪が、謎の主軸としてはちょっと弱いかな~と思いながら読み進める。建築家の仕事、タウトという人物の描写など、建築に興味がある人にはたまらないだろうけど、タウトの詳細が過ぎるとちょっと辟易。
心に屈折を抱えた主人公青瀬が、なんだか女々しく思えてなかなか好きになれずにいたけど、後半、謎が徐々に明らかになり、事務所長の死、コンペ作品の仕上げ、別れた妻との関係、Y邸の秘密・・・と、畳みかけるような展開に最後は一気読み。こんなにうまい話はないよな~と思いながらも、清々しさと小さな感動に包まれて読了。
時間と共に変化するノースライトが差しこんでいるかのような静かな佇まいを残す作品でした。
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待望久しい新作は、まずタイトルに惹かれた。警察小説中心の過去の作品群とは一線を画す。主人公は建築士で、家族をテーマにした“旅情ミステリー”っぽい趣。「64」のような激しい対立の構図や、怒涛の展開はなくても、作者が登場人物に込めた“熱量”は変わらないと感じた。全体に薄くかかっていた霧が徐々に晴れていき、タイトル通り柔らかな光に包まれるようなラストにホッ。静かな余韻を残す秀作かと。
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約420ページありますが、読んでいくうちに引きこまれました。横山さんならではの文章で、情景描写が美しい印象でした。
ただ、初めの部分での展開を期待しすぎた分、後半部分が拍子抜けしてしまった印象でした。
謎を解決するだけでなく、主人公の再生という部分でも魅力があり、充分に楽しめました。ドラマ化するなら、役所広司さんや阿部寛さんのイメージがありました。
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おもしろかった。
読んでる途中でも、展開が、読めない。
ハラハラするが、、最後はハッピーエンド
シリーズになっても面白いかも。
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建築の世界の事は難しく、だが勉強にはなったなあ。ストーリーの中に出でくる主人公も含めそれぞれの家族の話はグッとくるなあー
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一級建築士の青瀬は、集大成とも思えるY邸を設計。
しかし、何故かY邸は無人だった。そこに残された「タウトの椅子」。
巻頭から何が起きたわけでもないのに、ミステリー感がジワジワと。思いもよらない結末に向けて話が進んでいく。
病室での岡嶋の会話、吉野と青瀬との明かされた関係など、ミステリーというよりは父親の不器用な愛情が本作のテーマに思えて、泣けた。
Y邸もだが、建設された藤宮春子メモワールに行ってみたいと思った。
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一家はなぜ消えたのか。そのひとつの謎を追う。これまでの横山さんのどの作品とも違うような、でもどの作品とも通じてるようなそんな感じがした。一家が消えた謎と主人公の青瀬のこれまでの人生、仕事、家族。家を設計すること、想いを、人生を形にして残すこと。終盤までは大きな展開があるわけではないけれど終盤の展開の動きには大きく揺さぶられる。何があったのか隠されていたことが明かされた時の感情の高ぶり、感動。人を思いやること、後悔を抱えて生きること、意思を受け継ぐこと。さまざまな人たちの顔が見える。悲しいこと、どうしようもできないことを経て前を向く時、そこに光が当たって進み出す。
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評価3.5
建築とかインテリアとか、疎いので、恥ずかしながらタウトのことも知らないまま読んだのだけど、とても良かった。
青瀬が設計したY邸、後半のメモリアルホール、もっと建築の知識があったなら、目の前に情景が広がったのかな。
でも、建物と言うのは、特に個人邸は、最後は、そこでどうやって生きるのか、ってことなのかな。
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著者らしく壮大で人情味のあるミステリに仕上がっているが、逆にその壮大さに少し引いてしまう。
クライアントと自分の出自とのつながりまで行ってしまうと・・・
ともあれ、映像化されるそうなので、その建築美がどういったかたちで表現されるのか、期待したい。