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第一巻と同じく合わせて表紙買い。
前回はヒロインの静緒の視点のみだったが、今回は彼女と同業者であり同居人である桝家の過去の話から話が始まる。
私は第一巻でのレビューで「桝家がゲイである必要性が感じられない」との旨を書いたが、この本の中では彼のセクシャリティが大いに関わっていた。最近ではこういった個々のセクシャリティに名前がついて、人間の要素の一つとして尊重されるべきという考えが広がっている。そんな中で保守的で偏見の中で生きる話はなかなかに大胆でそれでいてリアリティがある。
個人的には、静緒が会社の会議に参加した際の話でも似たものを感じた。静緒以外全員男性。そんな中で女性下着について発案をすると、上司が恥ずかしげもなくセクハラ発言をして周囲もそれに追従笑い。地獄絵図極まりないが、今でも実際の社会でまかり通っているのだろう。静緒にこれには激昂することもなく会議は終わってしまう。彼女が場を壊さなかったのは大人の対応だという人もいるかもしれない。また話の中でも「セクハラをうまくかわせる人が出世する」という言葉があった。しかし価値観のアップデートの遅れた人間を放っておいた風通しの悪い環境自体を変えない限り、新しく入ってきた貴重な人材が次の犠牲となるだけだと私は考える。上流階級に興味があるというより、頭の凝り固まった人にこそ読んでほしい本となった。
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百貨店の外商で働く鮫島静緒の物語。シリーズ2作目。
相変わらず全力で仕事に励む静緒がとても眩しく思える。前作で出てきたお客様も健在で周りも生き生きとしている。
普段縁がない世界を垣間見られるようで面白い。
同居人、桝家の過去や親との話も深掘りされていて良かった。一作目ではあまり馴染めなかった桝家との奇妙な同居関係がキラリと光っている。
是非シリーズとして続いてほしい作品です。
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シリーズの第二弾ですね。
面白かったです。
何だかんだあっても最後は全てが上手く行くんですね。
読んで楽しい気分になります。
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1巻目ではセレブの買い物に圧倒されるばかりだったけど、静緒の成長と共に?その金額や商品はさらっと触れられる程度になった感じ。その分、買い手、お客様の事情や気持ちによりスポットが当たっている。そして、静緒や桝家が抱える問題――今の社会では問題とされる場合もある――についても。
自立、寂しさ、ふつう、社会的保険、そういったキーワードが語られる中で、じゃあ自分の今、10年後、20年後はどうだろうな、と考える。もしかしたら問題は目の前にあるのに、見えないフリをしているだけかもしれない。ゆくゆく立ち往生せずに生きたいと思ったら、今のライフスタイルや考え方からきちんと客観視しておかないとダメなのかもな、と思う。
「愛も孤独には負けるのだ。」
静緒はやっぱり、"つよい"よね。自覚してないかもだけど。男社会の中で、自分の性別ではなく能力、意欲で向かっていくところとか。
あと"異性の友達"という考え方がもっとふつうになってほしい。わたしも。
なぜ男と女が出会ったら、恋愛になるかならないかというところへ行くのだろう?現実でも、物語でも。
「そんな関係が必要な人間はいっぱいいる。その関係性を表す名前がないから差別されているだけだ」
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桝家と静緒のやりとりやまた前回とは異なるバラエティに富んだストーリーなど、前作に続いてとても面白かった。
百貨店が人と人とのご縁を結ぶ、この時代だからこその百貨店の在り方が示されているのではないかと思う。
個人的に、御子柴とのやりとりがとても好き。
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「ゲイ寄りのバイとかストレート寄りのバイとかいろいろいるんですよ」
主人公(女性)と同居する桝家(ゲイ)の言葉です。
私は今まで、バイセクシャルは単純に男女等しく恋愛対象にすると思っていましたが、その中でも細分化があるのだと初めて知りました。
よくよく考えると、ここからはこっちとパキッと線引きができないのが当たり前だと今更ながら感じました。
主人公と桝家の同居についても、今までの常識を覆されました。
恋愛対象でも友達でもない2人が互いに心地よいと思って一緒に暮らせるという考えが私には全くなかったのですが、お話の中のこととはいえ、そういうことも実際あり得るのかもしれません。先入観を取っ払い、頭を柔軟にしなければと思いました。
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壱に続きわくわくと面白かった。
外商の話の中にも、様々な複雑な社会の問題なんかが組み込まれてて奥深い。
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一巻よりもさらに面白くなってる…!
お仕事小説のフリして、人生における愛とか孤独の取り扱い方を考えさせられる良作でした。
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Ⅰを読んだのが丁度1年前。続きはその内に読もうと思っていたが、思いのほか間が空いてしまったな。
前作の感想に「書きたいことはたくさんあったように読めるが、中途半端に語られて終わった感が否めず」と書いたが、作者の書きたい話題は今作でもそのまま引き継がれる。
静緒の恋愛と桝家のジェンダーの話は、世の中の結婚観と老後に対する考え方という話題に進み、“まとも”とは何かとか家庭を持たずに老いることに対する逡巡などについて多くの頁が割かれて描かれており、その辺りは結構考えさせられるところあり。
百貨店の外商のこれからという話題では、催事で“恩を売る”という静緒のアイデアが生まれるが、アイデアは面白いと思いつつも、個人情報ダダ漏れの企画はかなり引く。
前作のような屋上遊園地に象徴される古き良き時代の百貨店の姿とこれからの百貨店のあり様みたいなところがなく、百貨店に対する愛をあまり感じないところは百貨店もの好きとしてはやや残念。
Ⅰを読んでいないと背景や人間関係が分かりにくい作りになっているのも減点。
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富久丸百貨店シリーズ
1作目より読みやすかった。登場人物を好きになれたからかな。
静緒、男前だね。
枡家がらみの話はほろりとさせられた。
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忙しくて、いろんなお金持ちに振り回されるデパートの外商さん。本当にこんなことがあるのかわからないけど、小説としてとてもおもしろい!
静緒と桝家の関係も好き。恋人や夫婦とは全く違う男女関係は羨ましい。
いろんな事が次々と起こって、ページを捲る手が止まらなくなった。
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こんな世界があるのか!と思わせられる小説。百貨店も上流階級の生活ぶりも大好きな者としてこれ以上ない組み合わせ。静緒の外商員としての働き方や発想、顧客が真に必要としているものをあらゆる形で提供しようとするその姿がカッコいい。大好きなシリーズ。
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Kindleで読んだ。
ひょんなことから芦屋の高級マンションをシェアして暮らす、富久丸百貨店外商員の静緒と桝家。2人は月のノルマ2000万円に奮闘し…。
シリーズ2作目。
外商部での話でもあり、“新しい社会の中で新しい個人のありようを見つけようとする”静緒と桝家の物語でもあった。
マンネリ化したホテルでの催事の新しい試みを模索。
“商品を変える必要はない。組み合わせだ。見せ方だ。そして、私たちサービス従事者側のゲストへの接し方だ。”
静緒のようにアイディアを生み出せる人って本当にすごいと思う。
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「上流階級」シリーズ、やっぱりおもしろい!
其の一から少しずつ、静緒と桝家の関係が変化している。静緒も桝家も、ぶつかりながらもお互いを認めていて、将来の孤独への不安を抱えている。
日頃考えないようにしているけれど、将来の孤独への不安は私自身も感じていて、共感できた。
外商なんて全くの異世界の話のような気がしていたけれど、静緒の仕事への姿勢や考え方は、どんな仕事にも参考になることがあるように思う。
外商はお客さんのプライベートに深く入り込む仕事だけに、静緒が珠里との関係に悩んだように、バランスが難しいんだろうと思う。
外商でなくても、長く付き合いのある取引先に情がわいたり、「これって仕事としてはやり過ぎだよな」って思うこともあるような気がする。でも、そういう中から信頼が生まれたりもするわけで、互いがバランスをうまくとれる関係が大事なような。
ジェンダーフリーの時代だけど、男性と女性の考え方の違いとかも、静緒の仕事を通して「なるほど」と思わされることも多かった。やはりまだまだ、男性社会の中で女性がやっていくのは大変なんだな…。
静緒と勇菜ちゃんのやりとりも興味深かった。
最後の桝家のお母さんとの結末も、予想外にジーンときた。
静緒は、どんな問題や課題が襲いかかってきても、いろんなことをちゃんと受け止めて進んでいくところがすごい。
うっすらと、ドラマを観た記憶があるので、静緒は私の脳内で竹内結子さんに変換されてる。大好きな女優さん。寂しい…。
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シリーズ2作目。富裕層に向けて商品やサービスを販売する、百貨店の外商員として働くアラフォー独女・鮫島のお仕事ストーリー。今作では、同僚兼ルームシェア仲間の桝家のお家事情も明らかになる。
普段の生活で馴染みない外商の仕事について詳しく描かれていて興味深かった。
CHANELのスーツやヴァンクリのアクセサリーなどハイブランドを取り扱ったり、フランス旅行に同行したり、豪華なマンションでルームメイトと晩酌したり、煌びやかな日常で読んでいてワクワクさせられる。
また、一筋縄ではいかない顧客を相手に、難解なミッションをひとつずつクリアしていく様が読んでいて爽快だった。