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面白い。
単なるギャングモノの小説ではありません。逃げるもの、追うもの、巻き込まれたもの。三者三様の思いを胸に逃避行・追跡行が繰り広げられます。
追われるものは、これまでの経験を下に巧妙に他人に成りすまして追跡を振り切ろうとするわけですが、その途中で心境に変化が・・・
巻き込まれたものは、自分の元々の生活から逃げ出そうとしていたところに、逃げているものと出会います。そして、最後の最後に・・・
追うものは、淡々と追われるものを追い詰めていくのですが・・・
映画にすると面白そうです。
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ケネディ大統領が暗殺された背景にいた奴らが事件後にどのような顛末になったのかを作品に展開した。暗殺事件性の黒幕としてニューオーリンズの犯罪組織のボスであるカルロス・マルチェロは暗殺に絡んだ人物を消していく。ジャック・ルビーがオズワルドを警察署で射殺したのも作品ではマルチェロの指示とされる。ギドリーは現場の車を処分する役割であるが、証拠隠滅のため、殺し屋のバローネに狙われる。そこから逃避行が始まる。別の場所ではどうしようもない夫から逃げてきたシャーロットと二人の娘がロサンゼルスを目指している。ギドリーとシャーロットとの出会いが、二人の心情を変えていく。殺し屋から逃げるためには合理的な思考と裏をかく行動をする。殺し屋のバローネは獲物を仕留めるために犯す殺人は何とも思わない冷酷さ。ギドリーとバローネの騙しあいなど、犯罪現場の行動哲学が滲み出てて面白い。
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ケネディ暗殺に、させられた仕事が関係しているのではと気づき、組織からの逃亡をはかるギドリー。一方アル中の夫から娘二人と犬を連れ逃げ出したシャーロット。二人は道中で出会い共に行動することになる。ギドリーに対する組織に怒りと理不尽を覚え、シャーロットの母としての強さと迷いに打たれ、二人に寄り添っているうちにいつしかロードノベルは角度を変える。心を残しながらも私はいつしか二人を置いて、追手のバローネにすっかり惹かれていた。そして、もう!なんてこと!…到達した最後の一章。エピローグ。思わず感嘆のため息が出た。
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「あらゆる決断によって新しい未来をひとつ作る、他の未来を全て潰して」
随所に、なかなかの哲学的な名言が刻まれている。
一九六三年十一月ジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件は、ミステリーな点が多くフィクション、ノンフィクションとも数多くの作品が世に出ている。
この小説は、事件の謎解きではなく、事件によって人生が動き出した人々の物語。
追う側、追われる側、それに巻き込まれる人たち
疑心暗鬼の中、それぞれにドラマがあり、人生が動き出す。
それは、先に確かなことなど何ひとつないドラマ……
登場人物が魅力的で、ラストを読み終えたあとの余韻が映像的に残る。
わたしには、シャーロットの撮ったギドリーの長い影だけの写真がエンドロールとともに……ほんと、良いドラマでした。
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ケネディ暗殺事件の真相が明らかになるという意外性はあるものの、ありがちな犯罪小説でありふれた恋愛小説であり非常にアメリカ的な小説。であればこそ、エピローグでハリウッド世界に収斂させたストーリーテリングが見事でした。もし映画化されることがあれば、母親が遺した写真の入った箱をいつしか娘達が開けたときにあの男の人を思い出す瞬間をエンディングにしてもらいたい。
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マフィアのボスから追われるギドリー、アル中の夫から逃げるオクラホマの主婦と娘達、そしてギドリーを追う殺し屋。3人の運命が交差し発火し思いがけない先へ連れて行く。
次々登場する魅力的な人物達、二転三転する物語の行方、生き生きとした描写力にどんどん引き込まれた。サスペンスであるのは勿論だが愛の物語でもあった。
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あまり期待してなかったんだけど、割と楽しく読めた。ミステリーとは言うものの特に謎はなくノワールだけど、出てくる登場人物がみなクッキリとしてて魅力的。ケネディ暗殺事件が深く関わってくるかと思いきや、特にそんなことなかったのも、意外性があって良し。
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殺し屋に追われる悪党ギドリーと家族を連れ戻そうと酒癖の悪い夫から逃げ出した母シャーロットとの逃走シーンがこの小説の展開の面白いところだ。双方に身元を明かさずいるが暫くすると悪党に情が芽生え、家族を母親を守ろうと動き始める。その逃走の中での言葉「これから出会うのは新しいことばかりだ。ここからずっと、どこへ行っても。新しいものは古いものよりずっといいかもしれない。その時になるまでわからないんだ」それは、新しいものが必ずしても良いとは限らない、だが経験しないことには誰にもそれを判断できない、と言うことだ。力強い母の情熱と新たな挑戦は子供二人の将来を見通し人生を賭けたのだ。