紙の本
自分のいる世界を外から眺められる
2001/10/28 13:21
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:某亜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
近代を読み解く一つの鍵である記号論。それを入門者のために理解しやすく語る良書である。
一つの例を出そう。私たちは「同じ」という言葉を使う。しかしこの「同じ」はどう規定されるのだろうか? たとえばある人が「あ、私も同じ本持ってる」と言った場合、「同じ」とは「相手の本を持っている」ということではない。その人が持っているのは明らかに別の物質である。人は違う物質を「同じ」と見ることができるのである。
こんなこともある。大人が子どもに向かって「また同じ番組ばっかり見て」と言う場合、それは子どもにとっては「違う」番組であることも大いに考えられる。これは先の例とは違い、両者の「コード」が食い違うために起こる問題だ。大人にとっては両者を「意味」に変えるとき同じコードをたどるのに対し、子どもは違うコードをたどって「意味」に変換させるのである。
これが「大人と子ども」ではなく、「二つの文化」となればそのコードの違いは著しく表れてくる。その研究が文化記号論であり、記号論の中で最も代表的な分野なのだ。それは一言で言えば「世界が言語を生み出すのではなく、言語が世界を規定するのだ」となる。
自分の世界観が一挙に広がっていくのを実感できる。
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果たして”文化”のカテゴリでいいのかな?記号論とコミュニケーション論との境に位置してるような気もする。概要はこの一冊で十分かと思います。
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?、?は分かりやすいので説明はいらないだろうが、?になってぐんと用語が増えわかりにくくなる。特に1〜3は読むのが苦痛。
しかし後の?を読む上で参照する部分になるので便利と言えば便利。何度も前に戻りながら読めば、わかりやすさは上がる。イーミックとエティック、フレームとスキーマなど初見で興味深い単語有。多少図説があれば良かったかと思う・・と書こうとしてぱらぱら読み返したら、結構あった。図説。もうちょっとあっても良い。
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情報環境整備という論点では、未だに「意味」を持ちうると思われる本書。なんで前文の“意味”という語に「」を付けたかは、本書を読んで是非剣等して欲しい
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小難しい記号論をわかりやすく解説している。良本。記号論はもっといろんな分野で応用可能な理論だと思う。
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ついに記号デビュー。
「言葉は文化」じゃなくて「文化は言葉」だそう。
記号表現ばかりで記号内容が薄いのが今。記号はどうあるべきか?うまい付き合い方は?内容と表現のバランスがとれればいいのか?今が間違ってるから昔に戻す、というか今に合わせたバランスのとり方。ネオ?
本質を求める建築家。
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『自然と文化の記号論』より分かりやすく、記号論の全体像がつかみやすい。
恐らく、この本の最後の項を読んでから『自然と文化の記号論』を読めば、つながりが分かりやすいのではないだろうか。
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―『人間は自らを取りまく「外界」を主体的に意味づけ、価値づけ、自らの住む世界として秩序化していく。「構造化を行う動物」である。』―
私たちが日々行うコミュニケーションの中での言葉の「コード」。日々生活する中での文化のコード。
それはあまりにも、内在化しているものであると感じる。
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いま広範な学問・芸術領域から熱い視線を浴びている「記号論」。それは言語や文化の理解にどのような変革を迫っているのか―。ことわざや広告、ナンセンス詩など身近な日本語の表現を引きながらコミュニケーションのしくみに新しい光をあて、記号論の基本的な考え方を述べる
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記号論というものを、主に言語に焦点をあてて述べている。
なかなか難しい本だった。
述べている内容や、使われている事例は
どちらが先かは知らないが、
同著の「ことばの詩学」と重なっている部分があった。
なので両方とも読めば更に理解が深まると思う。
言語学と音声学の知識が多少あれば
より深い理解がしやすいかもしれない。
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言葉と物、概念と実体など、ある表現とそれが意味するものの関係を論じる学問領域である記号論。本書はその入門書。
「記号論」の講義で教科書として取り上げられていた。平易な記述で哲学に疎い人も理解しやすいはず。
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これは〜わかりにくかった!記号論、つまり言語に関する抽象的なとらえ方を難しく論じています。例もあんまりわかりやすくないなぁ
「人間は機械のように動き、全てが「自動化」する。何かが起こっているようで、実は何も起こっていない―そういう世界が生じてくる。」
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記号論は言語学の一分野らしい。本書は専門用語も多く出てきて、教科書のよう。それもひとまず、一般的な言語の性質、機能を体系付けるためであって、本書ではとくに真新しいことを述べているわけではない。が、言語記号論を基本として、言語以外の文化などを記号論的に見るという視点を与えてくれた点はよかった。
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言語は世界だ。世界の伝達はすべからく言語だ。なぜ私たちは言語にそこそこの信頼を寄せているのか。そういうことを深く考える本。
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記号論、特に言語に関わる部分について丁寧に解説された入門書。説明には必ず分かりやすい例がついていて、一見難しそうな概念もすんなりと理解できる。
特に有契的・無契的、有徴・無徴、線条性・現示性、表示義・共示義…などがとても分かりやすかった。この本を読んでいる前後にギリシア旅行をしたが、この本を読んでると、おれはあの遺跡群を記号として捉えられなかったから石ころにしか見えないんだ、とか、旅行中友人とやった「マジカルバナナ」(連想ゲーム?)は、ミクロ的な整合性はあるけどマクロ的な整合性はないのか、いやそもそもミクロ的な整合性もなくて、あのゲームはある語のフレームの中から特定の1つのスロットを選び、そして同じスロットを共有する別のフレームを持つ語を選択するゲームなのか、とかどうでもいいことを考えてしまう。