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【『シンセミア』『ピストルズ』に続く神町シリーズ最終章!】ある夜、阿部和重邸に、アメリカから瀕死の諜報部員が転がり込んだ。時空を超えた壮大な旅が始まる。日米を股にかけた大巨編の誕生。
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「シンセミア」「ピストルズ」に続く神町トリロジー最終作。阿部和重は神町を書くのはこれで最後だとあとがきで述べている。本当に最後なんだな...と思わせる大作である。
阿部和重作品を初めて読んだのは、本作品でも散々言及される「スパイ養成所出身者の日記という設定」の「インディヴジュアル・プロジェクション」であるが、それ以前の阿部和重作品はよくも悪くも形式的な文章に拘っているように読め、(全く内容が思い出せない)「ABC戦争」始め、「とにかくなにがなんだかよくわからず、情報が絡まって複雑極まりないが、力業で押し切って読ませてしまう」文体だった。当時高校生だった私の脳は爆発寸前であった。
これまた本書に言及がある「ニッポニアニッポン」、すなわち「シンセミア」以降の阿部和重は情報量をそのままに文体を変化させている。それは純文学の論理の中にエンタメを巧みに組み込んで大風呂敷を広げまくる作品であり、広げ切った風呂敷をそれでも(広げる前のようにはいかないが)畳むことのできる稀有な作家となった、ように思う。
やっと本作「オーガ(二)ズム」の話に移ると、主人公は「テロリズム、インターネット、ロリコンといった現代的なトピックを散りばめつつ、物語の形式性をつよく意識した作品を多数発表している」作家・阿部和重である。自己を投影した主人公の紹介がWikipediaからの引用である点がまず興味深い。彼の家に血塗れの外国人が転がり込んでくるところから物語は始まり、「シンセミア」「ピストルズ」のみならず「ニッポニアニッポン」「ミステリアスセッティング」などの著作を巻き込みながら物語はどんどん広がってゆき、そして「神町」に収斂する。
兎にも角にもまずはこの小説の情報量である。ニュースからの引用を巧みに構成した物語世界は、明らかにぶっ飛んでいるのにリアルである。この構成力には舌を巻くほかない。そして、情報の細かさ。とにかく商品名から何から何まで具体的名称に拘った表記。読みながら何度かGoogleのお世話になった。
そして極上のエンタメ、ロードノベル感を提供しながら圧倒的に描かれるのがこの日本の形。CIAにひたすらこき使われる阿部和重(彼が「アッシュ・ケッチャム」の渾名を付けられるのはさすがに調べて笑ってしまった)、本人も「属国人」と名乗る日米関係。そしてその裏で暗躍するものの「望み」。広げに広げた風呂敷を大団円で畳まず、26年後に飛ばして見せる日本の形。
そして私もすっかり忘れていた「アヤメメソッド」。この力の強大さが物語に「信頼できない語り手」を頻出させ、物語が複雑化する。と同時に「人の心を操る」とは何なのか、人心とは何なのかを昨今の社会情勢とともに考えずには居られない。
「神町サーガ」のなかでもとりわけ読みやすいこの作品は、齋藤環の指摘もあるように伊坂幸太郎との共著「キャプテンサンダーボルト」を想起させる。リーダビリティも人への薦めやすさもトリロジー中いちばんだ(「シンセミア」は表立って人に薦めにくかった...)。トリロジーを全部読むのが厳しいと思っても、この1冊から遡っても全く問題ないので、是非この大きな偽史物語を読んでいただきたく思う。
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読んでる間は夢中でしたが、結局よくわからない、これ自体がアヤメメソッドに囚われてるような。もろもろ投げ出されっぱなしのような。いかがわしさ横溢で宙ぶらりんにもかかわらず混乱させるためにかあえてリアルな固有名詞をたくさん使っているので、物語中で虚実入り混じるような、なんだかヘンな感触でした。
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★ギャップ萌えの冒険譚★著者の本はあまり読んでいないが、勢いと粘りのある文体で冒険がどんどん進んでいく。首都移転したとする山形の片田舎を舞台に、オバマ大統領まで登場してCIAが暴れまわる。そこにアヤメメソッドという一種の催眠術が加わり、サブカルと世界陰謀史が交わるギャップが面白い。これだけの舞台を設定し、理解しきれない引用を交えて物語を展開するのは、壮大なほら話を読んでいて爽快。著者の名前と設定を借りた主人公が事件に巻き込まれておたおたするのは、3人称だが1人称っぽくみえて興味深い。さすがに最後になるとちょっと飽きてくる。
ただ、カギを握る少年や人を操れるアヤメメソッドの継承者の部分について、隠して隠したうえでちらりと見せた部分がとってつけたような感じがする。神秘さが中途半端に思えた。題名の意味が残念ながら分からなかった。
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売れない作家の阿部和重がCIAのケースオフィサーのラリーさんと組んで?テロ防止に活躍する。オバマのくだりは どこまでがフィクションなのか?OSANAGI-YAMAの謎は?菖蒲(あやめ)家は何を目指してたのか?
とにかくボリュームが多く、神町3部作の最初の2作を未読のため、作者の世界観に慣れずに読み疲れてしまった。
最も印象深かったのはエピローグの日本が米港51番目の州になるくだり。人の心を思いのままに操る影の一派が、数年で世論をころっと様変わりさせてしまうという逸話は、ノンフィクションでは?と思えてしまう。小池知事を祭り上げた世論が あっという間に冷めたり、森友・加計・桜を見る会で最大限の痛手を受けたと思われた安倍政権が崩れなかったり、憲法改正も数年で当たり前になるかも。菖蒲みずきは実在するのでは?と薄気味悪さが残る。
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スケールはとても大きいのに舞台はほぼ山形の神町だけなのが面白い。主人公が阿部和重さん、ご本人。これまでの神町サーガだけでなく他の阿部作品の集大成でもあるかのような内容で本気で楽しむためには『ミステリアスセッティング』『ニッポニア・ニッポン』は読んでおいた方がいいようだ。数々のサブカルチャーからの引用がちりばめられており、注釈をつけたら大変なことになる。まったくの同世代のため理解できるのが嬉しい。去年の末までに読み終えたかったのだけど、800ページもあって、しかも文字がぎっしりつまっているページが多く、一か月遅れでようやく読み終えた。途中、阿部和重が戦場に巻き込まれ、巨大ロボが現れる章があって、最後の方でその説明があるかと思ったらまったくなかった。結末でラリーが生きていると判明した場面は泣きそうになる。
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『シンセミア』、『ピストルズ』に続き、山形県の架空の町、神町を舞台としたいわゆる”神町サーガ”の最終作。とにかく面白すぎて、700ページを超える大著だが、一気に読んでしまった。
作家本人を主人公に据えた上で、東京から首都機能が移転された神町を舞台に、バラク・オバマ&CIA、そして前作『ピストルズ』で描かれた菖蒲家という特殊能力を有する一族の対立を描く本作は、極めて良質なアメリカのアクション超大作映画を見てるかのようなスリルに満ちている。
前2作を読んでいれば、それぞれの登場人物や世界がこうした結実するということに驚きを覚えるだろうし、読んでいなくてもこのリーダビリティの高さと躍動する物語の面白さは必ず伝わるはず。
思い起こせば2003年、大学2年のときに『シンセミア』の単行本上下巻を徹夜して読んでしまった日のワクワク感は未だに色褪せていない。17年経ち、その世界がこうして結末を迎えつつ、最新作がこうした感動に満ちたものであることを喜びたい。
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結局あそこでぼこぼこにされた阿部和重は一体誰だったんだろう。
ずっとフルネームなの面白いですね。
そして3歳児はいつもアイドルであり独裁者。
誰も敵わない。
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ピストルズ、シンセミアと続いてきた神町トリロジーの最終話。話を膨らませた割に結末のインパクトが乏しかった。
神町の町民たちも、菖蒲家の人たちも、パッとしない。
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「シンセミア」はめっちゃハマった、「ピストルズ」はそうでもなかった、でも「シンセミア」がおもしろ過ぎたんで続編が出たって聞いた時は「文庫になったら読もう」と思ってた。ただ、文庫が上下巻になってハードカバーと大差ない値段になるとは思わんかった。そして、そのタイミングでハードカバーの古本に巡り合うとは。
で,中身。神町サーガ完結編とは言うものの神町パート少なくね?正直思ってたんと違う感。長さにしては読みやすいけど、そこまで引っ張られることもなかったかな。
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自分の感想をまとめるために他人の感想を読んだが、三部作の最終作から読んでしまった割にかなり入り込めて読み易く内容も充実していたのに、評価が低くて、不思議な流れで前作への期待を高める形になった。内容としては映画的というか、海外ドラマを活字で読んでる感があり長さの割にずっと集中出来るピークが持続されており、名前に偽りなしと思った。初の阿部和重だが、自分には以前の作品も読みたくなるとても高水準なものだった。
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864ページ…文庫本だと2分冊になって528+567ページ。なっが…
阿部和重ビギナーだった頃、真っ赤な本書を図書館で見つけて興味を惹かれて借りたのだが(奥様の川上未映子さんの「夏物語」を同じ時に借りてる。ブクログの記録見ると2019年12月登録となっているから、もう4年以上前。コロナ・パンデミックの直前のことだ)、その厚さと一見堅苦しい文章に恐れをなして、最初の15ページくらい読んで返してしまった。
今回は僕も阿部さんの著書の経験を積んで、また、オーディブルの力を借りて読み切った。(ちなみに、32時間41分の朗読)
神町トリロジー最終作。
CIAケースオフィサーと作家・阿部和重がタッグを組み、オバマ大統領の首都・神町訪問に際して仕掛けられた核テロを防ぐ、というストーリー。
作中には、奥様・川上さんも出てくる。
川上さんピキッピキな感じで描かれている笑
この作品の中では、東日本大震災は起きていない。
代わりに、永田町直下型地震が起きて国会議事堂が崩落し、そのことが原因となって政府は首都を山形県東根市神町に移転する。
なぜ、移転先を山形県東根市神町に?
それはまあ、読んでみて。
すごい真面目な小説だと思うんだけど、物言いが大仰で、どうしてもじわじわと可笑しくなってきてニヤニヤしながら聞いてしまう。
阿部さんの作品、大好きだなあ。
♫What the World Needs Now Is Love/Jackie DeShannon(1965)