投稿元:
レビューを見る
直木賞1作目
恋愛小説を(と言っていいと思うが)、しばらくぶりに読んだ。ストーリーはほとんど完全な予定調和と言っていいと思った。もしかすると細かいアラは見つかるかもしれないが、とにかくうまくいき過ぎるほど上手くいく物語だった。でも、かえって何か得心がいくような、とにかくご都合主義としても、それがそれほど気にならない。
キャラクターの描き方に、特に「瑠璃」に芯が通っていてぶれていないからかもしれない、少なくとも私はそう感じた。瑠璃は確かに正木と結婚した当時はやや意志薄弱で(正木が強引だからかもしれないが)、「後世」のルリのような強い使命感等とは相容れないようにも思えるが、それを変えたのは三角であり、彼に対して「考える」と言って決断して以降、彼女は本当に意志の強い、いつも「本気」で考えられる人になったのだと思う。小山内にしても、梢にしても、小説の中で経った時間はとても長い期間にわたる物語なのに、その人物の人格がぶれていない。だからこそ、やや予定調和的過ぎるような筋書きでも、それほど抵抗なく読み進められたと思う。
投稿元:
レビューを見る
生まれ変わりの話。
関係者それぞれの視点から、不可思議な現象が語られる構成となっており、読後時には時系列で起きたことがほぼはっきりする流れ。
起きる出来事自体は、様々なフィクション作品で取り上げられそうなものなので、よく言えば馴染みのある、悪く言えば手垢にまみれてそうな設定。
素直に感動もしきれない出来事なので、どういった気持ちで読めば良いのか最後までよくわからなかった。
ビデオ屋あたりで繰り広げられた、「話し手の語る内容が要領を得なくて、聞き手が追い付くのに苦心する」会話の描写が現実にありそうな会話で、上手いなぁと感じた。
投稿元:
レビューを見る
おもしろくて、二日で読んでしまった。最近の作品では『身の上話』の目眩のするような場面転換のシーンが印象に残っているけど、それを上回る、なんとも流暢な、お上手な作品だった。ひさしぶりに本を読む楽しさを味わえて幸せ。
投稿元:
レビューを見る
お堅いイメージの岩波書店がこの手の恋愛ファンタジー小説を出したことに軽く驚きました。
生まれ変わってかつて愛した人のもとへって、下手すると陳腐なメロドラマに成り下がってしまいそうなものですが、緻密な構成とベテランの巧みな筆致でどんどん物語に引っ張られていきました。
ラストはそこまで衝撃的とは思いませんでしたが、まあ普通にいい作品だと思います。
個人的には「ありえないことが現実に起きた」ことにするよりも「ありえないことがもしかしたら起きたのかもしれない、結局よくわからない」ぐらいのニュアンスのほうが好みというか、物語により深みが出たんじゃないかという気がしますが、逆に今より分かりにくくするとついてこれない読者も出てきそうですし、難しいところですかね。
私、佐藤さんの作品は10年ぐらい前に1冊だけ読んでいます。
確か光文社文庫から出ている『ジャンプ』だったと思うのですが、あんまりいい印象じゃなかった記憶しかないです。
理由も忘れてしまいました。実家に本があるはずなので帰省したら再読してみようかな。
それにしても、デビュー33年目の著者ご本人にとってもまさかの直木賞ノミネートでしょう。
選考委員の半分以上が佐藤さんより後にデビューしているんだから、きっとみんなやりにくいだろうなあ。
この賞の傾向としてファンタジー作品に厳しいので受賞は難しそうですが、ひょっとするとひょっとするかもしれません。
投稿元:
レビューを見る
ひとは樹木のように死んで種子を残す。でも、あたしは月のように死ぬよ。月の満ち欠けのように、生と死を繰り返す。そして、あなたの前に現れる。。
そういって、20歳のアキヒコの前からいなくなった年上の人妻瑠璃。
約束どおり、月がまた満ちるように、生まれ変わり、瑠璃(たち)としてアキヒコを探しはじめる。
「瑠璃も玻璃も照らせば光る」の言葉をキーワードとして・・・
これは、哀しいほどの愛の物語だ。
生まれ変わり、前世を記憶する子供、などサスペンスのようなホラーのような部分もあるのだけど、作品を貫く、瑠璃のアキヒコへの深い愛がラストでじわ~っと来る。
佐藤さんの作品は初めてで、文体になれるのも少し時間がかかったし、時系列がこんがらがって、とても分かりづらかったけど、それを補って余りあるほど、先を読みたくなるそして、読ませてくれる力がある作品。
直木賞、とれるといいな・・・
投稿元:
レビューを見る
永遠の1/2を読んだのははるか昔。
そして「今頃?」と思われた直木賞。
本屋で平積みのところを購入した。
ちょっとしたSFかホラーか、とにかく人格が宿りながらそれを追いかける。
発送はとても面白いしミステリアス。
でも自分にはちょっと平坦すぎるかな。
投稿元:
レビューを見る
佐藤さんの作品はじめて読みました。第157回直木賞受賞で初めて手に取ったのですがあまりにも読みやすくてびっくりした。はじめで読む作家さんて結構読みづらさがある気がするのだけど、はじめからぐんぐん物語に吸い込まれ、面白くて面白くてびっくりした。直木賞でここまでのレベルの作品は個人的には久しぶりだった。
ファンタジー×恋愛小説×ミステリーって感じ。いくつもの伏線、いくつもの場面、そして溢れんばかりの愛。それらの点が全て線で繋がった時誰もが涙すると思う。ありきたりなハッピーエンドでも。
この作品のすごいところは主な語り手が小山内なこと。二回目の瑠璃の父親である小山内を軸に物語が進むところ。
第1の瑠璃が正木瑠璃。その道ならぬ恋の相手が三角。第三の瑠璃が希美で、第四の瑠璃が緑川るり。
瑠璃でもなく三角でもなく主に小山内を主軸にしているからややこしいのだけど、ラストの一歩手前で小山内にも起きていた月の満ち欠けが明かされた時、鳥肌が止まらなかった。好きで好きで仕方がない人と恋に落ちて叶って未練が残る別れになったとき、輪廻して何度でもあなたに会いたい、そばにいたいというそれがもう悔しいほど泣ける。
そしてラスト。結構あっさりしたラストではあるのに涙腺崩壊。Tシャツとか映画とかいちご煮とか、この長かった物語、三度目の正直、本当に本当にに泣けてこれ書いていても泣けて仕方ない。
ーー神様がね、この世に誕生した最初の男女に、二種類の死に方を選ばせたの。
ひとつは樹木のように、死んで種子を残す、自分は死んでも、子孫を残す道。もうひとつは、月のように、死んでも何回も生まれ変わる道。
月が満ちてかけるように。
月の満ち欠けのように、生と死を繰り返す。そして未練のあるアキヒコくんの前に現れる。
瑠璃も玻璃も照らせば光る。
みづからは半人半馬降るものは珊瑚の雨 与謝野晶子
の問いかけに
君にちかふ阿蘇の煙の絶ゆるとも万葉集の歌滅ぶとも 吉井勇
と答えとけばいいんだよ、と言った三角のバイト先の中西やが好き。髪が長い女はアンナカレーニナ、髪の短い女はジーンセバーグという二択のセンスを放つ斉木さんも笑。
ちょっと死んでみる、という短な遺書も、随所に散らばったコミカルさの中にある真剣味がグッとくる。良い作品に巡り会えて幸せです。
投稿元:
レビューを見る
もう夢中で読みました。
不可思議な生まれ変わりの事実。
それは不幸な何回かの生まれ変わりでもある。
本人も周りの人も苦しみながら現実のこととして受け止めたり拒絶したり。
これからるりちゃんとアキヒコさんはどうなるのか?
堅さんとみずきちゃんはどうなるのか?
勝手に色々想像してみたい。
どちらも幸せであることを祈って。
投稿元:
レビューを見る
直木賞受賞、おめでとうございます!
読みやすく、面白かったです。
生まれ変われるなら、いつの誰になりたいだろう、想いのために。
投稿元:
レビューを見る
なんて素敵な物語!
こんなことがあるんだろうか。いや、ないない。あるわけないか。でも、ないとも言い切れないかな。
この物語の素晴らしさは、瑠璃が月の満ち欠けのように、何度も生まれ変わって哲彦の前に現れることではなくて、もちろんそっちがメインであって、素晴らしいのだが、また小山内の奥さんも別の少女となって現れてるのかな?と思わせるところがいい。
最初はファンタジーかな?苦手かも。と思いつつ読んでいたのが嘘のように夢中で読んでました。佐藤さんの文章もすごく綺麗で良かった。言葉の使い方とか。
この小説が直木賞を受賞して本当に良かった。初めて読んだ作者でしたが、一気にファンになりました。良い作品を読ませていただきました。ありがとうございました!
投稿元:
レビューを見る
面白いけど、ちょっとクドイかな。
4代目は長いだろ。
さらに無駄に前後するので話を追えなくなる。
あと文書が長い。頭にすっと入ってこない。
投稿元:
レビューを見る
少女漫画ならおなじみの設定、生まれ変わり。
あたしもご多分にもれずに大好きな設定で、今回の直木賞受賞を知り、読みたいと思い、本屋へ。
しかし見つからない!
都心で4軒まわって見当たらず、こうなると余計欲しくなるもの。
5軒目にようやくありました。
さて、感想は。
うーん。
期待したほどではなかったかな。
ヒロイン(1代目)がそこまでの固執をなぜ彼にもったのかがわからなくて、そこから先に必然性が感じらなくて。
あと、ラストはどうするんですか笑
年の差あきすぎー!
投稿元:
レビューを見る
面白い。いい意味で裏切られた。
ミステリのようでありながら、実は恋愛小説でした。
生まれ変わりによって、時系列越えた伏線が多く含まれているのがいい。
投稿元:
レビューを見る
去年の直木賞受賞作。
生まれ変わりがテーマで不思議な話ではあるが、基本は恋愛小説。メインは命を越えた純愛だが、登場人物により違う形や嫉妬もある。
大感動という感じではないが、先がどうなるか読む手が止まらず、面白かった。
本の最後はハッピーエンドでよかったが、物語の時間では東京駅のシーンが最後なのですね(スマホを持ってたりする)。
時間があちこちに前後してわかりにくいし、人物の相関関係も複雑だが、そこが肝になるし、それを用意しといたらネタばれになるからしかたない。
伏線が張り巡らされてるので、もう一回読んで確認したいかな。
投稿元:
レビューを見る
生まれ変わりの物語ですが、瑠璃から三角への圧倒的な恋愛の物語ですね。淡々とかかれていますが、それがいいのかも。一気読みしたものの、個人的には、もう少し感情を強く押し出した風が好きなので。優しい作家さんなのかな。