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地方史から見たオーストリア史
2022/12/07 21:32
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投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
オーストリアの歴史といえばどうしてもハプスブルク家を中心とした帝国の歴史として捉えがちだが本書はオーストリアの9つの州に着目して地方史からオーストリア史を書いている。オーストリアは帝国崩壊後は小さな領土になってしまったがその中でも各州ごとに異なる歴史を辿ってきたことが面白い。例えば同じアルプスに位置する隣同士の州でもティロルとフォアアールベルクでは親オーストリアと反オーストリアの気風が違うという点など興味深い。
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欧州の主役たる華やかな歴史の一方、多くの苦難も重ねたオーストリア。ウィーンだけではもったいない、魅力的な九つの州でたどる物語
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オーストリアの歴史というと必ずハプスブルグ家の歴史であり、モーツァルト、フロイト、クリムトらが紹介される。この本は、お決まりパターンではなく、ハプスブルグ台頭の前の時代から、ハプスブルグ帝国が拡大していく過程、それをウィーン、ザルツブルクと、ニーダーエスタライヒ、ブルゲンラント、シュタイアーマルク、オーバーエスタライヒ、ケルンテン、ティロル、フォアアールベルクの9つの地域別に1000年の歴史を振り返り、重なりつつ、全体として1つの本にまとめたもの。30年戦争の説明の中で、仏が宗旨に反して何とプロテスタント側を支持していたという宗教戦争ではない側面が紹介されて面白かった。またリンツのザンクト・フローリアン修道院のオルガニストとしてブルックナーが出てくることは私にとっては望外の喜びだった。帝国崩壊後にドイツ民族だけの残滓のような国家が残り、ナチスドイツに熱狂的に同化していったこの国の背景が改めてよく分かった。またイタリアとの南ティロル領有を巡っての複雑な関係性など…。シンデレラ城のモデル・ホッホオステルヴィッツ城とは今回初めて知った。
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第1章 ニーダーエスタライヒ―「世界帝国」発祥の地
第2章 ブルゲンラント―幅三五キロメートルの「国境線」
第3章 シュタイアーマルク―オーストリアの「緑の心臓」
第4章 オーバーエスタライヒ―「アルプスの国」の原風景
第5章 ケルンテン―リゾート文化と右翼政治の狭間で
第6章 ザルツブルク―大司教たちの夢の跡
第7章 ティロル―翼をもがれたオーストリアの鷲
第8章 フォアアールベルク―西方への架け橋
第9章 ウィーン―異文化が交叉するミクロコスモス
著者:山之内克子(1963-、愛媛県、西洋史)
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ハプスブルク家のある、ウィーンのある、オーストリアがなぜ中山間地域政策が充実しているのか理解が難しかったのだが、その理由の一つは歴史にあったのだと思う。
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9つの州ごとの歴史を辿っていて、これまでほとんど知ることのなかったウィーン以外の地域の歴史を学ぶことができた。国境を接する相手国によって辿る歴史もずいぶん異なっていたことがよく理解でき、改めて島国日本との大きな違いを感じられた。