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「これでおまえも一人前だな」入社三年目の夏、常に最下位だった営業成績を大きく上げた修哉。上司にも褒められ、誇らしい気持ちに。
だが売上伝票を見返して全身が強張る。本来の注文の11倍もの誤受注をしていた──。
躍進中の子役とその祖母、凄惨な運命を作品に刻む画家、姉の逮捕に混乱する主婦、祖母の納骨のため寒村を訪れた青年。
人の心に潜む闇を巧緻なミステリーに昇華させた 5 編、どれもこれもじっとりとした後味の秀逸な短編集。
オススメです!!
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やっぱ芦沢さんうまい!長編、短編どっちもうまい!
今作は独立した5編の短編。私はなかでも「ありがとう、ばあば」と「姉のように」が好き。というか怖い。
「ありがとう、ばあば」は9歳ながらにして、いや、子どもだからこその、迷いのない悪意が本当に怖い。てっきりおばあちゃんが嫌いなんだと思っていたのに。まさかおばあちゃんが嫌いなわけではなく、自分が大好きなだけだったとは。
そして「姉のように」はまんまとはめられた。長崎と福岡が舞台という、個人的にニヤリとする舞台設定なのもいい。犯罪者になった姉のようになりたくない。なってしまったらどうしよう。そう怯えるあまり、精神のバランスを崩してしまった母親の悲哀。そして起こる悲劇。そして明かされる衝撃の大逆転劇。
芦沢さん、本当にすごい。
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ミステリ短編集、ちょっと久々の芦沢央。
本来注文の11倍もの誤受注をしてしまった営業マン、躍進中の子役とその祖母、凄惨な運命を作品に刻む画家、
姉の逮捕に混乱する主婦、祖母の納骨のため寒村を訪れた青年・・・「心の闇」を主軸に5編の短編で綴っています。
なかなかにイヤミス感満載で読み進めましたが・・・最後の一編が救いでした。私的には満足な一冊です。
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5編収録の短編集。『ありがとう、ばあば』。孫を溺愛している祖母。孫のことを誰よりもわかっているという思い込みが取り返しのつかないことに。理解したと思った時から見えなくなってしまうもの。タイトルの意味がわかった時の怖さが見事。
『姉のように』。憧れだった姉が事件を起こす。それから取り憑かれように自分も同じことをしてしまうのではとなる。子どもへ向かう暴力的な感情は読んでいて辛くなるほど。母親の心情、孤独が痛いほどに迫ってくる。そしてラストのどんでん返しも綺麗にきまっている。
『許されようとは思いません』。閉鎖的な慣習が残っている村。よそ者を差別する場所で暮らした祖母の耐える日々の描写が辛い。人の醜さ、祖母の優しさ、そして事件。祖母の言葉が反転する瞬間やラストに至るまでのドラマがいい。
どの短編も仕掛けがあるけれどそれだけではなく人の心の暗い部分や追い詰められたりパニックになったりする感情も描かれていてそこがとくに読み応えがあった。
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最後の二つが良かった
序盤から中盤まではオチというオチがなく退屈でしばらく読むのをやめていたが、久々に再開し、表題を読んだら評価が変わった
村十分と言う言葉、初めて聞いた
大人のいじめも陰湿
大人がいじめをし続ける限り子供に連鎖し続ける
虐めている側も自分の子供はいじめられる側になるかもしれないことを片隅に置いておくべき
田舎は良いなと思うが…怖い
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〇帯文「このどんでん返しがヤバい!!」の通り、ヤバいイヤミスがやって来た
表題作を含めた5つの短編集。
イヤミスの女王、は言い過ぎだろうか。しかしこの芦沢氏の本にはそれを言わせるだけの力がある。
・目撃者はいなかった
営業職の葛木は発注ミスのために営業成績好調となる。その発注ミスを隠そうとするもその移動中交通事故に遭遇。そのまま通過してかわそうと思うが、その遺族が目撃者を欲していて…
・ありがとう、ばあば
閉じ込められた、ベランダに。杏ちゃんどうして?早く開けて?ばあばはあなたのためにやってきたじゃない―――ばあばの苦悩と、杏ちゃんの苦悩は、違った。
・絵の中の男
わたしが従事してきた浅宮二月先生が最後に描いた絵の意味とは。その絵を書かなければならなかった理由とは。
・姉のように
なぜ姉さんはあんな事件を犯してしまったのか、なぜ相談できなかったのかと考えているうちに―――人間は知らず知らずにうちに、誰か最も信頼している相手をトレースしてしまうものなのだろうか。
・許されようとは思いません
彼女である水絵と、亡くなった祖母の家に来た諒一。そこで亡くなった祖母が置かれた、不思議な状況について回想する。祖母が曽祖父を殺してしまった理由とは。
この5編を突き通すのは、やはり「イヤなミステリ性」だ。後味が悪い、とにかく悪い。「目撃者は~」はサラリーマンの私にとっては、身につまされるような話である。いつでも生身の人間が起こしかねない、そんな物語たちばかりだ。
ただ最後の表題作「許されようとは思いません」だけは、少し違った。解説で池上冬樹氏も言う通り、"温かい余韻が残る(p309)"。人間らしい嫌な部分だけでなく、人間らしい温かい面も見てほしいという、筆者が与えてくれたせめてもの救い、だろうか。
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途中で違和感に気付いて予想してみたりもするけど、全然当てられない。不愉快な終わりなのに、読んでしまう。流行っているイヤミスとはまたちょっと違うような。この人のは何作か読んだけど一番嫌なイヤミスだった(褒め言葉)。
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短編集は少ない時間でサクッと読めるので良い。
どの話も、最後どうなるの…?とワクワク(内容があまり明るいものではないので、この表現は少しおかしいが)しながら読むことができた。
「姉のように」は読み始めに罠が仕掛けてあり、オチでそういうことか!とまんまと騙された。内容が子育ての苦悩の中で起きる事件で、なんとなく他人事と思えず怖かった。
表紙が不気味。
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ミスを隠そうとした行為がどんどん悪い方へ繋がってしまう営業の話は読んでいてドキドキしてしまう。それから子どもを死なせてしまう母親の話「姉のように」は胸が痛くなった。2〜3歳位の年齢は反抗がすごくて親をイライラさせるって自分の経験からも分かっている。もちろん虐待は絶対にいけない。でも一般的に言われている「子供の目線で話して」「選択肢を与えて子供の気持ちを満足させて」「褒めてあげて」などといったやり方で上手くいく子とそうでない子がいるのは否めない。難しい子って育児書に書かれている方法を試したってそのままだから。「姉のように」に出てくる子供もきっとそんな難しい子の一人だと思う。相談場所があれば、母親を子供から離して母子ともにリフレッシュする時間を増やしてあげたらと思わずにいられなかった。
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帯にある「このどんでん返しがヤバい!」という惹き文句ほどにはヤバくないと思います。どんでん返しにやられた感はないけれど、何故だ何故こんな目に遭わなければならないんだと焦りおののきながら話が進んで行く様子が面白い。
開き直っているかのようなタイトルだから、堂々のイヤミスに終始すると思いきや、表題作となっている最後の1編のみ明るい終わり方で、おかげでとても良い読後感。
どうでもいいことですが、P184に登場する「増築され続けた館」はウィンチェスターハウスですね。昨年その映画も観たところだったのでより楽しめました。
映画『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』の感想はこちら→https://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/0ca920789e47a5157dfbe21223d248b4
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よく行く本屋で積んでいたので購入。
短編集ということで各話非常にテンポも良く読みやすい。
帯には「どんでん返しの連続!」といったフレーズであったが、意外なオチというより各主人公の心理描写で読ませる作品集。
前半の三篇は面白いが、正直そこまでかなぁと思っていたが、「姉のように」で印象がガラリと変わった。
まるで実話のようなリアリティに読ませる文章力、そしてオチが見事に噛み合った秀作。
表題の「許されようとは思いません」もオチというより田舎の風景描写や村人達の悪意を子供の目線の漠然とした不安感を醸し出すなかで、結婚とは何か、幸せとは何かを問いかける様が良い。
一冊全体としての構成も工夫されてコース料理の前菜、メイン、デザートといった、軽めで滑稽な「目撃者はいなかった」から始り、全体的に暗かったり、後味が悪いホラーな三篇を経て、表題の最後に読了感を柔らかくするあのような〆も見事。
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どんでん返しの短編集。
面白かったけど、暗い話が多くて読んでて楽しくはなかった。
躍進中の子役とその祖母を描いた「ありがとう、ばあば」が一番面白かった。少し先が読めたけど。
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「罪の余白」は印象に残る作品で、映画も見に行ったくらいだったので、その著者の作品ということで本作を手に取りました。
短編集はあまり好きではないのですが、なかなかに楽しめました。全5編、どれもスパイスが効いてるとでもいうか、ひねりのある展開が良かったです。
あとがきでは「姉のように」が一番良いとされてますが、個人的には「ありがとう、ばあば」一番お気に入り。お気に入りというより、一番インパクトがあって印象に残った、という方が正しいかな。
年賀状を出されたくない。喪中なら年賀状を出さなくていい。だから…… と、ロジカルに冷徹な判断を下した少女、杏。過干渉なばあばと、無神経な母親に対するいら立ちがあいまって杏に共感してしまったことが、一番印象に残った要因なのかも。
登場人物が目的達成のために合理的な手段を取った、という点はどの作品も共通しているように思います。ただ、その手段は「マジでそれやっちゃう?」的なものがほとんどだったので、全編どこかしら背筋がヒンヤリする空恐ろしさを感じました。ホラーじゃないけど、夏に読むのにちょうどよかったです(笑)
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ミステリ短編集、ということで、旅行先でも気軽に読めるかと思い手に取りました。
作品それぞれの、ミステリとしての質は高く、読者のミスリードを誘ったり、終盤のどんでん返しでアッといわせたりと、引き込まれつつ読むことができました。
一方で、作品それぞれのテーマが「現実的」すぎる、とでもいうのでしょうか(うまく感覚を言葉にすることができないのですが)、読後にべったりとまとわりつくような不快感が残っている印象もあり、繰り返して何べんも読みたいと思える作品ではなかったです。
ミステリ仕立ての「怪談」という雰囲気の作品であるようにも感じたので、そういったジャンルが好きな方であれば、楽しめるかもしれません。
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この人の物語は
思わぬ事態の連鎖というか
これでもか、これでもかと、
不幸が続く
小説だからいいけど、
読み続けると疲れる