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今は亡き私の祖父の話をしよう。
祖父は憲兵だった。
祖父の弟は若くして満州の愛河という場所で戦死したらしい。
祖父の家には弟の遺影があった。
遺影には「悠久大義」と言う言葉が書いてあった。
永久に国家のために…と言う意味だろうか。
そんな祖父は戦後50年目にこんな句を残している。
「わがをもい 子供たち笑って 送る幸せを」
この本を読んで私は何も語れない。
誰を想って泣いたらいいのか分からない。
好きとかそういうレベルではなかった
全人類必読の一冊。
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戦時中の言論統制、公安警察を伏線に極上のミステリーに仕上がってます。ご馳走さまです。
あと、敵役も含めてキャラクターがみんな素敵です。
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始まりからテンポがものすごく良くて、のめり込むようにして一気に読んじゃった。ドキドキしながら真相を一緒に追っていくスリルは推理小説の醍醐味だな…ヤミツキになる…
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日本人にとって戦争の記憶というものは、やはり決して風化させてはいけないし、受け継いでいかなければならないと、改めて考えさせられる。
政権と警察組織、そしてメディアの関係は、現実社会でも思うところはあるだけに、生々しく感じる。
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犯罪者が修司、幻夏が相馬中心の物語なら、今作は鑓水の物語。鑓水の卓越した推理力と作戦立案力の理由が分かるが、理由はかなしい。
途中の戦時中のシーンがものすごくリアルで、それがあったからこそみんなが動いたことに納得がいく理由が付される。参考文献の多さから、丁寧な取材や調査をされたのだろうと推測できる。
シリーズ全般を通して、公権力へ立ち向かう姿が描かれているが、今作が一番スッキリとした終わり方をしてくれました。テーマがどれも重たく、読後はずしんと何か残るような感じ。いい読書をさせてもらいました。
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めちゃくちゃ面白かったです。
強い想いに心打たれました。戦争の話が辛いけど、現実に抱えて生きてきた人たちがたどるであろう行動が、リアルに思えてかっこよかったです。巻き返しも、なかなか爽快でした。
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犯罪者、幻夏、天上の葦と一気に読んでしまいました。余韻が強すぎて、次の本に入り込めない日が数日間続きました。これ程までに色々な感情を引き出された物語は無かったように思います。
戦時中の描写、疎開の意味など、本来なら学校でちゃんと教えなければならない事なのだと考えさせられる事ばかりでした。
二十年後、三十年後が、この本が「物語」のままで読まれている世の中で在ることを心から願います。
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戦争のシリアスな内容からスリリングな逃亡シーンやら、悪を追い詰める爽快感、感動といろんな感情をひとまとめにしたとても読み応えのある本でした!!鑓水がボコボコにされながら相手を追い詰めるシーン、島から老人たちが力を合わせて鑓水らを逃すシーンとか楽しかった。
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サスペンス・ミステリー
ということで手に取ったが
内容は深く濃い
今「報道」が問われている
政府べったり
戦時中の「大本営発表」と酷似している
記者が進んで忖度してすり寄っていく
老人の長い長いストーリーが語られる
そこに込められているもの
それに真っ向から立ち向かっていく若者
ハラハラしながら
読み続けた
面白かった
考えさせられた
≪ 天上の か細い葦を 指し示す ≫
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過去の戦争が絡んだ重いテーマで様々な思いが駆け巡って感想がまとまらない。
国の有事が最初小さな火から始まって戦争という大火になるという道のりは身震いするほど恐ろしかった。それとは真逆に、一人に端を発した小さな静かに燃える志が戦後沈黙していた者たちや戦争を知らない命を生きる者たちを動かして、後半の反撃の大きな火に転じる展開は熱い感情がこみ上げる。
もうあの自由にものが言えない時代をくり返さないために、老いてなおそれぞれが最善を尽くす彼らの決意の固さに瞠目。これからを生きる世代にぜひ読んでほしいと心から願う。
B29が飛ぶ七十年前の空を私たちは知らない。けれど、その空に至った道のりを知り、本当に闘わなければならない敵は内にあるということを常に忘れずにいたい。正光の指差した空が未来永劫続くために…。
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上巻からの一気読みで大満足の作品でした。
感想はゆっくり書いていきます(笑)
鑓水、修司、相馬の3人が辿り着いた瀬戸内に浮かぶ小さな小島。
正光が死ぬ間際に見上げた空に映し出された謎を解く為に、唯一の手がかりだと思われる白狐を探しながら徐々に解き明かされる謎。
それは想像だにしなかった先の大戦に隠された真実へと繋がっていく。
全ての謎が解けた時に見上げた空は何もない青い空だった。
これだけの長編にもかかわらずページをめくる手を止められない見事な作品でした。
惜しむらくは本作が著者の作品の初読みであったこと。
「犯罪者」「幻夏」もいつか必ず読もうと思います。
説明
内容紹介
日常を静かに破壊する犯罪。 気づいたのは たった二人だけだった。
失踪した公安警察官を追って、鑓水、修司、相馬の三人が辿り着いたのは瀬戸内海の離島だった。山頂に高射砲台跡の残る因習の島。そこでは、渋谷で老人が絶命した瞬間から、誰もが思いもよらないかたちで大きな歯車が回り始めていた。誰が敵で誰が味方なのか。あの日、この島で何が起こったのか。穏やかな島の営みの裏に隠された巧妙なトリックを暴いた時、あまりに痛ましい真実の扉が開かれる。――君は君で、僕は僕で、最善を尽くさなければならない。すべての思いを引き受け、鑓水たちは力を尽くして巨大な敵に立ち向かう。『犯罪者』『幻夏』(日本推理作家協会賞候補作)に続く待望の1800枚巨編!
内容(「BOOK」データベースより)
失踪した公安警察官を追って、鑓水、修司、相馬の3人が辿り着いたのは瀬戸内海の小島だった。そこでは、渋谷で老人が絶命した瞬間から、思いもよらないかたちで大きな歯車が回り始めていた。誰が敵で誰が味方なのか。あの日、この島で何が起こったのか。穏やかな島の営みの裏に隠された巧妙なトリックを暴いた時、あまりに痛ましい真実の扉が開かれる。すべての思いを引き受け、鑓水たちは巨大な敵に立ち向かう!
著者について
●太田 愛:香川県生まれ。大学在学中よりはじめた演劇活動を経て、1997年テレビシリーズ「ウルトラマンティガ」で脚本家デビュー。「TRICK2」「相棒」など、刑事ドラマやサスペンスドラマで高い評価を得ている。2012年、本作『犯罪者 クリミナル』(上・下)で小説家デビュー。13年には『幻夏』を発表。日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)候補となる。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
太田/愛
香川県生まれ。「相棒」「TRICK2」などの刑事ドラマやサスペンスドラマの脚本を手がけ、2012年、『犯罪者 クリミナル』(上・下)で小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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山波を追う鑓水たちが辿り着いたのは、瀬戸内海の小島、曳舟島。
正光の病院に届いた白虎からの葉書の住所から判明。
白虎は元校長の喜重。喜重は元新聞記者。大本営の正光と知り合い交流
大本命発表に従い疎開の記事を書く。東京空襲で死んだ子供達を救えなかったことを引きずり教師になった。正光は産婦人科医。
喜重は新聞記者を辞め薬中になった。正光が救い出した。
正光の死を確認するちその真相を伝えに見た山波を保護。追ってきた公安の半田を拉致。鑓水、相馬。修司が島を訪問。テレビ番組の取材を理由。
前島が岡山県警に捜査依頼。喜重達を逮捕した警察を島民はゆるさない
3人の脱出を協力・
山波は前島から捏造データで新番組のキャスターを逮捕する会話を録音
音声データをネットで拡散。公安が削除。大手メディアは忖度。
キャスターと合流するが鑓水が公安に逮捕。
前島は派閥争いに利用されている。事実をオープンにしないと公安の責任になると説得。
前島は山波の認知症の母を誘拐。
キャスター逮捕を指示した政治家は議員辞任。
正光が天に向けて指さしたのは今なき玉電ビルのゴンドラ。
新番組の担当者は退社。
社長に正光が訪問した事実は女秘書から依頼者に漏れていた。
そこでは、渋谷で老人が絶命した瞬間から、大きな歯車が回り始めていた。穏やかな島の営みの裏に隠されたトリックを暴いた時、痛ましい真実の扉が開かれる…。
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「天上の葦」(太田 愛)を読んだ。
まず頭に浮かんだのが、
『戦争が廊下の奥に立ってゐた』
という渡辺白泉の句だった。
とにかく読んでいてゾワリと背筋が凍えるのだよ。
白泉が戦争に出くわしたその廊下にこの先私達が何を見るのかを決めるのは私達自身の行動なのだよと強く思わせる力作です。
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素晴らしい作品でした。読後に打ち寄せるこの思いは、感動という言葉に置き換えられることを嫌い、権力への反迎合という鎧を纏い心の襞そして奥底へと染み突き刺る。ミステリー、エンタメ、警察、公安と様々な方向の
楽しみ方の提供もまた秀逸。だが『正光』が死ぬ直前、天を指し託した壮大で深淵、遠大なテーマが歴史を纏い歩き始める今の時勢の中で、我々一人一人が傍観者ぶる現世への警鐘が作者の上梓を早めたのが、思い過ごしであればいいのだか!!!!!察して行動する、忖度して動いた、だけでは、悲劇は繰り返される。
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〈上下巻合わせて〉
「犯罪者」「幻夏」の鑓水、相馬、修司の3人が、再登場。前2作に続き本作も、現状の日本の体制・制度に対する問題提起が強め。
ある日1人の老人が、真っ昼間の渋谷のスクランブル交差点のど真ん中で、空を指差して絶命する。鑓水の事務所にその謎を解明する依頼が舞い込む一方、謹慎中の相馬は失踪中の公安刑事を探す特命を受ける。
全く関係の無い様に見える複数の出来事をミステリアスに散りばめ、次第にそれらの点が線で繋がり、平面になり、そして全体像が明かされるそのプロセスが素晴らしい。
そして最終盤での大立ち回りからの大逆転劇からの大団円は愉快痛快で非常に満足。面白かった。