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【米国日系三世の現実と記憶――鮮烈な三島賞受賞作!】少女期に受けた壮絶な虐めの後遺症を抱えシリコンバレーで働く日系三世のレイは、自らと向き合う旅に出る。三島賞受賞作他一編。
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第30回三島賞受賞作。
読み終えた後、これは『対話』の物語なんではないか、という気がしている。但しこの対話に、『相手』がいるとは限らない……。
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マイノリティの辛さが伝わってきました
日本というほぼ単一民族国家に住んでいては中々考えることがないテーマかと思います
読みやすいし、テーマもはっきりしていてよいです
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表題作はアメリカのソフトウェア会社で働く日系三世の女性・レイを主人公に据えた物語です。会社から強制休暇を命じられたレイは、かつて祖父母が収容されていた日系人収容所を訪れ、アメリカ人になりきろうとした母と、日本人であることを捨てなかった祖母との間をかつて取り持ってくれたミヤケ氏の名前を見つけます。ミヤケ氏の息子に会いに行ったレイは、祖母と没交渉状態だった母が、レイの学費のために祖母に頭を下げにいったことを知り・・・
レイの会社が製作した「トラック・クラウド」が象徴的ですが、様々な壁、例えば世代であったり人種であったり言葉であったり親子関係であったりを、いかにして乗り越えるかいうところが本作のテーマであると解釈しました。大変読みごたえのある良作ですが、過去のいじめのトラウマをずっと引きずっているっていう設定が安易に思えたのと、主人公にあまり切実さが感じられなかったところは弱いかなとも思えたので、星は4つとさせてください。
同時収録されている「半地下」もアメリカを舞台にした日本人姉弟の物語です。父親が失踪し、食べていくためにプロレスラーとなった姉は、移民孤児の凶悪なキャラクターという、いわば「自分を偽った」形で生き残ろうとしますが・・・
設定自体もそうですが、自らのアイデンティティのありか、言葉の壁といったテーマについても表題作と相通じるところがあり、こちらも面白く読めました。ラストがやや中途半端に感じられたのは純文学フォーマットだからなのかなあ。
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だいぶ前に読んだ「盤上の夜」の作者さん。
何となく文章の美しさやお話の不思議さというのが印象に残っており、この本のタイトルもまたそれらを想起させられたのだけど、内容は全くイメージしていたものとは違ったな。
表題作は何気に三島由紀夫賞受賞作で、普段は芥川賞や三島賞の系統は敬して遠ざけているのだけれど、チラ見した解説に『言葉をめぐる物語』と書いてあったのに惹かれて買ってみた。まあ、たまにはこういう文章に触れるのも良いかも。
正直なところ、作者が言わんとしたことについて充分に理解できていないのだけど、にも拘らず、文章のクールな美しさとかリズムのようなところに助けられて、あまりつっかえずに読み進められた。
読み終えて今度はしっかり解説を読むと、物語に秘められた構成の深さが幾分でも腑に落ちて来て、私の浅い読み方では行き届かなかった作品の底意にほんの少しだが手が届いた感があった。
併録されている(と言ってもこちらの方がページ数は多い)作品も、描かれる背景やイベントの数々に過ぎ去った時代への愛惜の念が感じられ、寧ろ生硬さが感じられる分だけ私には分かり易く、こちらもなかなか好ましかった。
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表題作と「半地下」の2編。とちらも米国で差別を受け悩む日系人が主人公。英語と日本語という相容れない言語で思考するアイデンティティの葛藤?ちょっと難しかったです。
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デビュー作から、順番に読んできて、作者は一作ごとにいろいろ実験しているのでは、と勝手に解釈している。ああ、今回はこう来たのか、と言うのが第一印象。私小説では無いにしろ、自分の経験、心の奥の何かを主題に書いたのかな(文学って全部そうだろ!)。結果、いい作品じゃん。微妙な優しさ?が漂っている気がします。これからも、天才の秀作?には最後まで(先に寿命が尽きるっつうの!)お付き合いしたいと思います。宮内さん、頑張って書いて下さい。よろしくお願いします!
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「カブールの園」4…幼少期における母親との共依存と学校でのいじめをVR治療する女性ITエンジニアの話。リミックスのクラウドサービスの詳細さはさすがプログラマー。
「半地下」4…ニューヨークで父に失踪された姉弟の奮闘。処女作に手を入れたものらしい。
宮内作品はその美しくクールな文体が好き。