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玄太郎おじいちゃんの、抱腹絶倒の事件簿。
岬シリーズがどちらかというとドリーミーな推理小説なら、
こちらはお硬い社会派。
主人公が車椅子に乗った、強健なおいじいちゃんだからね。
トリック自体は難しくはないのだけど、
読み手を飽きさせないテンポの良さ。
各短編のタイトルがすべてシャーロックホームズシリーズに掛けてありますね。
みち子さんは、さしずめワトソンかな。
四作目までは楽しく読めていたんだけど、
五作目ラストのシーンを読んだら、
寂寥感がこみ上げてきた。
あぁ、ちゃんと物語は続くのです。
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さよならドビュッシーを再読したくなる。
ぶれのない主人公ですごく好感がもてて、読んでてすがすがしい気落ちになった。
中山七里の中で一番好きになった作品。
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『さよならドビュッシー』、『おやすみラフマニノフ』の岬洋介シリーズなのかと思いきや、『さよならドビュッシー』の冒頭で退場する、玄太郎おじいちゃんと介護人のみち子さんが主役。
音楽要素は、ほぼ出てきません。「だ、騙されたー!!よくもやってくれたな宝島社!」と最初は思いましたが、この釣りタイトルでなければ手に取っていなかったと思います。
そして、読み終わったときには、「釣ってくれてありがとう、面白いわコレ」という気持ちに。
安楽椅子探偵…ではなくて、車椅子探偵。しかも、車椅子姿で暴れまわり、啖呵を切るおじいちゃんのパワフルなこと!
言っていることはメチャクチャですが、気づいたら「よくぞ言ってくれた!」と、心の中で拍手している自分がいました。
トリックは単純ですが、気軽に読めて爽快。最終話でようやく岬洋介が出てきますが、良い繋げ方でした。ぶっちゃけ、このシリーズの中で、前奏曲が一番面白いかも。
これを読んだ後だと、『さよならドビュッシー』も違った味わいで読めそうです。
ということで、おすすめ読み順は、『さよならドビュッシー』→この本→もう一度『さよならドビュッシー』かな!
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『さよならドビュッシー』のエピソード・ゼロ。車椅子の玄太郎おじいちゃんと介護者・みち子さんコンビが大暴れ!玄太郎は下半身が不自由で「要介護」認定を受けている老人だが、頭の回転が早く、口が達者な不動産会社の社長。ある日、彼の分譲した土地で建築中の家の中(密室状態)から死体が発見された。お上や権威が大嫌いな玄太郎は、みち子を巻き込んで犯人捜しに乗り出す・・・。リハビリ施設での怪事件や老人ばかりを狙う連続通り魔事件、銀行強盗犯との攻防、国会議員の毒殺事件など、5つの難事件に挑む。
この著者の初短編集なのかな?ドビュッシー(本編)でわりと好きな傾向だったので手に取りました。多分本編を先に読んだ方が楽しめる気がします。玄太郎と孫の関係や、岬先生との出会い、最後の告白など結構知ってるネタで楽しめると思います。最後はちょっと切ないけれど。みち子さんとの関係が本編ではあまり読み取れなかったのでドタバタな感じの中で互いに信頼している様子にじんとしました。強靭な精神力、まっすぐな信念に敬意を示しつつ見習いたいです。ただしちょっとだけ(笑)
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さよならドビュッシーに登場した香月玄太郎氏が今回の主役。
すごい眼力と舌口で事件を解決。
流されず自分の信じた道を突っ走る頼もしい老人。
最後去ってゆくところ、あぁ…てなる
ヘルパーの(綴喜)みち子さんとの掛け合いは、本編ではなかったから新鮮。
みち子さんの言い回し好き♪
ピアニスト岬洋介は最後にちょびっとだけ登場。
実年齢以上の経験値をどう積んだのか過去を知りたい。
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要介護探偵の冒険/要介護探偵の生還/要介護探偵の快走/要介護探偵と四つの署名/要介護探偵最後の挨拶
さよならドビュッシー前奏曲 とは ぴったりの題名でした
玄太郎じいさんが、こういう人だったとは……
こういう人だという描写が有ったかどうか記憶にありませんが、これほどはっきりしたキャラクターだったかしら??と思いながら読みました。
歯に衣着せぬ物言いは、矛先がこちらでなければある意味爽快かもしれない。こちらに向いていたらやっぱりげんなりするんだろうな。でも憎めないとは思うけどね、芯があると思うから。
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さよならドビュッシー 冒頭でお亡くなりになる(キャラクターとしてあまりにも惜しい)玄太郎おじいちゃんの事件簿。ミステリとしては想像付いてしまうそこそこなんですが、玄太郎氏の反骨精神あふれるw言動が小気味良くてそれだけでも買い。
みち子さんとの馴れ初めも読め、岬さんとの馴れ初めも読め、スピンオフとしても上出来の一冊。
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まず目次でニヤニヤさせられますね。
肝心のお話も、短編だけど1つ1つ手を抜かずに構築されています。このおじいちゃんは、これだけで終わってしまうのはもったいない。とは言え、蛇足が過ぎると野暮になるか。物語の中だけでなく、小説のキャラクタとしても傑物でしたね。
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面白かったです!
最後にびっくりさせる中山七里さんの作品は、序盤、中盤を乗り越えれば最高な結末として記憶に残るのですきです。
短編だったので、程よい間隔で衝撃があったのもよかったです。
さよならドビュッシーとセットで読むべきで、さよならドビュッシーだけより何倍も何百倍も楽しめる素敵な本でした。
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「さよならドビッシー」で強烈なキャラでありながら、早々に物語から消えてしまう玄太郎おじいちゃんが主人公の短編ミステリー。安楽椅子探偵ではなく、車椅子探偵...でもなく、要介護探偵が謎を解く。5編からなり、テンポの良い物語進行で飽きさせない。
ミステリーとしては、トリックがスゴイ訳ではない。トリック以上に、玄太郎おじいちゃんの人生論に絡めた言動が痛快。
「さよならドビッシー」に繋がる話が多いが、「さよならドビッシー」を先に読むべき。
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造形した脇役がもったいなくてスピンオフとして成立した短編集。ミステリーの短編は、その作品でもそうなのだが、登場人物と背景が限られた紙面で語られるが故に、消去法的に犯人が見えてしまうので、落ちはわかってしまうのが残念。
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豪傑。とにかく豪傑。
彼の言動にたくさんの人が振り回される。
だけど人を惹き付けてやまない玄太郎。
特に「要介護探偵と四つの署名」。
自分を人質にした強盗4人グループを出所後は引き受ける度量の広さ。
厳しい言動の中に時折見せる優しさは最高です。
そして「要介護探偵最後の挨拶」。
みち子さんとの掛け合いも楽しいけれど、ここで登場した岬洋介。
この人との掛け合いももっと楽しみたかった。
事件が解決した日、「さよならドビュッシー」の悲劇につながるとわかっているだけにラストは切なかった。
ホントにみち子さんは玄太郎が好きだったんだね。
恋愛感情とかそういうものではなく。
彼女が「さよならドビュッシー」でルシアにしたことは許されることではないけれど気持ちはわかる。
これからもう一度「さよならドビュッシー」を読もう。
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『さよならドビュッシー』へと続く短編集なのだが、主人公は岬先生ではなく、香月玄太郎とその介護士綴喜みち子。
この二人の行く末を我ら読者は知っている。
それをうまく最後の一篇に活かしているなぁ、と感心、感嘆。一方で素直に話を楽しめない自分がいたのも事実。
そんな目新しい試みよりも、玄太郎の頑固一徹キャラがとても良い。
下半身不随の要介護者とは思えない豪胆な立ち居振る舞いには最初から最後まで拍手喝采であった。
浮世離れしている岬先生とは対照的に、玄太郎じいさんは極めて人間臭い。完全無欠のキャラに要介護認定をくっつけることで親しみやすくするなんて、なかなか上手い。
細かいところを突けばまだまだでも、この作者の作品には常にキラリと光る何かがある。
私はこれからも中山七里という作家を読み続けるだろう。
80点(100点満点)
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タイトルどおり、時期的には「さよならドビュッシー」の前にあたる短編集。「さよならドビュッシー」の舞台となる香月家のおじいちゃんが探偵役、その介護士みちこさんが仕方なく助手、という位置づけ。おじいちゃんは豪快で強引で口が悪いけれども、わかる人にはとても慕われている素敵な人。扱いにくいおじいちゃんに「私が見ます!」と介護を引き受けるみちこさんがまたカッコイイ。シリーズに出てくる岬先生とのコラボが見たいとおもったら、きちんと最後のお話で2人が活躍する。エンディングは「さよならドビュッシー」への文字通りプレリュードとなっている。それだけに切ない。
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前作がだいぶ後味が悪かった割に、こっちはだいぶライト。短編だし、勧善懲悪的なストーリー展開も軽い感じ。生還だけは、結末もなかなかだった。他は至って普通。ひとつ深みを出してるとすれば、主人公の前作(時系列では本作の後)での顛末が頭を過ることに尽きる。話が繋がっているということ以上にこの意味において、前作を読んでからじゃないと意味ないと思う。