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久々に、読み応えのある人生相談。私は人に相談しない方だけど、この人にならしてみたい。って人がたくさんいることでしょう。
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浅生鴨さんが何かで書いていたけど、横書きのウェブ連載と、縦書きの紙の本で全然印象が違う。小説のように読んでいる。鋭く鮮やかな解答、エピソード展開、死にかけギャグ。読み物として一級品。これがフィクションではない生身の人間の言葉という衝撃。
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なんで僕に聞くんだろう。
著作者:幡野広志
幻冬舎
癌にかかった写真家になぜかみんな人生相談をした。
タイムライン
https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
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幡野広志さんの本。cakesの記事を読んで、今まで読んできたブログや本と違うものを感じた。「なるほどなぁ」と思う指摘や例えばかり。そして時々ユーモアもある。繰り返し読んだり、パッと開いて読みたくなる本。
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終わりの3つの答え、胸がいっぱいになりました。これは、編集も素晴らしい。
幡野さんに聞いて欲しくなるのわかります。
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なんで幡野さんに聞くのか?
幡野さんは写真家で余命3年を宣告されたガン患者。しかし、なぜか、人生相談が寄せられる。子育てや自殺、病気、恋愛相談まで。
幡野さんはそれらに丁寧に全力で答える。
非常に豊かな洞察力と推察をもって適切にズバズバと答えていく。痛快に。
ー 人は人それぞれの、しあわせを享受するために生きている。
まさしく、そうだと思う。
そして、相談者に寄り添うから、たとえ自殺願望であっても否定しない。「死にたいという気持ちを大切にしてください」とまで言う。
極めて誠実な人だ。
そりゃ幡野さんに相談するよ。
人生に迷ったら、ぜひ読みたい一冊。
その他、心に響いた言葉。
ー あなたが自分にかけた呪いの言葉はいつか、悩む誰かにあなたが掛けてしまいます。あなたが誰かの敵になってしまいます。
ー なにかを否定することは、同時に可能性を否定することでもあります。
ー 誤解を解いたさきにあるのが、理解だと思ってます。逆にいえば、誤解を解かないさきにあるのが、偏見だとおもいます。
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cakesの連載を知ったときから毎週読んでました。
わたしならなんて答えるかなと想像しつつも早く幡野さんの答えが読みたくって、で読んでしっくりこなかったこと一度もないんですよね。
わたしはただの読者で第三者なんだけど、立場変われば同じように思い詰めてしまうかもと思う。その時のために忘れたくないって思う言葉が多い。
相談者さんが欲しがってる答えじゃなく、パフォーマンスの檄文でもなく、それぞれに歩いていく指針みたいなものを伝えています。
百聞は一見にしかずです。
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Twitterのタイムラインを見ていたとき、たまたま知人のリツイートで幡野さんのcakesの連載を知った。たまたま目にした相談内容が衝撃的すぎて、たまたまcakesがキャンペーン中だったこともあり、記事の続きを読んだ。
その後、連載が書籍になったことを知り、出掛けたときにふと思い出して、帰りがけに最寄り駅の本屋に気まぐれに寄ってみたら、この本が売られていた。
色んな偶然が私をこの本に引き合わせてくれた。せっかくのご縁だしなと思い、購入して読んでみた。
cakesで初めて連載を見たときも同じことを思ったけれど、本当に世の中には色んな方がいるのだなと実感した。本当に様々な立場、状況から、様々な相談がある。
私は今、ライフエンジンというオンラインコミュニティに参加していて、1年以上が経った。
そこでは今までの生活では出会うことのなかった人々と出会う機会があり、自分の視野が広がったと感じている。それでも、世界は広い。
本当に色々な境遇があり、自分には想像もつかないような人生を歩んでいる方々もいることを、改めて知った。
幡野さんの言葉が真っ直ぐで、ついページを捲る手が進んでしまう。
自分に刺さる内容もあった。偶然出会った一冊、読んでみて良かった。
間に挟まる写真も素敵だった。
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すごく良かった。
この本、なんで読みたいリストに入れたんだっけ?
と言う位、知ったきっかけも忘れちゃったのだけど、この本を進めてくれた誰か、ありがとう。
感動ポルノとか、自殺が切り札、とか、結構すごいこと書いちゃってるのだけど、個人的には、かなり心に響いた。いや、これだけ反響があり書籍化され売れていると言うことは、本当に多くの人の心に響いたのだろうな。
そのことも、私にとっては背中を押してもらえた気がする。あー、沢山の人が、世の中の建前や綺麗事や嘘に戸惑ったり傷付いたりしてるんだな、と。
あー、スタバでフラペチーノ一緒に飲みたい!
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・今の彼氏や彼女と結婚するかどうか迷っている人は、人生相談を彼氏彼女にしてみるといいです。考えを押し付けてくるようなひとだったり、自分のことを否定してくる人だったら、結婚は控えたほうがいいとぼくはおもいます。子どもができたとき、子どもという絶対的に弱い存在にたいしてもおなじことをするからです。考えを押し付けてくる人って、やっぱり誰かから考えを押し付けられてきたのだとおもいます。p5
・配偶者って、自分が選べるゆいいつの家族です。親兄弟も親戚のおっさんも選ぶことはできないけど、自分の夫や妻は選べるんです。家族選びに失敗したら、変えりゃいいんです。
たくさんの不倫相談に目を通していて、気づくことがあります。それは自分を偽っている人があまりにも多いということです。負い目を感じているためなのか、自分を綺麗に見せようとする人ばかりです。
不倫相談をする方々がよく使う言葉があります。それは「大切」という言葉です。
彼には大切な家族が…。私には大切な子どもが…。
日常会話でわざわざ大切なんて言いません。ぼくは息子のことを紹介するときに、大切な息子です、とは紹介しません。こういう話を聞くたびに、「大切」という言葉には、邪魔という意味が込められているんだなぁっていつも感じます。
「今の彼のこと望むつもりはありません。彼の大切な家庭を壊す気持ちはありません」
相談者さんのこの一文、ぼくにはこう読めます、きっと本心はこうでしょう。「彼の子が欲しいです。私にとって邪魔な、彼の家庭が壊れてほしいです」p12-13
→ガーンポイント。
・ぼくも誰かにたいしてうらやましいとおもうことはたくさんあります。先日もバイクで二人乗りをしている親子を見て、うらやましいとおもいました。
どんな会話をしているのだろう、楽しいだろうなぁーって思うだけですが、これが妬みになり感情が抑えられなくなると、「バイクの二人乗りは危ないですよ、子どもをのせるなんて信じられない」というクソみたいなリプライやコメントをして、まぶしくて直視できない行為をなんとかやめさせようとするわけです。
僕は非難や中傷をしてきた相手の言葉ではなく、相手の真意を探ります。手間をかけてまで非難中傷してくるわけです、きっと理由があります。これがわかると、非難と中傷の言葉が一気に弱まり、まったくといっていいほど気にならなくなります。p17-18
・本当にコミュニケーション能力が低い人というのは、相手との距離感が遠い人ではないんです。相手との距離感が近すぎる人のほうが、むしろコミュニケーション能力が低い人なんだとおもようになりました。
それってたとえば、自分のことをずっとしゃべっている人だったりします。その内容がおもしろくて聞きたいような内容であったらいいのですが、残念ながらそういうこともありません。距離感が近すぎる人というのは、どうでもいい、つまらない話を延々と、相手にまったく口を挟ませずにするような人です。
距離感が近すぎるせいで相手が距離をとって引いてしまい、本人はますます孤独を感じることになります。話を聞いてもらいたいも���だから、出会った人にまた延々と自分語りをしてしまいます。そういう人は、話を聞いて欲しいけど聞いてもらえないという悪循環に陥っているのかもしれません。snsでも日常でもいますよね、本題とはまったく違うのにすぐ自分の話に結びつけて、会話ドロボウをしてしまう人。
じゃあどんな人がコミュニケーション能力が高いかというと、ぼくは、知らないことについてちゃんと知らないといえる人や、相手の言葉に耳を傾けられる人だと思っています。やっぱりそういう人と会話していると、気持ちがいいものです。p20-21
・いまから思い返すと、夢や目標を叶えられなかった人ほど、お前には無理だといってきました。
誰かが目標にむかってがんばっている姿は輝いています。眩しくてその輝きを見たくない人もいるし、その輝きに自分の姿を照らされて苦しむ人もいます。
あきらめる人が増えたほうが気持ちが楽なんでしょう。だって、あきらめた人が多ければ、それが“普通”になるわけじゃないですか。
夢や目標を叶えられなかったことが悪いわけじゃないです。自分ができなかったからといって、足を引っ張ったり、特色に進む人を嘲笑したりすることが悪いのです。
(中略)あなたが声優としてお金が稼げるか稼げないかは、誰にもわかりません。もちろんぼくにもわかりません、友人にもお母様にも、すでに声優で活動している人にもわかりません。だから自分で考えて答えを出すしかありません。そうしないと、人のいうことを聞いてダメだったとき、後悔します。
不安ですよね、誰も理解してくれないから孤独です。でも、不安と孤独と仲良くなって。夢に優しく笑いかけて。そして何よりも夢に誠実に。
「普通」という言葉に気をとられないでください。時代は変わりました、いろんな環境の人がいます、これからの「普通」は多様性です。いろいろな幸せの価値観があります。あなたが幸せならそれでいいんです。p32-34
・答えを見つけられている人からの相談を否定すると、悩みのタネを増やして苦しめるだけです。答えを見つけられている人の場合、背中を押してあげれば、悩んだり少し自信がなかったりしても、勇気を出して行動に移すことができます。
僕はたくさんの悩み相談に目を通していますが、背中を押す人が少ない社会なのだと感じています。親子や自分と距離の近い関係性の人がちゃんと背中を押してあげていれば、僕みたいな死にかけにわざわざ人生相談する必要がないわけです。
残念ながら、親子や関係が近ければ近い人ほど、書いてのことを否定してしまうものなのだとおもいます。しかし相談者であるお母さんとその娘さんは、否定しあう関係ではなく、背中を押しあえる様な関係なのではないかと感じました。
(中略)娘さんは理不尽さを死にたくなるほど勉強しました。大人になってわかったことですが、学校はとてもせまい世界で、しかも通過点です。大人にとっては通過点でも、子どもにとっては、今いる世界のすべてです。
娘さんが自分らしく生きる場所は、学校を出たあとの社会です。とても広い世界です。世界の広さを教えられるきっかけは、お母さんだとおもいます。親だって、学校の先生と同じことをして��たら勝てません。
「人間らしくあの子が生きて行ける様に道筋のヒントを与えながら、今後も頑張ります」というお母さんの言葉がとても心づよいです。僕はきっと娘さんもお母さんも大丈夫だとおもうんです、一緒に成長していきそうですよね。教育ではなく“共育”なんだとおもいます。p37-40
・たしかに彼はアルコール依存症だったのでしょうが、そもそも本人の性格に問題があって、奥さんは離婚を選んだのだと感じました。
「依存症は周囲の理解が必要」ということは理解できますが、耐えられない人はたくさんいます。周囲の人という、たまたまそこのポジションにいただけで、耐えられない人に耐えることを強いることって、僕は間違っているとおもいます。
冷たい意見かもしれませんが、精神的に問題がある人とは、最終的にドライに付き合わなければ、こちらがのみ込まれたり引きずりこまれたりします。ぼく彼の孤独に加担してしまったのかもしれませんが、ぼく守るべきものは彼の人生ではなく、ぼくの人生です。p44-45
・「なんで声をかけるのが正解ですか?」という質問がきます。
すこしキツいことをいうかもしれません。相談者さん、あなたが自分で考えてください。答えや正解を求めたい理由はわかります、失敗したくないからでしょう。その失敗がお父さんを傷つけ、自分の後悔につながることをあなたはわかっているのでしょう。
お父さんがどんな料理が好きだったか考えるしかありません。健康なときのお父さんがどんな人間だったか、あなたしか知らない姿があるはずです。考えてわからないなら今週中にお父さんと話し合ってください。
渡欧さんがどんな病状かはわかりませんが、ガンになったからといってすぐに死ぬわけではありません。お父様がなにをしたいか、どんな生きかたをしたいのか聞いてください。
ガン患者さんに安易に声をかけるのはリスクの高いことです。声をかけるのではなく、ガン患者さんの声に耳を傾けることが正解なんです。なぜなら患者さんは話を聞いてほしいからです。
そして否定せずに、できる範囲でやりたいことの手伝いをしてあげてください。否定されるって本当につらいのよ、やりたいことや生きがいを奪われるぐらいなら死にたいもん。p51-52
・「どんな結果になっても家族は後悔する」ということをいう人がいます。たしかにご遺族にお会いすると、みなさん後悔しています。
患者さんのやりたいことをさせなかったかたは、後悔というよりも、患者さんを苦しめてしまったという罪悪感にさいなまれています。本人が望まない延命治療などを家族の判断で施してしまったかたは、後悔とも罪悪感とも違う異質の苦しみを抱えています。それらは患者さんのやりたいことに二人三脚で進んだかたの後悔の質とはまったく違うものです。
残念ながら患者さんは亡くなるかもしれませんが、家族はこれからも生きていきます。悲しみの中でも家族が生きやすくなるには、どうするべきなのかよく考える必要があります。p52-53
・親孝行という言葉がありますが、これはお金払い続けた人が老後にもらえる年金のようなものです。子どもが親を大切にしたり、感謝したりすることが常識とおもわれがちな社会ですが、子どもを大切にして、子どもに感謝した親が教授できることです。
自分のことを大切にしてくれなかった人を、どうして大切にできるんですか?従業員のことを大切にしている企業の社員は会社が好きになるので、楽しそうに働きます。娘さんの「汚い、近寄るな」という言葉にすべて集約されています。
嫌いな人間とは会話をしたくないし、同じ空間にすら一緒にいたくないでしょう。深夜に帰宅するのは、できればあなたと一緒にいたくないからです。p59
・あなたはいつか彼が離れてしまうとわかっているのに、なんで彼と付き合っているのでしょうね。状況こそ違うものの、ぼくはあなたとすこし似ているのではないかと勝手におもいました。ぼくのたどりついた答えをよかったら参考にしてみてください、
人には人それぞれの、幸せを享受するために生きているのだと、ぼくはおもいます。これは身勝手な話かもしれませんが、ぼくの息子や妻でさえ、ぼくを幸せにしてくれるための存在なのだとおもいます。
だって、自分を不幸にしたり嫌な気分にしてくれる人とは付き合えないですもん。ぼくは息子にも妻にも友人にも、周囲にいる人にはしあわせになってほしいです。p63-64
・大切なのは、自分の幸せの価値観と合わない人とは距離を置くということです。DVや虐待やハラスメント、ブラック企業での勤務などは、しあわせの価値観の不一致が原因だとおもっています。幸せの価値観の被害者になる必要はないわけです。
(中略)ぼくは妻の幸せの価値観を探るために何度も話し合いました。ここで幸せの価値観が一致しなければ、離婚をしていたとおもいます。
妻をぼくのしあわせの価値観の被害者にもしたくないし、ぼくも妻のしあわせの価値観の被害者にはなりたくありません。だからいまでも妻が離婚したいといってきたらすんなり応じるし、誰かとの再婚を願うなら背中を押してあげたいです。
たぶん、この一種の覚悟のようなところも、あなたと似ているのだとおもいます。嫌いな人の幸せなんて願えませんよ、だから幸せって人間を測るリトマス試験紙みたいなものです。
好きな人のしあわせを願うことができて、その好きな人が自分のしあわせを願ってくれることが、しあわせなんだとぼくはおもいます。
あなたの悩みの選択肢の1つに、結婚ということも追加していいのではないでしょうか?p64-66
→この本を読んでいるから、その人の立場もよく顧みずにこういう物言いをするのは、よくないと思うんだけど、それでも絶対つらいのは幡野さんのほうだと思うし、絶望も大きかったとおもう。そんな幡野さんにこんなに優しい声をかけてもらえるなんて……。こんなに良い相談相手いるのでしょうか?泣きそう。
・勉強って人生を豊かにするためにするのだとおもいます。ぼくは学校の勉強はできなかったけど、写真が好きだから写真の勉強をたくさんしました。誰だって好きなことなら勉強できるものです。上達が実感できればなおさらです。料理が好きな人は料理を、ゲームが好きな人はゲームを、音楽が好きな人は音楽を勉強できるでしょ。
もちろん学校の勉強が好きな人をバカにしているわけではありません��数学が好きなことも、歴史が好きなことも、英語が好きなことも素晴らしいことです。勉強して進学することで、選択肢が増えるというのも事実だとおもいます。
だからやりたいことがまだ見つかっていない人ほど、学校の勉強をがんばったほうがいいとおもいます。
息子さん、サッカーが好きで明るくて優しい子ならいいじゃないですか。ぼくは嫌いなことを強いてストレスを与えることが正解だとはおもいません。サッカー推薦がほしいなら、勉強の楽しさを教えてあげるしかないでしょう。
そもそも、勉強ってすごく楽しいことです。知らないことを知ることができるって楽しいですよ。子どものころ勉強が嫌いだったけど、大人になったら勉強をしたくなる人ってけっこいるんじゃない?
本当は楽しいはずの勉強を、相対的評価や成績やテストの平均点で、大人がつまらなくさせちゃったんじゃないかな。大人だって好きな趣味を相対的評価で成績つけられたら、上位の人はいいけど下位の人はイヤになっちゃうとおもうんです。子育てだって成績を国からつけられたらきっと少子化に拍車がかかります。
息子さんにとっては学校の成績よりも、お母さんの「我が子ながらいい子」という言葉の方が一生の宝物になるとおもいます。
1年後の高校受験を考える気持ちはわかりますが、20年後に息子さんがなにをして生きるかということを考えることも大切なことだとおもいます。p92-94
→生まれてくる子どもが素直に勉強を好きになれるように、日本の歴史とか買っておこうかな。俺にとっての漫画サイエンスみたいに。
・こんばんは!幡野です。
挨拶のあとに「!」がはいってると、16歳らしい若さを感じます。不思議なことに同じ「!」でも赤くて太い絵文字だと、老いを感じるんだよね。年齢相応の文章ってあります。そして悩みだって年齢相応なんだよね、とても16歳らしい悩みです。
この相談文は何回も丁寧に書き直したでしょ?一生懸命に相談を書いてくれてありがとう、ちゃんと伝わっています。いつも誤字脱字だらけのぼくに、こんど爪のアカをください、煎じて飲みます。p96
→すごい。本当にすごい。この文章だけで一気に相談者との距離を縮めたと思う。大人が16歳と、しかも人生相談なんてする時は、どうしても大人が上からものを言う構図になっちゃうだろうけど、この導入のおかげで対等になった。まるで子どもと話すときに、膝をついて目線を揃えてあげるような優しさ。本当にすごい、泣くかと思った。
・ぼくはいちばん初めの一人旅は高校2年生の夏休みに行った熱海です、朝早くに出て、夜遅くに帰ってきました。
そのとき初めて、36枚撮りのフィルムを一本だけ撮影しました。おじさんになったいまでもなにを撮影したかうっすらと覚えているし、熱海に行くと高校2年生の夏を思い出します。
選ぶ旅先も、そこで感じることもやっぱり年齢相応なんです。そういった感性って積み重ねです。積み重ねたことが大人になったときに反映されます。リスクを気にして制限されたり、指示される人生だって選択肢としてもちろんあるけど、それを積み重ねちゃうと大人になったときに、誰かが指示してくれないとなにもできない人になるよ。
すでに1���以上説得を試みてて、納得しないならまず無理だよ。勝手に行くか、行かないかの二択。責任は自分しかとれません。
親はもちろん、周囲の人全員にいい顔してもらうことなんて不可能なの。そんなことよりも自分がいい顔になることを考えなくちゃ。
目的地に行くことが旅ではありません。出発地から乗り物に乗って、出会った景色や食べたご飯、感じたこと、無事に帰宅するまでを描いた線が旅なんです。だから同じ目的地でも、まいかい違う旅になります。だから旅は楽しいの。
旅に行ったら、どこに行ったかまた教えてね。そしてなにを感じたかを教えてください。爪のアカをもらうよりも、嬉しいです。p100-101
→分かる。だから旅は楽しいの。
・ガン患者の家族って“第二の患者”っていわれてるんです。信頼関係がここ最近で壊れかけてしまったのは、旦那さんが第二の患者になり、患者さんと同じように気が動転しているからじゃないかな。
でもね、人間性が変わるわけじゃないんです。第一だろうが第二だろうが、患者になるとその人の性格が色濃く反映されるとぼくはおもいます。
(中略)あなたの旦那さんはあなたが健康な時から、ここぞというときに間違えて、自分の殻に閉じこもり話し合いもできず、ピントがずれていたわけですよね。それが色濃く反映されているんです、色濃くピントがずれたんです。
旦那さんは、あなたにとっている態度をいつか子どもにもとるでしょうし、あなたが旦那さんに感じていることはいつか子どもも感じます。
(中略)あなたは治療の選択により決断を迫られているわけですけど、もしも健康だったらどうですか?自分の旦那さんと子どもを育てられますか?
病気になったことで子どものことを考える気持ちはわかります。しかし、子どものことを考えるときこそ、病気のことを切り離した視点が必要だと思うんです。p106-107
・親戚や一部の知人のあるあるですが、さいきんになって、村から勇者でも出たかのように褒めたたえるわけですよ。子どものころは学校の先生がひょうかしたせいせきでおこられて、36歳になったいまでは、世間の誰かが評価した言葉でぼくを褒めるわけです。
言葉を紡いじゃいますけど、どれだけ褒められようと、評価そのものを褒められるのはとても虚しいものです。
褒められてうれしい感覚はぼくも理解できるのですが、これって安かったときに買っていた株が高騰してよろこんでいるうれしさと一緒ですよ。株価が急落したら怒るか、もしくは他人のふりをするわけです。p119
→ガーンポイント。
・あなたの相談を読んでいて、僕は彼女とは会わないほうがいいだろうなぁと思いました。あなたは会いたいのでしょうけど、僕はあまり良い結果になるとは思いません、きっと後悔が待っています。
別れた理由はありきたりなものだとおもいます、付き合った人とは結婚でもしないかぎり、いつか別れるわけです。学生時代のマンネリ化した彼氏よりも、職場で働く先輩がかっこよくみえて、心をひかれたのでしょう。これは自然なことです、もしも当時の彼女から相談を受けていたら、あなたと別れて先輩と付き合ったほうがいいとぼくもアドバイスするとおもいます。
彼女と別れたあとに二人と付き合って、「なぜか」二人からフラれたわけですよね。「なぜか」じゃないですよ、それはあなたに何かしらの別れたくなる理由があるわけです。
(中略)あなたは自分がフラれた事実が許せない、もしくはまだ納得がいっていないのではないですか?自分の人生のリベンジのために、あなたの家族も彼女のことも、場合によっては彼女のご両親のことも巻き込むことはないでしょう。
はっきりいいますけど、あなたはきっと彼女のことが好きなわけじゃないですよ、あなたが過去に生きているだけ。
「彼女の近況を知りたいです。また、今もぼくのことを覚えていてどう思っているのかを知りたいです。」
29年前に3年半付き合っただけでしょう、ほとんど覚えていないし、どうもおもってないよ。
(中略)彼女が過去に生きずに、いまを生きていればいるほど、そうだとおもいます。あなたにできるのは、彼女がそうであるのを願うことです。
いまを生きていることのほうが、あなたのことをまったく忘れていることのほうが、彼女のしあわせじゃないですか。彼女のしあわせが、あなたのしあわせにもつながります。少なくとも後悔を防いでくれます。
過去に生きる人ってやっぱりダメですよ、それが過去であればあるほど。29年前の元カレであるあなたのことを引きずって生きてたら、ダメでしょう。
離婚が不幸ということはまったくなくて、きっと彼女はいまを生きていますよ。もしも困ったことがあれば、きっと今の人間関係が助けてくれています。
あなたは結婚して、奥さんと11歳のお子さんがいて、しあわせなんでしょう。彼女にフラれてつらくて、お酒とタバコで鬱憤を晴らしたそうですが、それ以上の苦しさとつらさを奥さんと子どもに課すことができますか?そして家族を失う覚悟はありますか?
(中略)彼女のしあわせと、自分の家族のしあわせを願いましょう。
自分にとってなにがしあわせか、考えましょう。
あなたの夢に彼女が出てきても、彼女の夢にあなたは出てきません。p157-161
・今回の相談は、自分が「ほぼ虐待」をしていると認識している毒親からのメッセージですが、じつはこれは、ぼくのもとに初めて届いた“毒親からのメッセージ”です。
「よくこんな相談したな」とおもっている人もいるかもしれないねど、それだけ相談者さんは苦しんで追い詰められているのだとおもいます。旦那さんにも母親にも友達にも、どこの誰にも頼れず、相談すらできずに孤独の中で子どもと二人っきりでいるんです。苦しんでいる人を叩いても意味はなくて、必要なのは助けの手です。p173
→こんな風に歩み寄れたら。。。
・誰と比較するなら、一喜一憂せずに、3日ぐらい前のあなた自身と比較してみてください。仕事のことも、子どもが生まれてからも、病気になってからも、ぼくはいつもそうしています。人と比べたって意味ないよ。だって僕はその人じゃないもん。p174
→幡野さんって「誰かと比べることで生まれる価値に意味なんてないよ」って信念で生きてる気がする。比べるなら、せてめ自分と。
・車に戻るとアイスのカフェラテが用意されていて、ぼくは妻に女性がおそら��病気でいることを伝えました。病気だけをみて、責めることはできないし、怖がることもないと伝えました。
別にその女性のことを庇うわけでも、怒りがおさまったわけでもありません。妻が将来おなじ病気になるかもしれないし、息子がそうなるかもしれないからです。
もしそうなったときに、ここでぼくが女性の病気を否定するようなことをいってしまったら、ぼくが残した言葉できっと家族を苦しめてしまうと考えたからです。
何事もそうですが、何かを否定することは、同時に可能性を否定することでもあります。まったく可能性がないことを否定するならまだしも、精神疾患というのは誰にでもおこりうることです。それも万が一というレベルではなく、わりとあることだとおもいます。p188-189
→からの優しさの理由を垣間見た気がする。
・ぼくは誤解を解いた先にあるのが、理解だとおもっています。そして理解が偏見を解消するとおもっています。逆にいえば、誤解を解かなかったさきにあるのが、偏見だとおもいます。
(中略)そして誤解を解けるのは、やはり当事者だけでしょう。誤解しないでほしいけど、あなたにたいして、あなたが誤解を解きなさいよといっているわけじゃないです。それは、できる人がやればいいだけです。そして、理解をしてくれる人は必ずいるということを伝えたいのです。
ここ数年で世界的にLGBTへの理解は急速に進みました。それはLGBTの当事者が声を上げ続けて、メディアが後押しをした結果だとぼくは感じています。「保育園落ちた日本しね!!!」というブログは待機児童問題を社会に認知させて、政治まで動かしました。
当事者が声を上げないと変わらない。「きっかけが当事者」というのは1つの事実です。p190-192
・ただ、ファンが減ったり、そこまで過剰に攻撃されるかな?という印象もあるので、小説と絵のお互いの世界観が合っているのか、そこは誠実に考える必要があります。好きな小説や漫画がアニメ化されたり映画化された時に、声優さんや俳優さんのイメージがあってないとやっぱり、ちょっと嫌じゃないですか。
絵と小説を完全に切り分けるという判断をするのもいいですよね。アイデンティティが一つしかない人ほど、自分のアイデンティティを守るために人を攻撃しちゃうし、一つのアイデンティティが崩れたときに、心を保つことが難しくもなります。切り分けることで評価が保たれるのであれば、それでもいいじゃないですか。
批判されることが嫌で、正当な批判を中傷や妬みと判断してしまうことも、やっぱり作家としては危険です。これを見極めるには、批判と妬みにさらされることだとおもいます。褒められることだけを望むのであれば、作品を発表するという世界は、あなたにとって生きにくい世界だとおもいます。疲れちゃいますよ。p208-209
→寄り添って、その後に、客観的にこんなアドバイスもできる。この塩梅いいなぁ。相談者にとっても受け入れやすそう。
・似たもの同士で集まるというのは、悪いことのようにいわれますけど、健全なことですよ。似たもの同士で集まるって妬まれないし、たのしいですよ。
ファンのことも作家仲間のことも大切にするべきだけど、付き合う���手はスパスパと選んでいかないと。作家にとっていちばん大切にするべきは、作品を制作する自分自身です。p210
・子どもが選ぶべきことを親が選んでしまうと、子どもが大人に成長したときに自分で選ぶことも自分で考える力も培われず、失敗を恐れて行動しない、好きなことや自分がやりたいこともわからなくなってしまう大人になります。
失敗をさせないことが、子どもの人生を壊す行為だとぼくはおもいます。子どものためをおもってのことかもしれないけど、とても優しい虐待です。p216
・ぼくは好きじゃないけど、治療することを闘いと表現するのならば、戦略性が当然必要になります。われわれは勝てない戦闘に挑むわけですから、それなりの闘いかたを用意する必要があります。
過去の戦争の歴史を振り返れば、国土がズタボロになった勝利もあれば、再建する余力を残した敗北だってあります。助からない病気の治療においては、とにかくズタボロで余力のない敗北になりがちです。
患者さんが死ぬと、その途端に、虹を渡ったとか、星になったとか、あの人は立派だったとか、仏さまのあつかいをはじめがちなんだけど、死神に軍人扱いするよりも、生きているときの関係性のほうが大切だとぼくはおもうんですよね。
(中略)再建の余力というのは、残った家族の今後の生きかたのことです。あなたをズタボロの敗北に追い込んだことで、旦那さんはきっと後悔をします。後悔を抱えた遺族のかたが歩む人生というのは、病気になる以上につらいことかもしれません。p221-223
・健康なときの人間関係が、病気になって色濃く炙り出されたようにぼくは感じます。あなたの旦那さんはあなたのことをコントロールしたいんです。p224
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本書の中でも繰り返し出てくる「なんで僕に聞くんだろう。」という著者の自問に対する答えは、きっと『質問者が「その場しのぎのウソやごまかしの無い答えが欲しい」と願っているから』に尽きると思います。
(それだけ「ウソやごまかしの無い答えを求めることが、とても難しい世の中になってしまっている」とも言えますが…。)
それに加えて、本書では幡野さんの「立場の弱い者(特に若者や子供)に対しては味方である」という姿勢はどんな時でも一貫しているなぁ、と改めて強く感じました。
質問者に対してきびしい言葉を並べる場面もあるものの、多くの人々の支持と注目を集めるのは、やはり根っこの部分に他者への優しさがあるからなのだと思います。
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"人の悩みはすべて人が原因だ。
人の悩みを解消できるのは人しかいない。
言葉で人の歩みを止めることも、背中を押すこともできるならば、できるかぎりぼくは背中を押す人でありたい。
相手の答えを見つけて背中を押してあげるだけでいい。
「あなたはどうしたいの?」このひとことから始めればいい。"
「おわりに」だけでも素敵な、大切な言葉が記されていた。
もう一回読みたいと思う。
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普通なら「知らんがな」となる相談も、真摯に答える幡野さん。
もし息子から相談されたらと考えて答えるとのことで、なるほどなと思った。今度試してみたい。
子どもが選ぶべきことを親が選んでしまうと、子どもが大人に成長したときに自分で選ぶことも自分で考える力も培われず、失敗を恐れて行動しない大人になる。
幡野さんは、とにかく子どもに一度経験させることをしているとのことで、
私も子育てをしている身として参考にさせてもらい、自分で選択させ、失敗させることをしている。
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本の帯を見ればわかるけど、インターネットの企画(?)で悩み相談みたいなのしてたら、著者の回答があまりにも秀逸なのでバズって、書籍化されたってことのようです。私は書籍化されて初めて知りました。
実にいろいろな悩みがあり、幡野さんの回答は実に潔く、同情でも、お説教でもなく、なんというか、ありきたりな言葉しか出てこないけど本当に素晴らしいです。カウンセリングには悩み相談のハウツーがあると思うけど、それにも当てはまらない。相手の言っていることの真意を探るっていう意味ではプロのカウンセラーと同じような能力があるのかも。でも、プロのカウンセラーは会話の中からその人の本当の悩みがどこにあるのか探るのだろうけど、この場合は相手から送られてきた1通のメールから読み取るだけで、やりとりがないから、「あなたは本当は・・・・・なのではないですか?情報が少ないからわからないので、間違っていたらごめんなさい」と断りながら回答している。読者の方は、それが合っているという前提で読み進めるわけだから、それで良し。
子育ての悩みを相談してきた人に対して、「あなたは自分のことしか考えてない。子どもがかわいそうだ」とズバリと言ってしまったり、昔の彼女に会いたいという男性に「過去に酔うな、彼女はあなたのことなんてきれいさっぱり忘れている」みたいな回答してたり、おもしろい(というか…)ものもあれば、癌になった父親に何と声をかければいいか、というような相談や、虐待を受けて育ってきた女性が、援助交際をやめられない、という相談に対する回答は、全然関係ない私も泣けてしまうような内容だった。あぁ、この相談者は、幡野さんからこんな回答をもらえて、もしかしたらすごく救われるだろうな、読みながら号泣したんじゃないかな、と思うような内容です。
ご本人も回答の中で書いているけど、この人生相談が人気になった理由は、きれいごととか、どう回答すべきか、とかではなく、幡野さんが本音で答えているから、みたいだ。読んでいると、「あぁ、本当にそうだよな。みんな本当は分かっているのに、世間体とか、せっかく今まで頑張ったことが無駄になるから、とか自分に言い訳しながら一歩踏み出せないでいる。そういうのを取っ払って、本当はどうしたいと思っているのか、人の目や世間体や固定観念をとっぱらって考えれば自ずとわかるはずなんだ」と思えてくる。
書籍化では、相談を時系列でなく、本を読む醍醐味(?)を考えて順番を編集しているのかどうか、わからないけど、なんか終盤が盛り上がりました。
「風俗嬢に恋をしました」というたった一行の相談に対して、「一行がじゃわからないでしょーが!」というちょっとユーモアもある、それでいて「相談に乗ってもらおうと思うのに一行しか書かないあなたは…」と分析してちゃんとした回答をしたあと、最後の4編は虐待・わが子の不登校・自己肯定感が低すぎる人・そしてきょうだいを殺された人のトラウマと家族関係の相談、というとても重いもので、特にきょうだいを通り魔に殺されたという人の回答にはただただ涙が流れた。
私も少なからず人から相談を受けることがあるけど、こんな風に、価値観を押し付けることなく答える���うに心がけたいな。
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2020.2.20
子育てや不倫などうーんと考えさせられる相談が多い(あたりまえか)。自分の息子からこんな相談を受けたら私ならどう答えるだろうと思いながらページをめくるけど幡野さんの言葉と全くリンクしない。
人生相談に明確な答えなんてないけど、相談を読んで自分の思ったことが冷たかったりつまらなかったりで落ち込む。
これじゃ息子がイジメにあったり人生に迷った時に相談してくれる親にはなれないかもしれない…どうしたら息子を自立できる自己肯定感の強い人に育てられるんだろう…と不安になってしまう。
私も自己肯定感の低い人間なので親から受けた影響やかけられた言葉そのまま夫や息子にも同じように言ったりやったりしてしまう。後から言いすぎたなと反省することも多々。でも感情が爆発しちゃう。どうやったらアンガーマネジメントできるだろ…いつもニコニコ穏やかで優しい人であるにはどうしたらと自己嫌悪になりながら読み終えた。
どの相談の回答も本当に考えさせられて、明日死ぬかもしれないんだよなぁとも思った。明日死んでも後悔しないように貯めてばかりじゃなく生きたお金の使い方をしたいと思った。
まずは結婚してからずっと欲しくて、でも狭い賃貸のキッチンもっと狭くなるしでも欲しい…て思い続けている食洗機を買うことを決意した…邪魔だけど。