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被害者側からの視点から描いたという点が斬新といわれれば、そうなのかな。と思うけど、”これ、フィクションだよね?”と何度も確かめずにはおられないリアリティ、臨場感が凄まじい。著者の訴えるテーマには、まったくもって共感するし、ルカが最後にコヨーテにかける言葉は、涙腺崩壊しちゃったよ!読んで良かった!
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レビューを拝見して知った本です。ありがとうございます。
緊迫感溢れるロードノヴェルでした。
まず、主人公のリディアが出だしで、楽しい友人だと思っていた人間が、親族16人を殺した悪魔だとわかった瞬間。
生き残った32歳の母親が8歳の息子を連れて53日間移民となって2645マイルの、メキシコから合衆国までの旅をします。
私は、移民というものを、今までほとんど知らなかったので、移民の命がけの困難がよくわかりました。
作品全体に重苦しい雰囲気が絶えず流れていたように思います。
なんで、この主人公たちはこんな理不尽な目に遭わなければならないのか全くわかりませんでした。
移民というものは、みんなこんな感じで決死の移動をしているのでしょうか。
現役作家のドン・ウィンロウ、ジョン・グリシャム、スティーブン・キングなどからもこの作品には賞賛の声が寄せられているそうです。
著者がこの作品を描いたのは、移民の夫と結婚したアメリカ人であるからではなく、16歳のとき、従姉妹ふたりが、四人の見知らぬ男たちに残酷にもレイプされ、橋の上から投げ落とされて死亡。弟も橋から落とされという犯罪のせいだそうです。
ニュース番組で移民を見たら、この人たちは人間なのだと思いだしてもらいたいとあとがきで述べられています。
決して読んで愉快な話ではないけれど、多くの人に読んでもらいたいと思いました。
以下、本書、うらすじより。
メキシコ・アカプルコ。
書店を経営し、夫と息子と幸せに暮らすリディアの平穏な日々は、カルテルに親族16人を殺されて一変した。彼女はたったひとり生き残った息子のルカを連れて、カルテルの力の及ばないアメリカへ行くことを決意。ふたりは<野獣>と呼ばれる貨物列車の屋根に飛び乗り、出会う人々の誰が敵で誰が味方かも分からないまま、死と隣り合わせで北へと向かうー悲しみの底に突き落された者、明日も生きのびることを信じて逃げる者、理不尽な暴力に人間愛で立ち向かおうとする者たちの希望を描いたロード・ノヴェル。
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ノンフィクションかのような壮大な物語。メキシコの国境に壁を作るという宣言もあったが、世界のあちこちで移民が捨て去られている現実を突きつけられた思いがする。最後が今までの緊迫した描写と打って変わってあっさりしていたのは、無事に辿り着いたと言う意味かな?もう少し最後までリアルであって欲しかった。リディアとルカに感動を有難うと言いたい。
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ロードムービーのような小説を読みたくて、この本を手に取った。西部劇のようなタイトル。しかしこれはアメリカの荒野を馬車で渡ったような二世紀位前(?)の話ではなく、現代のメキシコの観光都市アカプルコから命からがら逃げてアメリカとの国境を渡った母と八歳の息子の話。
彼らに何があったのか。
主人公のリディアという女性は書店を経営し、夫は記者で、最近メキシコ最大の麻薬密売組織(カルテル)「ロス・ハルディネロス」とそのボスであるハビエルのことを暴露する記事を書いたため、ある日、目の前で夫や母親を含む親族13人を殺害され、助かったのは自分と八歳の息子だけだった。
リディアはハビエルが自分と息子の命も狙っていることを知っている。「すぐに逃げなければならない!」。「保護します」という警察の申し出も断る。何故かといえば警察の中にもカルテルから賄賂をもらっているものが多く、逆に彼らをカルテルに売る可能性があるからだ。自家用車を使って逃げようとするが、車の下に爆弾が仕掛けられている可能性があるので使えない。国のあちこちの検問所、公共交通機関の職員など、裏でカルテルと繋がっている人間は数多といる。リディアはハビエルと個人的に友達でもあったので顔を知られている。誰がどこで見ているか分からない。スマホとかタブレットも使えない。GPSが敵に彼らの居場所を教えてしまう可能性もあるからだ。
「どうすればいい?」リディアは考える。「自分たちはもはや難民だ」。
そして、メキシコからアメリカへ過酷な不法入国をする移民たちと行動を共にする。北へ西へ時々は一旦南へ。国境警備隊に捕まりにくい安全なルートを探って列車を乗り継ぐ。乗り継ぐと言っても、切符を買って乗車するのではない。疾走する列車に飛び乗り、屋根の上に「乗車」するのだ。列車の上は移民で一杯だ。落ちてしまうともちろん、体は車輪に引き裂かれる。
ある移民保護施設を運営する神父が移民たちを前に話す。「もしも引き返すことが出来るのなら、今そうなさい。あなたがたの求めるものが、ただのより良い生活ならば、他の場所でそれを求めなさい。この道は、それしかない人びと、暴力と悲惨な状況に追い詰められた、進退きわまった人びとのためだけにあるのです。多くが命を落とすでしょう。あなたがたのうちの多くが誘拐され、苦しめられ、麻薬の不正取引に巻き込まれ、拘束されるでしょう。運良くそのすべてを乗り切り、合衆国にたどり着く者も、結局は灼熱の砂漠で孤独のうちに死んだり…一人残らず強盗に会うでしょう。エル・ノルテまで行けてもついた時には懐は空っぽです…」。その話を聞いても、「生きて国境を渡る」と決意して旅を続けるのが移民なのだ。
表紙の絵にあるのは、国境を渡ったばかりの所の果てしない、灼熱の砂漠の道。ここで脱落するものもいる。そうすると、砂漠に置き去りになるか、自分から国境警備隊に捕まりに行くしかない。
トランプ大統領が築いている国境の壁の向こうの人たちにこんなドラマがあるとは知らなかった。
小説の登場人物の話はフィクションであるが、メキシコからの移民について三年に渡るリサーチをして書かれたこの小説はリアルな話で��ンフィクションのような重みがある。
それでいて、ハリウッド映画のようなアクション、緊迫感、ロードムービーのように変わりゆく景色、移民仲間との絆、移民を思いやってくれる付近の人びとの温かさ、主人公の喪失感にも負けない生命力、息子の成長など、読みごたえのある小説だった。
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カルテルに親族16人殺されて、生き残った母子がメキシコからアメリカまで亡命する話。
まず、圧倒的治安の悪さ。警察にも、ホテルの従業員にも、通行人も、みんなカルテルと繋がっているかもしれない。ずっと安心できない道中。
ドキドキハラハラと言ったらなんか軽々しくなってしまうけど、なんといえばいいのか。
ドキドキハラハラ+重厚感とかリアリティ
圧倒的な残酷さ、でも絶望させられないのは愛とか優しさとかにも沢山出会うからかな。
登場人物みんなの幸せを願わずにはいられない!
最近の読書体験で間違いなくナンバーワン!
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リディアの必死さに引き込まれて、一気に読みました。最後まで、逃げきれるのか、ドキドキさせられてしまう作品。一緒に逃げて同志になっていく、仲間ともども、幸せになってほしいと思いました。
圧倒的な力に抑圧された状態でも、決してあきらめない強い気持ち。勇気をもらえる作品、
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始めの1ページから最後まで読む手が止まらない。ルカの存在にどれほど勇気づけられたか。この本が麻薬、カルテル、移民について自分なりに学ぶきっかけとなった。移民一人ひとりがヒストリーを持った人間であるということを知ってもらいたいという筆者の思いが綴られたあとがきも感動した。
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「自宅を捨て、文化を捨て、家族を捨て、母語すらも捨てて、望んでもいない遠くの国という夢にたどり着くチャンスのために、命をかけて大きな危険に飛び込んでいくのだ」
つい先日ベネズエラで大洪水が発生し、住むところを奪われ難民となったひとたちが徒歩で北(アメリカ)を目指すというニュースを見ました
マジか!無理じゃね?と思いました
命の危険なんて感じたことのないぬくぬくのほほんハポネス(スペイン語で日本人の意)の典型的な感想ですよね
考えないようにしてるんですよね、きっと
考えたら心折れますもん
折れたらもう終わりですもんね
本作の主人公リディアはメキシコはアカプルコから北を目指すので距離的にはベネズエラよりだいぶましですが、麻薬カルテルに追われていますので困難度でいったら、もうそれこそ達成はほぼ不可能です
八歳の息子ルカの存在が彼女を奮いたたせますが、道中はそりゃあもうとんでもない苦難の連続です
麻薬カルテルへの密告者はあらゆるところに潜んでいますので全く気が抜けないのよ!
もうハラハラドキドキ!
ただね、麻薬カルテルに本気で狙われてたらもっとあっさり捕まってると思うんですよね…
八歳の子供を抱えた一般人の女性が普通に考えて逃げきれる可能性はゼロです、ゼロ
なので、ちょっと絶体絶命のピンチが少なくない?
麻薬カルテル…緩くね?とか思っちゃったんですがどうでしょう?水曜どうでしょう?(そういうのいいから)
そして、ラストですよね
決してゴールではないんですよね
新たな苦難のスタートなんですよね
なんかもう頑張れ!って思いました
それにしても、日本に住んでると想像も及ばない世界です
想像も及ばない日常です
何か出来ることってないんかなー
難しなー
頑張れって思うしかないんかなー
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メキシコ。カルテルに親族16人を惨殺された母子の冒険譚。カルテル、コヨーテ、移民、通りすがりの人々の人間臭さが好き