紙の本
描き方が絶妙!
2020/02/16 16:43
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:氷狼 - この投稿者のレビュー一覧を見る
派手な戦闘はないものの、心理戦の描き方が非常に上手い。
アルブ公との一戦...やけにあっさり終了。
効果的に要点だけで。
そして、過去のお話。
ワラキアを追われ、モルダヴィアを追われ、フニャディの庇護下へ。
フニャディの元とでヴラドとシュテファンは...
現代に戻り、オスマン帝国の侵略。
ヴラドは策を巡らし、大国ハンガリーの支援を得るべくマーチャーシュ王の従姉妹、イロナ嬢を娶るが...
このイロナ嬢...
旧知のオスマン帝国皇帝メフメト2世との決戦の刻迫る?
着々と準備を進めるヴラド公。
派手さはあまりないが、実に面白い。
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待ってました3巻!吸血鬼伝説ではなく、人としてワラキア公として生きるヴラド三世が描かれる本作品。刊数を増すごとに面白さが増していきます。
アルブとの決着は思いの外あっさりと終結しましたが、逆にそれがヴラドの冷徹さと賢さが際立って良かったと思います。シュテファンとのトランシルヴァニア時代の回想、メフメト2世との出会いと別れ、結婚、書き下ろしの番外編。読み応えはたっぷりです。
女っ気の無い本作品の中で登場した数少ない女性キャラ・イロナ嬢。初対面時にヴラドがハンガリー語で挨拶し、イロナ嬢がルーマニア語で安心したと伝えるというお互いに好感触な始まり。ただ政略結婚なだけあって、一筋縄ではいきません。イロナ嬢はあくまでハンガリー王マーチャーシュの密偵としてワラキアに送られただけに過ぎず、そして彼女自身もその役目に対して忠実です。王の縁者として自身の役目をよく理解し、祖国と王への忠誠心は揺らがない。しかしそんな彼女の思惑はヴラドに見透かされ利用されるのですが、その一件でイロナ嬢はヴラドの味方になりました。
史実でのヴラドの一人目の奥様に関しては史料が少なく謎が多いのですが、しかし作中の描写には全く違和感が無い。いつ敵国同士となるか分からない情勢の中、政略結婚で嫁いだ自身の身の上を悲観する事はなく、王の名代・密偵として務めようとする彼女には逞しさと同時に清々しささえ感じます。そしてそんな彼女を真の味方に引き入れる事が出来たヴラドの手腕も流石です。続きが早く読みたくてたまらないです!
余談ですがイロナ嬢、従兄弟マーチャーシュとはあまり顔は似ておらず美人ですが、やや太めの眉毛は少し似ています。そこがなんとなく可愛いです。ヴラドの従弟シュテファンも、ヴラドと一見あまり似てないようでいてよく見ると鼻や輪郭など、少し顔立ちが似ています。ちょっとだけ似てる、という親戚の描写が絶妙で、そんな所も素敵な作品だと思います。
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本編も非常に面白いのですが、番外編があったのが嬉しかったです。
(番外編が雑誌に未掲載の話なら、もっとそのことを宣伝してもいいと思ったのですが・・・)