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上杉鷹山 みんなのレビュー

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みんなのレビュー3件

みんなの評価4.0

評価内訳

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3 件中 1 件~ 3 件を表示

紙の本

財政改革を愛で成す

2006/09/27 03:26

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 日本の財政の危機的状況はもはや隠すべくもない。本来なら明日デフォルトしても不思議ではない。今は財政法4条1項本文で禁止されている借換債で何とか誤魔化している状況である。無論、借金増加率の何倍も国家の純資産は増やしていることは忘れてはいけないが、何の拍子でデフォルトが起きるか分からない。韓国の惨めなデフォルトの日の朝一般人は、そんな??の感じだったという。
 しかし、かつて日本にはそうした財政破綻状況を一転回復させた名君がいた。それが上杉鷹山である。鷹山はいかにして経済・財政V字回復をなしとげたのか。本書は、いかにしてそれを成し遂げたのかという観点から、その生涯を描く小説である。
 鷹山の米沢藩も、もはや領地返上の直前にまで追い込まれていた。その原因はどうやら藩士の給与と、吉良上野介の指南による無駄な式典費用の高騰にあったようだ。かつて上杉家といえば、関東管領上杉謙信を擁した名家中の名家であった。しかし、関ヶ原で政治的に敗れて以降、藩主景勝は直江兼継の所領30万石に転がり込む始末で、しかも相続人騒動でさらに15万石にまで削られてしまう。
 所領を削られたのに、義に厚い景勝は、藩士をリストラすることはなかった。式典も吉良上野介の指導もあり、あくまで上杉120万石のまま。これでは破綻は目に見えている。
 このことは現代日本にも当てはまる。福祉増大の時代に、役人の給与が民間水準より高いような現状では財政が持つはずは無い。
 いま日本が掲げているのは高度経済成長路線である。経済成長による増収に期待しているわけだ。しかし、成長すれば景気もよくなり、景気がよくなれば金利は上がる。金利が上がれば債券市場に目が向き株価は下がる。しかも、金利がもし5%になれば、利払いだけで40兆円を超え、税収に並ぶ。先行きは相当厳しいと言わざるを得ない。
 鷹山はまず、地方の特産品に目をつけ殖産興業をどんどん推進した。さらには、無駄を徹底的にカットした。しかも、それを自分の生活でも実践して見せた。農民と一緒に働くことも厭わず、君主である鷹山自身泥まみれになって財政再建に取り組んだ。
 しかし、藩士たちの反対派は、懸命に取り組む鷹山を妨害する。まったく、タコが自分の足を喰うように鷹山を弾き出そうとする藩士たちの愚かさが際立っている。妨害にもめげず、常に農民の視線で改革をする鷹山は、不曉不屈ではあるが、まさに愛のある改革者だった。彼の改革のポイントは情報公開にある。いまこれだけ逼迫しているんだということを包み隠さず、藩士および領民にまで知らせた。そして危機を共有する。財政改革だけなら、鷹山に勝る者はたくさんいる。しかし、彼の手法は、一致団結型であり、民主主義的要素の非常に強い方法であった。その全てに優しさが籠もっている。
 地方の特産を徹底的に鍛え上げ、住民と意思疎通を図って経済活動をするというのは、経済ブロックが小さく全体に目が行き届いたから可能だったといえる。これは地方自治進展の唯一の利点である。フランスのような中央集権国家は、確かに意思統一も便利だし、国防・調和ある経済発展(1億総中流も)には適している。しかし、中央が地方の細かいところまで目を光らせるのは無理である。もっと小さいブロックごとに大統領を作り、狭い範囲を情報公開とともに運営した方が効率が上がる。地方分権には反対だが、鷹山のような人間が出る下地としては地方分権推進はひとつの手段であろう。
 鷹山の生涯を本書は小説で描いているわけだが、童門冬二の小説よりポンポン話が進んでいく。ケネディ大統領が最も尊敬するとまで言わしめた愛の男の生涯と、その清清しい改革手法に触れ、気分も晴れやかになる。安倍内閣が発足したが、焦眉の急は財政である。アルゼンチンや韓国の二の舞にならぬ様、鷹山の精神もぜひ参考にして欲しいものだ。

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2011/10/11 14:08

投稿元:ブクログ

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2013/05/20 10:58

投稿元:ブクログ

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