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海の都の物語、ローマ人の物語「ユリウス・カエサル」を彷彿とさせる代表的塩野作品
2021/02/09 22:14
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投稿者:NCC1701H - この投稿者のレビュー一覧を見る
女子高生が推しのアイドルを称えるが如き賞賛をもって書いたようなローマ人の物語「ユリウス・カエサル」や海の都の物語のヴェネツィアの続編かと思われる作品。好きなものを讃えられずにはいられない乙女心を感じられる。
読みずらいととらえる人もいるかもしれない独特の表現が、その純真さから湧き出てきた文章に表れている。
過去の作品を引用として宣伝しているところは少し鼻につくが、愛嬌として捉えれ読む。
何より彼女の作品の魅力は、続巻への期待感を前巻の最後に上手に記すところ。
最終巻の終わりに比べ天と地ほどの読者の心を掴んでいると思う。だから下巻は初版で買うしかない。
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作者は以前からこの本を書きたかったという。
上巻を読んでつまらなくは無いがドラマは無いという印象。個人的にも興味ある主人公なので下巻も購入したがどうだろう?
チェーザレボルジアのようなハラハラは無いかな?
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☆☆☆2020年1月レビュー☆☆☆
フリードリヒ2世は、高校で世界史を勉強した人でもなじみの少ない名前ではないだろうか?
僕も塩野氏の作品に出会う前はほとんど知らなった。
「最初のルネサンス人」と言ったら、興味をそそられるだろうか? 暗黒の中世と言われたヨーロッパにあって、「政教分離」という、今では常識となっている考えを推進した皇帝、と言えるだろうか?
日本で政教分離を推進したといえば織田信長だが、行動力の面でも信長に近い気がする。性格の激しさという点では少し違うかもしれないが・・・。
上巻では、孤独な少年時代から、インノケンティスウス3世の庇護を得てドイツに向かう場面、そして戴冠と、若さと勢いが感じられる内容。彼は10代にして、中世のもつおかしさ、教会が絶対的な権力で世俗に口出しすることに違和感を感じていたようだ。シチリアの風土だけでなく、彼の才能による部分が大きいと思う。
歴史好きなら絶対に外せない一冊。
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文庫化するの待ってました!外交による領地交渉、政教分離、法治国家、市場経済主義、そして後継者である次男との密なコミュニケーション(長男の教訓を経て)。現代にも通ずる統治センスを持つ為政者が暗黒の中世にいた奇跡。ロンバルディア同盟も降し、下巻はいよいよ宿敵・法王との激突!
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中世ヨーロッパに生まれ、神聖ローマ帝国皇帝として13世紀にかけて中央集権国家を築き、政治の面で神からの解放を進めたフリードリッヒ二世の生涯を塩野先生が書いています。
大きな目標を成し遂げるときは、合理的・現実的な選択の積み重ねで実現していくというのが王道の手段というのは、いつの時代も変わらないのかな、と思いました。
一番印象に残った文章
「法律は、施行しだいで良き法にもなれば悪法にもなる。それを常に意識しているのが統治者の責務の第一になるが、忠実に実施することこそが法の番人の責務と信じて疑わない人々から見れば、これさえも既成の秩序の破壊に映るのだった。」
これとセットで、異端裁判所の話が心に残る。
自分たちのしていることが正しいと信じて疑わない、と偏ることがいかに怖いかは、新型コロナで社会がギスギスしている今だからこそ強く感じる。
(結局、人の心っていつの時代も変わらないんだね)
自分の考えや信念を信じることは大切だけど、もう一人の自分がいかに客観的に自分の偏りを見られるかも大切だと感じた。
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法王と熾烈な闘争を繰り広げたことで知られる、中世きっての知識人であった皇帝フリードリヒリッヒ二世の前半生。
エルサレムを血を流さず手に入れ、南イタリアのイスラム教徒と共存し、ミラノ大学を設立。
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本書の時代は日本では鎌倉時代か。この時代にヨーロッパでこんなダイナミックな動きが進行していたとは全く知らなかった。いや面白い、中世ヨーロッパにこのような君主がいたとは。
歴史上の人物を、現代人に理解できるような文章で魅力的に紹介することが著者の得意とするところなのだろう。
小生は「ローマ人の物語」を読むのが楽しく、あの大部冊を繰り返し愛読した。
本書の主人公は「カエサル」の次くらいにいい男である。著者は惚れた男を描くと文章が光る。
「フリードリッヒ二世」、世界史で名前くらいは出てきていただろうか。日本では業績なぞ全く知られていないのではないだろうか。この時代に法による支配を打ち出し「憲章」を制定するとは。もっと取り上げられても良い君主だと思った。下巻も楽しみである。
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久しぶりに塩野センセイの授業を受けた。
徹底的な時代考証をして、架空の人物によるドラマは無しで、それでも時間を忘れて読み進む面白さ。
感想はほどほどに、下巻を開くこととする。
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「ストゥポール・ムンディ」(世界の驚異)と同時代の人達に畏敬され、公式にはラテン語で「フリデリクス 神の恩寵によって ローマ皇帝アウグストゥス イェルサレムとシチリアの王」と称したというフリードリッヒ2世という人物…なかなかに興味深い訳だが、本作はその人物の生涯を概ね編年式に追いながら語る物語だ。
本作は、“主人公”であるフリードリッヒ2世等の史上の人物達をモデルにした劇中人物達が勇躍し、苦悩し、歓び、怒るというような「小説」ではなく所謂「史伝」という読物である。或いは、日本国内ではやや馴染みが薄いかもしれない欧州諸国の歴史を題材としながら、非常に読み易い感じだ。実は同じ著者の他作品も過去に読んでみた経過が在ったと思う。
俗に言う、欧州の「中世」というようなモノがどういうものなのか?その時代に「忘れられてしまった?」というような概念を実現しようとしていたかのような、皇帝としての行動を説くことで、寧ろ「中世」なるモノの姿が形を帯びるというような感だ。なかなかに興味深い。
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塩野七生先生がずっと書きたかった人物を書いた本が文庫になったということを知り、購入しました。
高校時代に世界史を学んでいましたがあまり記憶に残っていない人物だったので、新鮮な気持ちで読め面白かったです。
ローマ法王の権力が絶大だった中世時代に、法王とどう折り合いをつけて改革を起こしていったのか。ルネサンスに繋がる一大人物の生き方は魅力的でした。
下巻の内容がたのしみです。
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塩野七生先生が描きたかったという、皇帝フリードリッヒ二世。
中世では、異端ともされてしまうくらいの圧倒的な先駆者。神聖ローマ帝国の皇位とともにシチリア王国の王位までももちながら、イェルサレムを無血開城してしまい、ローマ法王に破門されてしまったりもする。彼の信念は貫かれており、「皇帝のものは皇帝に。神のものは神に。」であった。だからこその、イスラムのスルタンと学問での友達にもなれたのだろう。
時代が時代ならば、もっと名君として君臨できたのではないだろうか。
彼の一生を描くには、ローマ人の物語やヴェネツィアの物語、十字軍の物語などなどの前段階がないと書けないような濃厚な作品に感じられた。
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以前何かの番組で、小泉進次郎が塩野七生さん(の小説)が好きで・・・ということをおっしゃってて、その時初めて存在を知ったのだけど、読まれていた題材が中世の歴史関係でなんだか難しそうと思った印象しかなかった。
世界史は好きだけど、詳しくはない。十字軍って名前はよく知っているけど、どこに何しに行ったんだっけ?という感じ。(単純にヨーロッパの雰囲気が好きなだけ・・・)
それが、たまたま書店の平積みで本書を見かけて、あ。この人かと手に取ったのがきっかけ。
フリードリッヒ、、、聞いたことあるようなないような。(おそらく知らないのだろう)。帯を見ると「武力行使なしに聖地を奪還」や「独、伊、仏、ラテン、ギリシア、アラビア語を自在に使った」「ヨーロッパ初の国立大学を建学」と、なんだかすごいことを成し遂げた人物のよう。でも、法王に破門され、生涯を反逆者として過ごしたらしく、そのギャップが魅力的に見えて上下巻の長さにもかかわらず、購入してしまった。
ただ、この手の作品は手を付けるまで結構時間がかかる。ちょっと難しそうなので読み切れるか、読書モードを万全に望まねば、と思うからだ。
ただね、読み始めたら面白い。引き込まれる。世界史のこの時代は、この本を読めば一発じゃない?という感じ。宗教の強さが、すごいんだね。世界史は宗教を理解できたらほぼ理解したも同然なのかも。
そして、フリードリッヒが、すごすぎる。世界史の教科書に出てたかなぁ、出るべきだけど、私が覚えてないだけかも。神聖ローマ帝国の皇帝としてなるべくしてなった人物でもあるし、ふさわしい人物でもあった。革命児でもあり改革者でもある。
これから下巻だけど、どんな苦難が待ち受けていて乗り越えるのか、どんな生き様を見せてくれるのか、楽しみ。
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やっと上巻読み終わったー!自粛中にたくさんの本を買って乱読しておりました。そのうちの一冊です。
私がフリードリッヒ2世に興味を持ったのは、デル・モンテ城がきっかけでした。イタリア南部にあるデル・モンテ城は、八角形尽くしで築かれたミステリアスな建物です。この不思議な城を建てたのがフリードリッヒ2世。調べてみると「早く生まれすぎた」人らしい…
ここから本の感想です。
フリードリッヒさんかっこいいよ!一国のリーダーたるやこういう人でないと。フリードリッヒは一国どころか、シチリア王であり神聖ローマ皇帝でありエルサレム王であります。「席の暖まる暇もないくらいに移動を繰り返す人であった」ほど各国を飛び回っていたらしい。
それはそれは多くの偉業を成し遂げた人物。ある程度の美化はされているとしても、すごいなーとしか言いようがありません。こんな人が現世にあらわれませんかねぇ?
「◯◯の誰それ」とか「皇帝の側近である誰それ」とか、何度も繰り返し説明をしてくれるので登場人物の名前が多くて「あれ?この人誰だっけ?」というのがありません。難解な言葉もほとんどないので読みやすくてわかりやすいです。一気に下巻も読んでいこうと思います。
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フリードリッヒ二世(在位1215~1250年)は、赤ひげ(バルバロッサ)で有名な神聖ローマ帝国のフリードリッヒ一世(在位1152~1190年)の孫である。
バルバロッサについては、ウンベルトエーコの「バウドリーノ」の物語の中に登場してくる人物であり、知っていた。
本小説も作家 塩野七生が書いたものであるから、史実と想像の部分があるだろうが、日本ではあまり有名ではないこの人物にスポットライトを当てることで、この人を中心に中世とはどのような時代であったか、また、中世からルネサンスを経て近代に至る流れがなんとなくわかりそうな気がする(まだ、上巻しか読了していない時点での感想)。著者がルネサンスのきっかけをつくった(萌芽となりえた)人物として、フリードリッヒ二世とアッシジの聖フランチェスコ挙げていた。聖フランチェスコにも興味がわいてくる。
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フリードリヒが誕生してロンバルキア同盟を打ち破るまで。
中世の人なのにとても合理的。
もっと仲良く宗教出来ないものか。悪名高き異端裁判所の成り立ちがこんなんだったなんて。