- みんなの評価
8件
皇帝フリードリッヒ二世の生涯
著者 塩野七生
12世紀が終わる頃、神聖ローマ皇帝とシチリア王女の間に一人の男子が生まれた。少年は両親をはやくに失い、絶大な権力をもつ法王の後見を受けたが、帝位に登り、広大な領土を手中にすると、法王との関係が緊張。法王に十字軍遠征を約束するが、剣ではなく交渉を選んだことでますます反感を買い、ついには破門に処されてしまう……。生涯を反逆者として過ごした中世を代表する男の傑作評伝。
皇帝フリードリッヒ二世の生涯(下)(新潮文庫)
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
皇帝フリードリッヒ二世の生涯 上
2021/02/09 22:14
海の都の物語、ローマ人の物語「ユリウス・カエサル」を彷彿とさせる代表的塩野作品
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:NCC1701H - この投稿者のレビュー一覧を見る
女子高生が推しのアイドルを称えるが如き賞賛をもって書いたようなローマ人の物語「ユリウス・カエサル」や海の都の物語のヴェネツィアの続編かと思われる作品。好きなものを讃えられずにはいられない乙女心を感じられる。
読みずらいととらえる人もいるかもしれない独特の表現が、その純真さから湧き出てきた文章に表れている。
過去の作品を引用として宣伝しているところは少し鼻につくが、愛嬌として捉えれ読む。
何より彼女の作品の魅力は、続巻への期待感を前巻の最後に上手に記すところ。
最終巻の終わりに比べ天と地ほどの読者の心を掴んでいると思う。だから下巻は初版で買うしかない。
皇帝フリードリッヒ二世の生涯 上
2020/01/22 17:06
時代は12世紀の中世ヨーロッパ、物語と言うよりも伝記的な記述が中心
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
長い暗黒の中世の終幕に彗星のごとく現れた皇帝フリードリッヒ。皇帝フリードリッヒ二世が正妻、愛妾ふくめて11人の女性との間に15人(男7人、女8人)の子供をつくっている。彼の場合、欲しかったのは女よりも子供であった気がする。フリードリッヒ2世は幼くして両親と死別し兄弟はおらず、という境遇。育つに連れて「後継者以外にも一門男子が欲しい。たくさん」「娘でもいい。部下と結婚させて一門にすれば忠誠値が減らない」という意識が強まったのだろう。「玉座に座った最初の近代人」(ブルクハルト)と言われていても、まだ「身内の結束」が一番マシな紐帯である中世に生きていたのは間違いない。誰ひとり疑問を抱かないレベルでの「高貴な血筋」に生まれた身であり、金も力もなくすべて「自力で勝ち取った」という精神的なバックボーンがフリードリッヒ2世の強い自負心を支えたのだろう。あの時代に近代人になるには、その両方が必要だったのだろう、と思う。
皇帝フリードリッヒ二世の生涯 下
2020/01/22 17:15
法王の権威を恐れず、聖地を手中にし、学芸を愛した。時代を二百年先取りした「はやすぎた男」の生涯を描いた傑作歴史巨編
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
シチリア、プーリア、アーヘンなどでのこと。ロンバルディア同盟締結の時代背景とか
サヴォイア伯との同盟。アラビア数字の説明をピサでフィボナッチから聞きそして56歳のフィボナッチに生涯年金を与え始めて2年後の1228年にに「算術論」復刊とか。面白すぎる。中世ヨーロッパ、13世紀頃。日本だと執権政治とほぼ同時期か。物語を読み、この頃のローマ教皇、そして天皇についてより知りたくなった。まずは承久の乱あたりになるのかな。彼のかいたメルフィ憲章や鷹狩の書を読んでみたい。復活伝説のある彼の祖父バルバロッサは、孫の彼と混同されたが故に伝説化されたのではないかと。ドイツ諸侯にとっては『戦争』を引き起こしたバルバロッサよりも『平和』を維持した孫の方が良い主君だし。ローマ・カトリックに『蛇蝎の如く』嫌われているフリードリッヒ二世を大っぴらに追慕する事なんて、できませんし。