紙の本
業平 小説伊勢物語
2020/06/28 18:48
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:杉の弟 - この投稿者のレビュー一覧を見る
寝食を忘れて、一気に読み終えました。気分は、我こそは令和の業平になりたい。
今まで触れたことのない、色多き言の葉に、しばしうっとり。
ラブレター専用の国語辞典として、手許に一冊欲しい。
番外編を期待。
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この内容は、なんだろうかと
最初読み始めたときは、ちょっと戸惑いましたが
伊勢物語を完全に小説にして、在原業平の半生を描いた
内容に置き換えて描かれているものと気づいて
面白く読めました。どこまでが史実で、どこまでが
伊勢物語にある内容なのかを、ちょっと調べながら
読み進むと、非常に面白くよめました。
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『伊勢物語』のノヴェライズ…って元も物語だから違うか。現代版リライトってところ。当然、
高子との恋物語が中心ではあるが、恬子内親王との絡みにもかなり紙幅が割かれていた。あと、何気に「承和の変」直前、業平へ母を守れとお忍びで忠告しに来る阿保親王がすごい存在感。2度の政変に関わった割には、父親の平城天皇と息子の在原業平に挟まれて、歴史上はかなり地味な扱いの人。良かったねー(?)。あわよくば、業平の生母・伊都内親王との交流も知りたいところ。
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題名こそ,知っていても,読んだことのない「伊勢物語」,こういう話だったのだと初めて知りました。
内容は,正直,かなりスキャンダラスだと思います。
それでも,下品な印象を受けないのは,和歌の力でしょうか。
学生時代,和歌は小難しくて,意味を捉えにくいという印象だったのに,本書に掲載された和歌は,こういう気持ちを詠んでいるのだなと,内容がすんなり心に入ってくるのが,自分の中では意外でした。
今も昔も変わらない人の情緒,和歌は誇るべき文化だという思いを強くしました。
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在原業平の一生を和歌と共に描く物語。
印象に残った文章
⒈ 男の恋は二つ方向へ向かうもの・・叶わぬ高みの御方への憧れと、弱き御方を父か兄のようにお護りしたい恋と・・いずれも叶うこと難く・・ゆえに飽くことも無し
⒉ 百年に一年足らぬ九十九髪 我を恋ふらし面影に見ゆ
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古典の教科書を読んでるみたいで、せっかくフィクション化したのであればもっとはっちゃけた業平像を見てみたかった。
それにしても優雅なひと時を過ごさせていただきありがたい。予想とは違った小説でしたが。
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古典の現代版小説。読みづらいかと思いきや、あっという間の読了。この古典そのものの魅力と作者の腕なのでしょう。中身は、現代の視点からすると、「もう、どーでもいいこと」だらけ。女好きなモテ男の一生の話。当時の社会風俗、通念はよく分かる。都人の奔放な生活。歌の持つ社会的な役割。都人と地方人がそれぞれお互いをどのように見るのがこの時代の社会通年だったのか、等々。他方、これら宮廷人の他の市井の人は貧しい暮らしをしていた時代。なんともはや。おっと、現代視線ではダメですね。要は、羨ましい男、のお話でした。
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「伊勢物語」125章段をシャッフルし取捨選択して、時間軸の糸を通しながら在原業平の一代記として小説化するという試みで描かれた作品。
私が高校生の頃、その色男ぶりと溢れるほどの歌の才に魅力を感じ半ば惚れていたといってもいい在原業平。
その業平が15歳で初冠(ういかぶり)の儀式を終えたばかりの年から、齢55でこときれるまで、歌と恋に生きた人生を平安の雅と共に生き生きと描き出す物語に酔いしれた。
32の章からなるこの物語は、単なる業平の私歌集でも現代語訳でもない独特の文体で描かれるからこそ作中に折々挟み込まれる歌が自然と溶け込み、平安の都の風景、人々の生活、鄙の地の空気感などが自然と感じられる。
目の前に目を惹く女童が現れるとその成長した姿を思い、共寝を思い描くとんでもない男だけど、噂になるほどの美しい容姿と歌詠みの才覚に、女の方から仕掛けていくことも数限りない。なかなか大胆で奔放な平安の男女の姿は天晴れで、むしろ清々しささえ覚えてくる。
「身を滅ぼすほどの懸想でなければ、何も残らぬもの・・・」と正に身を滅ぼすほどの思いで生涯愛した身分違いの藤原高子(たかいこ)と、兄のような気持ちで護りながら斎王となった後も愛し続けた恬子内親王、この二人の女人との恋の駆け引きはため息が出るほど。
直接的なことばより、二重三重にも意味を込めた言の葉で紡がれる歌の風情に酔いしれ、風の音、蛍の淡い光、水音、衣擦れの音、描かれるすべての色、音、空気を感じながらの読書は正に至福そのものだった。
読み終わったあとも暫く脱力、手元に置いて何度でもその頁を開いて、平安の雅に浸りたいと思わせる素晴らしい作品でした。
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寂聴さんがこどものための古典全集で源氏物語を翻訳・翻案したものがありますが、それに近い。すすっと読めます。
業平のファンです。
何より屈折した男が好きです。
歌が上手いですが、百人一首の絵札には必ず武人姿であらわされるこの男は、その姿自体が屈折の象徴です。
不遇な出生。きらびやかなエピソードはあるけれど、それすらどこまでが本人のものか。
同じ理由で伊達政宗ファンです。ほとんど偏愛です。
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2020/12/6 読了
何事も、歌に詠まれれば風情となるも
あるがままの姿は、興趣とは離れるもの
とあったけど、
歌の中で、豪華絢爛な場所も実際に訪れるとそんなでもなかったり。想像を楽しむのも歌だなと。
最後に
つひに行く道とはかねて聞きしかど
昨日今日とは思はざりしを
の歌。死を絶望ではなく、軽やかな感じが伝わってくるのが本当に良い。死ぬときはこの境地に達していたいなぁ。
塩竈、水無瀬
世の中に絶えて桜のなかりせば
春の心はのどけからまし
散ればこそいとど桜はめでたけれ
うき世になにか久しかるべき
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これはいい作品に出会いました。
在原業平は有名な「ちはやふる」ですが、生い立ちや生き様、時代、政治、それらが織り混ざった在原業平はさらに魅了されます。
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普通の伝記と違って読みにくかったです。結果、何をした人なのか、子供や家族構成とか全く理解出来ないし、主人公にも共感できる部分無いし。小説と言うより、時代考証の為の文献見たい
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映画「君の名は。」の元ネタが「とかえばや」と知り田辺聖子の小説版を読み日本の古典の先進性、独創性を知り、俄然古典文学に興味を持ったが、伊勢物語についてはNHKの100分de名著で知るまで名前しか知らなかった。本著ではその素晴らしい世界観を堪能することが出来、正に現代小説の礎とも言える物語であった。著者によると業平の最後の女とも言える伊勢が業平の物語を書き記したものだろうという解釈だが、日本文学の礎となる文学は女性が成し遂げてきたのだと言うことが分かる、最近の小説においても女性作家の方が一段レベルが高い。
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伊勢物語を読むのは中学?高校?の古典で習った以来。長かった…けれども読み応え抜群。業平のロマンチックな恋物語。古典文学にハマりそうなくらい良かった。聞いたことある和歌がちょくちょく出てきて、なるほど!これはこんな情景の中で詠まれたものなのか!と知ることができた。次は令和、万葉集を読んでみたい。
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在原業平の歌を軸に据えて解釈の中で彼の人生を振り返る.出世(お仕事)からは一段身を引いた処世術ながら,女遍歴の熱心さには驚かされた.いやいやお盛んとは思っていたが,30歳で10歳ぐらいの童に目をつけるなど,光源氏だけではなかったのだと呆れた.歌は後世に残るほど素晴らしいとしても,人間としてはっきり言って最低と思いながら,小説としてとても面白く読めた.