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九兵衛(松永弾正少弼久秀)の一生を描いた大河ドラマ。戦国の世を救うため、三好元長の「武士を残らず駆逐したい」という願いを実現するために三好家に仕える。改革は人を納得させる必要があり、その難しさは今も昔も変わらない。元長は志半ばに亡くなり、久秀が遺志を継ぐ。そして久秀も三好家や他の大名との間に挟まれて思うように進められない。神仏を信じない久秀であるが、人を信じる力は強い。子供の頃に知り合った多聞丸や日夏の遺志を自分のものにして、死ぬまで人を民を家臣を信じぬいた。久秀自身が悪者になっても大きな目的のために動いた。壮絶なドラマである。500ページの大作であるが、長さを感じられない。むしろ、もっと読みたいと思った。
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NHK大河の明智光秀にも登場の松永弾正の話
ヒールではなく 懸命に生きた武将の話として面白く読了した
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戦国時代の三悪人の一人として名高い松永久秀の人生を、織田信長の回想として語る。
織田信長が語るというスチエーションも小説ならではで、おもしろい。信長の孤独な内面にも触れたよう。
久秀を悪人としてではなく、戦国の世で「武士のいない世の中をつくる」ことを目指し民衆に寄り添う人物として描いている。
歴史上の人物は見る角度によって、どう捉えたいかによっても全く違う。真の姿が分からないから想像が膨らむのだろう。
ふだんあまり歴史小説を読まないので違和感なく、おもしろく読めたのかもしれない。
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歴史小説は、まだ初心者なので細かい所は難しく感じますが、とても読みやすく引き込まれました。
今のこの時代からは想像がつかないくらい、混沌とした生きていくだけでも大変だった時代。
戦っている人たちの誰もが、戦いのない世の中にしたいと思っている、そんな時代に悲哀を感じました。
現代は、そんな人たちが作りたかった、そんな世の中になっているのでしょうか。
「支配されることが民の願い」という国高の言葉に心がえぐられました。
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悪名高い松永久秀を、ここまで魅力あふれる人間として描いた作品は過去にないでしょう。
明智光秀同様に前半生が不明なので、この作品のような人生だった可能性もなくはないわけで、NHKの大河ドラマと思えば楽しめます。まあちょっとやり過ぎ感は否めませんが、その人が善人か悪人かなんて戦国時代においては立場によって180度変わるわけで、新しい視点で描いた久秀像は新鮮でした。
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主君を裏切り奸計を巡らす悪人との世評が定着している弾正松永久秀。
著者が想像力を駆使しつつ、提示する正反対の人物像は新鮮だ。
新しい史料によって信長の信条、人物像も洗いなおされつつある昨今、松永久秀もそうなるのだろうか。
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直木賞こそ獲れなかったが・・・
戦国時代の稀代の悪人として名を残す松永久秀に、新解釈を加えた作品。作者は近年多くの時代小説の秀作をハイペースで執筆する今村翔吾。
織田信長が安土城の天守で、小姓に松永久秀について語っていくスタイル。謎の多い松永の前半生をミステリー仕立てで少しづつ明かしていく。狂言回しと思われた小姓が最後に魂を吹き込まれたかのように動き出す結末も面白い。
分量が多いものの圧倒的な迫力での一気読み。候補とはなるも惜しくも直木賞は逃したが、この勢いがあれば近いうちの受賞は間違いないだろう。
400年以上前の出来事に、今でも作家の解釈を加えるとこれだけのストーリーが出来上がる。プロとしてのワザには感服。
近年稀に見るストーリーテラー、次回作にも期待大です。
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圧倒的な筆力で引き込まれた。人は何のために生きるの
か。今の政治家に読ませたい本だ。
「ぼろ鳶組」シリーズも爽快だがスケールの大きさが違う。
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『悪人』と名高い松永久秀の半生を新たな解釈で描く。
先日読んだ伊東潤さんの「茶聖」と同様、これまた主人公の見方が変わる作品。
とはいえ、最近の研究で松永久秀は後世に伝わるような悪人ではなかったことは少しずつ分かって来ている。寧ろ優秀で先進的だったが故に周囲から疎まれたのかなとも思える。
この作品の面白いところは、松永久秀の半生を語るのが織田信長という点。二度も謀反を起こされながら、信長は最後まで彼を許そうとしたのは何故かもこの解釈なら理解出来る。
そして松永久秀が最後まで追い求めたもの、生涯を懸けて夢を追い結局は叶わぬまま人生を終えたその姿から信長は何を感じ何を思ったのかにも興味を感じた。
この後起こる本能寺の変の最中、彼の胸に松永久秀のことは去来しただろうか。そんなことをチラッと思った。
松永久秀が三好家の家臣として登場する前については分かっていないらしい。だからこそこの作品では大胆なフィクションでその少年期を描いてある。
個人的には祐筆であったり優秀な役人だったりしたことからそれなりの血筋の武家か、それだけの教育を受けられる裕福な家の生まれかと想像していたのでこの少年期については違和感があった。
ただ後に彼が築く多聞山城の名前の由来であったり、東大寺の焼き払いや二度目の謀反に繋げるあたり、作者さんの努力が垣間見えた。
松永久秀が生涯の主君とした三好元長が語る理想、『武士の支配から解放』し、『民が民を治める』国というのはまさに現代の国の有り様だ。だがそれが素晴らしい世界なのかと言われたら何とも言えない。
この作品を読んでいると、『じんかん(人間=この世)』は儘ならぬものということを切実に感じる。
三好元長の理想は民の心に沿うものだと思っていたが、それなのにその民から裏切られた。家臣から裏切られたのならまだ納得出来るが、懸命に守ってきた民から裏切られるとは一体なんのために戦ってきたのかと脱力する。
『人という生き物は変革を拒む。人はそれを神だの仏だののせいにして生きているだけなのです』
『本当のところ、理想を追い求めようとする者など、この人間(じんかん)には一厘しかおらぬ。残りの九割九厘は、ただ変革を恐れて大きな流れに身をゆだねるだけではないか』
変革の先にあるもの、理想の現実化の先にあるものが民の幸せだと説いてもそこに逆らうのが民の意志であるならば、それは理想ではないということなのか。
また細川高国の話はなかなか興味深い。日本に限らず今の世界を表現している。
『恐ろしいのは、箍が外れれば後先など考えずに狂騒すること』
『己を善と思い、悪を叩くことは最大の快楽。たとえ己が直に不利益を被っておらずともな』
『世に善悪があると本気で思うか』
自分の行為や意志を正当化するためにそこに外れるものは悪と決めつけ徹底的に叩く。結局のところ、松永久秀が後世で『悪人』とされたのはこういうところなのかなと解釈した。
民のため主君のためにこんなに頑張って、汚名も悪名も引っ被って最後まで足掻き続けて、それなのに上手くいかなくて、結局彼の人生は何だったのか、一体『何のために生まれたのか』。
しかし現代になって再び彼の研究が進んで再評価もされ、優秀な武将として注目されている。そのうちに彼が追い求めた理想の世界も分かってくるかも知れない。
その時に彼が生まれた意味、生きて足掻いた意味も確かにあったと言える。
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松永久秀の一生。
織田信長が家臣に松永久秀の一生を語るという形で展開される。
歴史に残る事件には、全て理由があり、それを善とするか悪とするかはそれぞれの立場によるのだと痛感した。
また、『麒麟が来る』を視聴している者としては、足利義輝が脂ぎったおじさんとういことで向井理さん義輝のイメージが、、、
まあそういった、人それぞれの解釈が歴史小説の面白い所なのかなとも思ったり、、、。
読みやすく、ほぼ一気読みでした!
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わたしはこの作品を読んで松永久秀という人物を知りました。松永久秀は斎藤道三や宇喜多直家に並び、三悪人と呼ばれるうちの1人です。そんな彼の生涯を描いたのがこの小説です。どこまでが真実で、どこからがフィクションかは定かではありませんが、1人の男の物語としては読みごたえがあり楽しめます。久秀が、商人の子として生まれるも、貧しくて生きていくことができなくなり、盗人のようなことをして生活していた少年期から始まり、青年期には書や茶道を学んだことから人の一生について考えるようになります。権力や力を持つものが、弱き者から住む土地や食料を奪い生きる世界を嘆き、戦国の世を終わらせ太平の世を作り上げたいと願う、史実に残る彼の姿からは想像がつかない人生観が描かれます。
タイトルにもなっている「じんかん」はまさしく、「人間」を表します。乱世に生きる久秀が「人間」をどう考え生きたのか。対岸の火事と笑っていられない世界情勢を生きる私たちにも「人間」のあり方を考えさせてくれる作品です。
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戦国時代悪党で有名な松永久秀。ゲームの信長の野望ではすごい人相で描かれてました笑
真偽のほどは定かではないが、背景がわかるとこうもイメージが変わるとは。
語り継がれ方一つで変わるもの(きっと勝てば官軍的なもの)なので、歴史上の人物で、違う切り口から描いた作品をもっと読んでみたいと思った。
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松永弾正久秀の一代記.謀反を知った信長が小姓頭に一夜をかけて弾正こと九兵衛の来し方を物語る程で進む.
今村氏は悪だと思われていたことを別の角度から光を当て,読者を違った世界に連れて行ってくれる.そこには敵でさえも悪人でなく(細川高国にも彼なりの理を与えている),裏切った主人もどこかで許している.三好元長がそんなに立派な人間かどうかは知らないが,九兵衛がその理想に共感して同じ夢を見たところ,とても感動した.ただ,将軍義輝が大好きなので,彼の扱いの低いことが残念だった.
戦国時代の先駆けにこのような民のために立った武将がいたことを信じて紡がれた壮大な物語だった.
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これまで悪者のイメージが強かった松永久秀が変わりました!合戦の表現も新鮮でした。今一番、油の乗った作家だと思います。
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間違いなく良作。
これまで戦国武将に対して、史実に基づきある一定の目線でどういう武将なのかを認識していた。しかし、その人物の背景を深く知り、見方を変えてみるとこうも違う捉え方が出来るのだと大きな気づきを得ることが出来た。
今村さんありがとうございます。
執筆お疲れ様でした。