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この手の小説は昨日読んだ『若冲』でもそうだけど、作者の解釈次第でどんな人物にの華があり、そうやって歴史を教わればきっと学生時代日本歴史がずっと好きだっただろうなと思う。教科書は誰々、何年、何した、これだけではただの記憶学習である。おそらくこの本のおかげで三好家の京都の政や松永久秀、それに関わった大和の国の歴史を忘れない。
信長と小姓のやり取りもその風景が目に浮かぶような記述で章のはじめと終わりを楽しみに読めた。
ラスト、ずーっと生き別れた登場人物がまさかのところで再び名前が出たのにはもうこれぞ物語!と感極まった。
人はなぜ生まれ、なぜ死ぬのか?
重いテーマとずーっと探求し続けた九兵衛の生涯、分厚い本なれど、行間が程よくあけられていたのもさることながら一気に読み進められ、むしろ、止める事が出来なかった。
時代小説はすぐに名前が変わったり、昔言葉であったりで読みにくくわかりづらいと読まず嫌いだったけど、続けてこういう良本に当たるとはまりそうだわ。
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戦国時代のヒールとして語られる松永弾正の生涯を、違った視点から描く。
前半は信長の回想により物語を進めて、信長が弾正を評価していることを印象付けるのは効果的だ。
理想と現実のはざまで揺れながら戦う男たちの生き様はアツい。
かなり厚い本だけど一気読みだった。
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麒麟が来るでも話題の松永久秀が主人公。いわゆる松永久秀といえば、「三悪事」を働いた戦国の梟雄というイメージだが、この「じんかん」では忠臣として理想に燃えていた久秀像を描いている。その久秀がなぜに後世悪人呼ばわりされたのか、歴史を新たな解釈で再構築しているわけだけど、やはりその場合、前提条件を全編に渡って受け入れられるか否かが物語に没入できるかの鍵を握る。私は今回は没入できなかった。後半になるにしたがって、話に無理が出てきて、読むのがしんどくなってきた。しかし、松永久秀は主人公として十分なエピソードを持っているので、もう少しド直球の物語も見てみたいと思った。
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従来の松永久秀像から180度転換させて、歴史的エピソードが少ない前半期のところから始まり、後半生の有名な事象を清正な物語りに置き換え、うまく描き切っていると思う。
ただ、読み終えて、松永に聖人なところの印象だけが残り過ぎ、清濁の濁の部分で感じるべきところが薄くなってしまったからか、タイトルの『じんかん』が、ガツンと入ってこなかった。
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松永久秀の生涯を信長が語るというスタイルが新しいと感じた。信長と久秀は歳も離れているのだが考え方が近いと感じていたよう。面白くて始めから引き込まれた。戦国時代の武士がどのような存在だったかがわかる。何がきっかけで運命が転がるのかわからないな、と思った。九兵衛の願いは叶わなかったが、その夢に貢献したい仲間が松永家臣団を形成したし、最後までともに戦った。カッコいい人生だったな。
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9月-23。4.0点。
松永久秀の半生記。作者なりの大胆な構想で、破天荒な人生を描く。
面白い。500頁一気読みした。
ぼろ鳶シリーズでも感じたが、臨場感、スピード感がずば抜けていると思う。
残念ながら直木賞を逃したが、そのうち獲るだろうと思わせる秀作だった。
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松永久秀の悪人説をひっくり返す。絶望的な幼少期からの前半生は新鮮。信長に対する二度の造反にも新しい解釈。
感情移入しすぎの軽い文体と、現代的な価値観のこじつけで少しマイナス。司馬遼太郎さんのような重厚な俯瞰が好みなもので…
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戦国武将 松永久秀の生涯を描いた一冊。
ちょうど「麒麟が来る」が再開したタイミングで、読んでるとどうしたって久秀役の吉田鋼太郎さんが浮かんでくるんだけど、でもわたしの中の久秀のイメージは吉田さんとちょっと違う感じ。
いろんな武将がじゃんじゃん出てくるので、途中で誰だっけこの人?となるけど、主要人物さえ押さえておけばそのまま読み進んでも支障なし。
今から500年以上も前の話なのに、読んでいると現代の政治家や、政治家に失望しつつ自ら行動を起こすわけではない自分への思いと重なる感情があふれてきた。
「日々の暮らしが楽になるのを望んで入る。しかし、そのために自らが動くのを極めて厭う。それが民というものだ。」
「民は自らが生きる五十年のことしか考えていない。その後も脈々と人の営みが続くことなどどうでも良いというのが本音よ。」
そんな言葉にほんとに苦しくなりながらも、ラストで九割九分九厘の人間だった又九郎が一厘の人間を目指そうとする姿と、若者に意思を繋げて安堵する久秀に泣けた。
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応仁の乱より100年。
武士はおろか、人々は「争い」の日々に辟易としていた。
そんな中、争いの無い「民が執る政」を目指した一人の男がいた。
その名を三好元長。
その遺志を継いだ久兵衛(松永弾正少弼久秀)が何故希代の悪人
と呼ばれる事になったのか。
織田信長が、小姓頭又九郎に語って聞かせる場面から物語は始まる。
その松永久兵衛久秀こそ、この物語の主人公である。
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面白かった。この人の本は好きだ。日本史の知識が足りなすぎて時々しんどくて,だから『童の神』の方が面白かったかなという感想になるのだと思う。
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別なる人間が語れば異なる歴史も出来上がる、まして人間を語るとなれば尚更だ、「人間」と書いて世間、人と人の間ということだ。歴史上の人物が様々な角度から描かれる、昨日の悪人は今日は善人、また逆然り、愉しく読めた歴史作品でした。
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裏切りを繰り返し、極悪人としてのイメージが強い松永久秀を主人公にした歴史小説。ここに登場する松永久秀はかっこよくて、他の戦国大名よりも一歩も二歩も進んだ視点で世の中を見て、理想の日本を目指していたように描かれている。若い頃のことはよくわかっていないらしく、前半部分はこの作者の創作なのだろう、歴史小説というよりは時代小説といった感じである。そして後半は急に話の展開が早くなってゆく。ある程度は歴史に基づかないといけないので制約が大きくなったからだろうか。話の雰囲気は「村上海賊の娘」にもちょっと似ているように思う。もう少し真面目な歴史小説をイメージしていたが、やはり全体を通じて時代小説といった雰囲気に思う。
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初 今村翔吾作品。
主人公は両親が死に 兄弟二人で戦国の世を生き抜く九兵衛(くへい)と甚助
それは幼い頃の松永九兵衛久秀であった。
史実がどこまでなのか分からないけれど まっすぐな主人公が、汚名を着せられながらも忠義を全うする姿は読んでいて気持ちよく、応援したくなる。
その九兵衛を慕う武将たちはとても個性的で 出会いたい人物ばかりだ。
ちょっときれいすぎる松永檀上ではあるが・・・・
どうも 大河ドラマの吉田鋼太郎が頭から離れず、自分のイメージが出来上がるまでに苦労してしまった。
分厚い本過ぎて手に取るのを躊躇してしまうかもしれませんが、読みやすく、歴史には少し疎くともついていける 面白い作品ですよ。おすすめです。
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松永久秀の一生人生わずかに五十年と言われる時代に人間どう生きるか生きた証はどこに残すのか そんな課題を抱えての物語実に愉快に又面白く最後まで読破した。同じ様な課題を持ちながら生きて来た小生としては感動の一冊だった!
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火消しのシリーズで大人気の時代もの作家が書いた松永久秀ということでこれは読まねばと。なんと言っても地元ゆかりの大名だし。下克上の代表の一人といわれ戦国の梟雄とされる主人公には有名な三悪があり〜一つは主家の三好家の権力簒奪、一つは将軍弑殺、一つは東大寺大仏殿の焼討ち〜更には三好家の後に使えた織田信長に二度も謀反したということでも知られている。果たしてこのアクの強い人物を人気作家がどう料理するのか…と楽しみにしていたのだが、そこそこの厚みがある作品なのだが読みはじめたらやめられず一気読み。確かに三悪をもって知られる武将だが一方で千利休にも先立つ茶人であり築城の名手でもあり更に武将としてもかなりの実績を残しているということも事実でしかも明智光秀と同様、世に出るまでの経歴がはっきりしないという…これは作家にとってはかなり面白い素材なのではなかろうか、と気づかされた。近年の研究では三悪とされる悪事も敵対者によるネガティブ・キャンペーン〜しかも明智家と違って弁護してくれる子孫もいない〜ということが明らかになってきているようでその辺りの状況も上手く取り込んである。けっこうな長さの小説なのだかとにかく心して手に取る必要がある。読み出したら絶対に途中でやめられないから。ほんとに巧い作家。非常に面白かった。