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訪日し、帰化を待っている韓国人による著書。タイトルの高文脈や行間についての著者の理解は自分としてはあまり体系的・論理的に理解できなかった(結論は日本人特有の微笑)が、中段の韓国社会と日本社会の比較文化論、特に敬の日本と蔑の韓国はとても面白かった。
韓国では伝統的儒教思想が未だに根深く浸透している結果、上下関係をとかくはっきりさせ、敬語や侮蔑語が過剰であり、その度が増しつつあるとのこと。その息苦しさに日本に来て安息を得ているという。留学して国に戻らずに米国の永住権を取った韓国人の友人がいるが、表面的には徴兵制度を理由にしていたが、こういう背景もあったのかもしれない。
私自身も昨今のコロナ禍での(私にとっては)異様な、無言の同調圧力には重苦しさを感じるが、これは著者の言う高文脈文化のなせる技なのかもしれない。欧州のような低文脈文化だと明確な法規制で行動規制がかけるが、日本は強制力が弱い一方で要請から文脈を読んで自己規制を強めているという理解もできる。無論、戦後の法制度の問題として語る人もいるが、それ自体も文化の一つなのだと思う。
息苦しさを感じたとはいえ、著者の話を読むにつけ、日本社会は比較論としてはまだまだ生きやすいのかも知れない。