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極めて面白い。ここまでやらないと中東では生き残れないのか、と。陰謀論の世界と隣り合わせの民主主義社会という、イスラエルならではの状況も垣間見える。
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2020年8月12日図書館から借り出し。
中東では軍事力を背景に、やりたい放題のならず者国家に近いイメージのイスラエルではあるが、建国初期の1958年10月29日に生じた国境警備隊による無差別の住民虐殺を夜間外出令に違反したものはすべて射殺せよとの命令を守っただけだと兵士側は抗弁した。それに対し、ベンヤミン・ハレヴィ判事は「明らかに違法な命令には、識別できる印がある。そのような命令には『守ってはいけない!』という警告が海賊旗のように掲げられているはずだ。違法な命令からは全面的もしくは部分的に違法性がにじみ出ている。(中略:翻訳原文)目が不自由ではなく心が腐っているのでなければ、その命令を受ける者の目を射抜き、心を怒りで震わせるに違いない」と判示したと書かれていた。(348頁)
これには正直驚いた。あのイスラエルでさえ、初期にはきちんと司法が機能していたのだ。
翻って、日本帝国陸軍は中国で、アメリカ軍はヴェトナムで、大量の住民虐殺を繰り返した。原点は人種差別意識であることは間違いない。ヘイトを繰り返す人間は怖い。
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スパイやその所属する諜報機関の描写は映画や小説といったフィクションの世界ではよく見かけるが、この本には実際のところインテリジェンスの世界がどのようなものなのかが事細かに書かれている。そもそも諜報機関の内情をノンフィクションとして書くことなどできるのだろうかと思ったが、実際著者はこの本を書くのに並々ならぬ苦労をしたことがうかがえる。その情報収集の結果は巻末の100ページ近い注記に見ることができ、情報の正確さのために多大な努力を払っていることが推察された。また、著者がイスラエルにかかわりが深いこともあり、情報源はイスラエル側のものが多いが、著者個人の主張を極力排し中立な立場で事実を書き連ねるようにしていることも感じられた。
上巻ではイスラエルの建国から第一次インティファーダのあたりまでの期間に各情報機関がどのように設立され、確立されていったかの経緯や、国の生き残りを賭して諜報活動に血道を挙げる状況が様々な作戦行動の描写を通じて綴られる。普段自分が暮らしている日常とは全く想像もつかないような世界があるということを痛感させられた。
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国家とユダヤ人を危害から守るためにあらゆる手段を講じるイスラエル。イスラエルの新聞記者が政府・軍関係者への膨大な聞き取り から明らかにした、イスラエルで特殊任務にあたるモサド、シン・ ベト、アマンの3機関による、諜報活動と要人暗殺作戦の初の通史。
めちゃくちゃ面白そうだけど買う人少ないだろうな・・・と思いながら読み始めました。序文からして恐ろしいにおいがぷんぷん漂うんですけど、あまりに平和ボケした日本人にはかなり衝撃的な内容で、でも怖いもの見たさであっという間に読み終えてしまった。この著者、近いうちに消されるとかない・・・よね?ここまでの証言をよく集めたなあと感嘆しかないです。すごすぎる。筆者のイスラエルへ対する批判的な姿勢は述べられていますが、決してくどくなく、淡々と事実が記されていて客観的な一冊に仕上がっている。下も早く買わないと。翻訳してくれた早川書房に感謝です。
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まるで映画や小説のように思えるほど臨場感が溢れる内容。
こんな世界があったのかと信じられない気持ちになり、でもそれが事実なのでとてもやるせない気持ちになる。
明日、日本がなくなるなんて今の自分には想像つかないけれど、イスラエルには国の成り立ちからして闘わないいけないと思ってしまう理由がある。
闘いを続ければ続けるほど、どんどん複雑化しているように思う。
教科書的な事実羅列ではなく、色々な立場の人間のリアルな発言があふれている。
著者のインタビューにかけた時間と労力が計り知れないし、それをこの本にまとめたのがすごい。
翻訳も読みやすかった。
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国家とユダヤ人を危害から守るためにあらゆる手段を講じるイスラ エル。イスラエルの新聞記者が政府・軍関係者への膨大な聞き取り から明らかにした、イスラエルで特殊任務にあたるモサド、シン・ ベト、アマンの3機関による、諜報活動と要人暗殺作戦の初の通史