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かつて師と仰いだ人の著書。
20年以上前のこと、その時に教えていただいたことが、そこここに書かれていて、
変わらず同じ志を持たれていること、当時それと気づかず一流の人の薫陶を受けていたことに思いを馳せながら読んだ。
当初、「臆病者」をキーワードにした自己啓発本だと思って読み始めたのだが、
あたりまえだけど、著者の土俵である広告、ブランディングの話だったし、中にかなり実用的な記述もあったのはちょっと意外だった。
ひとつ思い違いで、当時、著者から
「汗かけ、ベソかけ、手紙書け」
と言われていたと思っていたのに、
そしてその後の仕事人生の中でベソをかくようなときに思い出してもいたのに。
違っていた。
「汗かけ、恥かけ、手紙書け」だった。
コピーは自身の裸をさらすようなもの。その裸にNGを出されるのだからそりゃ恥ずかしい。でもそれを怖がってはいけない。
そんな話だったと思う。
いやいや。
P31
マスコミ入社を目指す大学生が集まる勉強会では、「頑張る禁止令」を出したことがある。
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当時、ボディコピーの授業で「『そんな』受け」はなるべくしないようにと言われた(「そんなあなたに」的な表現)。安直だから。そこに流れていかないように頭を使いなさい。今も、安直に「そんな人のために~」と書くとき、当時のことを思い出す。しかしその安直な道から脱するのはむずかしい。
p45
「what to say」は目的、「how to say」それを叶える手段。「what to say」さえぶれなければ「how to say」はいくらでも道がある。
p47
臆病者は勉強すれば良いだけ。
p56
雑談力を磨くよりも、本質であるビジネスの語り出しに注力するべき
p69
5回の「なぜ?」を問い続ける。
問い続けた成果は言葉に表れる。
p136
「一人ブレスト」をやる。
ノートに思ったことや、アイディアの断片をどんどん書き込んでいき、気になることがあってもPCやスマホで検索しなこと。検索すると一人ブレストの行き先がズレていくから。
p156
ブランディングとは「北極星」を見つけ、そこへ向かうこと。
ビジョン、ミッション、クレド、企業理念など、いくつも言葉はあるけれど、企業が目指す方向は一つで良い。分かり易いシンプルな言葉一つあれば十分。
だから「北極星」。旅人はこれを目印に旅を続ける。
これを決めると社内を巻き込んでベクトルが一つとなる。一つの方向に向くことで強くなる。
「旗を立てること」とも言えるけれど、「北極星」とすると顔が上を向く。
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この部分、まさに今やっている仕事に示唆を与えていただいた。
旗印、海図、羅針盤、地図などと言っていたのが、「北極星」とすると前を、上を向ける。コピーライターならでは。明るき気持ちになった。