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突如打ち切りを迎えた「とどのつまりの有頂天」が雑誌とタイトルを変えて再連載を迎えられたことは一人のファンとしては非常に嬉しいものだったり
ただ、「とどのつまりの有頂天」に猛烈に含まれていたギャグ成分はそれはそれで好きだったのでちょっと残念な気持ちもあったり
でも、それ以上にこの再連載版では百合成分がより勢いを増しているね
「とどの~」の序盤においては少し伝わりづらい部分もあった猫崎蓮の想いが凶悪なまでに伝わってくるようになっているように感じられる
そして蓮の想いがはっきりとしたものに変わったのに連れて、美古都の感情の揺れも繊細に描かれているね
ぼっちになっていたからこそ、人との繋がりや賑やかさを求めてしまう美古都
ぼっち気味だからこそ、世界を変えるような出会いをした美古都だけを求めてしまう蓮
すれ違って終わってしまうかのように見えた二人の関係が部長と顧問の形で再び繋がりを持ち、そこから幾つもの言葉を交わし合っていく中で改めて距離を縮めていく様子はとても尊い
だからこそ、第4話で放たれる正体の見えない蓮の告白には驚かされるのだけど
美古都と蓮が仲を深めているのは確かなのだけれど、それでも相手の心の奥底に触れるまで親密になっているわけではない。どうしても触れられない部分がある。届かない心がある
まるでその状態を踏まえたかのような第5話の情景は印象的
自分について話す行為に苦しみを示す蓮。その苦しみを少しでも癒すべく、止めるべく抱きしめた美古都
触れられないものに必死に手を伸ばし、少しでも蓮に何かが届けばと願う中で届けられるのは携帯の電波
触れたいのは別のものなのに、受け取りたいものは別のものなのに。何かが届いた気がして、それで笑顔になれてしまう美古都と笑顔になれなくなってしまう蓮
皆から蓮は好かれているのだと考える美古都。求めるものが美古都と違うと知ってしまう蓮
やっぱり大切な何かがすれ違ってしまっている二人の想いの行く先がどうなってしまうか気になるし、今度こそ二人の恋を最後まで見届けたいと思ってしまう
第一巻は美古都と蓮を中心に描いたから有頂天部の他の面々については少し触れる程度だったね
第2巻以降は彼女らについても触れるんだろうか?個人的には律と愛梨の組み合わせは好きだったりするのだけど