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ドリーム・ハラスメントが生じるメカニズムを解明しようとする一冊。夢とは何かという「夢観」と職業観の歴史的な変遷が興味深い。目的であるはずの夢が手段化し、本質から乖離した俗流キャリア教育がなされ、そうせざるを得ない時代で、けっきょく大人はどうしたらいいのさ……という苦悩にも向き合っており、誰かを一方的な悪者としない配慮に好感を持てました。夢を評価しないこと。お節介を焼いて妨害しないこと。色々納得。
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書店でタイトルが目に止まり、購入。
この本を読むと、2000年代に入りますます人(大人)は夢を持つことを若い人に押し付けていたのかを、思い知らされる。自分も母校のキャリア教育に関わらせていただく中で、夢を押し付けていなかったかと、ふと考えてしまった。行動して、その中で見つけていければ良いよねという考えは自分の中でも意識する必要性を感じた。
ただし、この本は犯人探し(〇〇が悪い)や夢を持つこと自体を否定している訳でなく、凄く色々と配慮している感じが見て取れた。
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誰向けの本なのだろうか?子育て世代や教育に関わる人向けなのかな?かなり対象者を選ぶ本だと思います。
本書では、大人が若者に夢を強要する社会構造に、警鐘を鳴らしている。
アラフォーの子育て世代にはピンとこなかった。そんな現実が仮にあったとしても、本人が気にしなければ別によくない?と考えてしまうので。
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「夢」の歴史。夢が「みる」ものから「持つ」ものになったのはごく最近の話。「夢ありき」で展開される国のキャリア教育政策や学校現場の話。学校の先生にとって欲しいものは上司。特定因子理論。キュリオシティ・ドリブンとゴール・オリエンテッド。禅とジブリ。
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大人は若者に対して「夢を持て」「そしてそれ
に向かって努力すことこそが、人生の充実に
繋がるのだ」と言います。
果たして本当でしょうか。
今の大人は皆、「夢」を持って人生を歩んでき
たのか。側から見れば、その夢をかなえること
が出来たのは、ほんの一握りの人に過ぎないこ
とは明白です。
そうです。夢とは叶わずに散ってしまう宝くじ
のようなものなのです。
だとすると大人は「とにかくハズレくじでも
いいから買っておくのが人生なのだ」と言って
いるのでしょうか。
違うと思います。
本当に夢を持たないと人生に充実感を得るこ
とは出来ないのでしょうか。
この本では、そんな今まで誰も思ってみなか
ったテーマに挑みます。
「夢を持て」とアドバイスすることがハラス
メントになるとは思ってみなかった、と目が
覚める思いを抱く一冊です。
ハラスメントは受けた側が「苦痛」と感じれ
ばハラスメントなのです。
「面倒な世の中だなあ」なんて思わずに、こ
の本で「なぜ若者は苦痛と思うのか」などを
当事者目線で知ることの大切さも学べます。
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「将来の夢」という言葉は、すべての人間に希望を見出すわけではなく、それに苦しめられる人もいる。
学校の課題で書くことを強いられ、自分に夢がないことを、悪いことと思ったり、その場をやり過ごそうと夢を捏造したりした経験は、多くの人が通ってきた道であると思う。(もちろん全ての人が、と断定はできないが)
様々な方法論やハウツー本が流通している中、絶対に全ての人に通じる正しい考え方なんかない、と思っていたが、無意識に信じてしまった「夢を持つことの正しさ」。
読んでいく中で、それに気づかされたことが、とても恐ろしく感じられた。
(もしかしたら、無意識に正しいと思い込んでいることは、他にもあるかもしれない。
「常識を疑え」と口に出すのは簡単だ。
しかし、刷り込まれた常識のように見えるものを、疑ってかかることはそう簡単ではない。)
「夢を持つこと」それ事態は悪いことではない。
「夢がなくても生きていける」社会を作り上げること。それが大人の使命である。と著者はこの本で締めている。
ハッとさせられる読後感を。ぜひ。
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とても良い本だった。夢を持てとか、やりたい事をやるのが良いよなどと他人に簡単に言うが、よく考えたら自分でも特にやりたい事もないし、多分夢もハッキリと持ったことはないのでは?知らなかったのは、今は大人が学生にあなたの夢は何、と就職などの際に聞いているとのこと。無理やりそれに答えようとする学生にとっては不要なプレッシャーになっている現実。若い人にアドバイスする人には是非読んでもらいたい。
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店頭でこの本を見た時「ついに夢さえもハラスメントになったか」と感じた。しかし、中身を見てみるとなるほど納得のいく内容だった。
夢とは非現実感なものである、なのに夢を持つことを前提とするキャリア教育。宝くじを買えと強要するようなものという例えはその通りだと思った。
本書は実際の高校生の声を中心に話が展開していくため、やや極論では?と思う論理展開もあるものの、全体として実感に即するものだった。
子ども・若者に「夢を持て」と語るその無責任さを反省しなければならない。
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「夢に向かって努力しよう」とは教育界の常とう句。
じゃあ、夢のない場合はどうすればよいのか。
そもそも夢を持たなければならないのか。
という問いかけに対する考察が盛りだくさん。
大変参考になりました。
教育現場で大人たちは「就職に還元できる目標」という意味で「夢」という言葉を便利&気軽に使っているのかもしれない。
注意しなければならないなあ。
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「夢」を切り口に語る教育論。主張には賛成する点もそうでない点もあるが、著者が徹底的に若者に寄り添っていることは強く感じた。
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ハッとすることや頷かされることばかりだった。若者に夢を押し売りする大人は果たしてどんな夢を持ち実現させてきたのだろうか。一部の著名人は確かに夢を実現してきたのだろうが、それはほんの一部の人間を誇張し英雄化してきたに過ぎなく、夢を押し付ける側の大人のほとんどは夢などなくても、あるいは夢とは無関係に充実した生活をしている。
夢という幻想に縛ることなく、人が多様な幸せを手に入れる社会でありたい。
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自分自身に問いかけたい。夢という言葉を凶器にして子供を追い込んでいないかと。
やりたい事や夢という言葉は極力使わずに子供と接してきたつもりです。ただ、それでも知らず知らずのうちに目標ややりたい事と言った言葉で子供たちを煽っていたのでは無いかと自分自身に問いかけました。
日頃から小学生、中学生、高校生と接しています。
普段は夢を散々問うのに、いざ進路決定の段階になるとそんな夢を見るなと言われる子供達が不憫で本書を読みはじめました。
結果として読んで本当に良かったと思えました。
ややくり返しが多いように感じましたが、それくらい筆者が伝えたいことがあるということでしょう。
この先も本書は手元に置いて、時折自分自身を戒めつつ仕事に取り組みたいと思います。
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夢は素晴らしいものだと大人は若者へと押し付けますが、
一方で、あまりに大きすぎる夢はそんなことは無理だと拒否します。
そのような扱いをうければ、若者はもちろん苦しみます。
ハラスメント自体の話は良かったのですが、
ならば、どう言う社会を作っていくべきかをもっと読みたかったです。
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夢は持つ「べき」ものなのか?
それは何のために?
現状では夢を努力のインセンティブとして大人が手段化している節がある。
それは特に教師が、教師になるという夢を持ち努力して教師になったから。
今更だけども、小さなチャレンジにより小さな成功体験を積み重ねることが大事。
そのためにも、干渉せず評価しすぎずの支援は不可欠。
夢は段階を踏むことで宿る。
「せずにはいられない」を大事にすること。
「夢がないと動けない」という若者には思考回路を切り替えさせる必要がある。
考えたり意味を理解したりする前にまず行動させ、あとから意味づけさせればよい。
そうすることで「行動することは損じゃない」という思考へ切り替わる。
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読了しました。
読書会でパパ友が、スマートなまとめ方をしつつも、意味深長なことを
多く語っていおり興味が絶賛彷彿し、手にした本です。
本書は、書名にあるとおり「夢」を押し付けることによる弊害について、
いままでにない切り口で鋭く、そして社会に大きな問題提起し、その解決への提言もしっかりが語られています。
著者は、「夢」を持つことに対してまったく否定していません。
むしろ、必要であると言っています。
著者が訴えているのが、押し付けることです。
それが、親、教育者、国の施策、企業が「悪意なく」押し付けるこの社会の現状を赤裸々に映し出し、問題提起しました。
著者は問います。
「夢を持たないとヒトは死ぬのか」
「夢=職業という画一的な無機質な価値観がげんじょうではないのか」
「若者、子どもに夢を実現させたい大人の目的は、別の目的を実現させたいだけの悪意なき邪道な手法ではないのか」
夢のもつ、人それぞれの価値観のズレや脆弱な曖昧さや、夢を実現するまでの「戦略論的技法」が、さも正しいとまかり通っている社会に気づかされるはずです。
繰り返しますが、人が夢を持つことについて著者は否定しておりません。
夢は「持つ」ものであり、その多くが事後的なものです。
子どもたちや人が、夢中になること、大好きな事、その延長に夢はあるのだと著者は語ります。
私の好きなキング牧師の言動が効果的に引用されているのに親近感を覚えました。
読了後、今のこのドリームハラスメントを作ってきた大罪に愕然とします。
私自身の自戒を含めて、そんな気持ちにさせてくれる本です。
子育て中の保護者、教育に関わる方や、「夢」の本質に迫りたいな人に
お勧めの本です。