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大学生ってこんなに大人なのかな…すごいな…。自分の幼さに不安になってくる。
観覧車の光に照らされた1本の陰毛の使い道を考えるシーンが好き。あと麻衣子の幼いときの記憶のシーン。
主人公は頭もよく運動もでき女性の扱いに長けているのになんだか怖いひとだと思う。主人公目線の話なのに淡々としているから、読んでいるこちら側の感情の方が揺れ動くのがよく見えて恥ずかしい。
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読み始めから読み終わりまでずっと気持ちが悪かった。
なんなんだろう、この気持ち悪さは。
母校でラグビーのコーチをする大学四年生。公務員試験を挟んだ数か月間の話。
筋トレで身体を作り、高校の恩師の家で肉を食べさせてもらう。恋人と別れ新しくできた彼女との異常なほどのセックスの日々。そして破局。そのすべてを淡々と語る主人公が気持ち悪い。思考がゆれ、ぶれ、ズレ、戻る。何かを深く考えているようでいて、その考えていることにほとんど中身はなく、考えるために考えているけど考えても仕方ないから考えるのを止める、という感じでもしそばにいたらちょっとしっかりしなさいよ、と言いたくなるけれど、これはこれでそれなりに友だちもいるようなので、それはそれでいいのか。と、読みながら感想もゆれぶれズレ戻る。
元彼女の子どもの頃のエピソード。もしもそれをもっと早くに語れていたら何かが変わったのだろうか。いや、変わらないな。彼は多分何があっても彼のままだろう。内側と外側がつるんとつながった管のような、そんな管なんて存在しないかもしれないけど内臓が身体の外側にあるような、そんな気持ち悪さ。気持ち悪いと何回も書きながらずっとこの気持ち悪い主人公のことを考えてしまう、ホルモンあんまり好きじゃないけど時々食べてくなっていつまでも噛み切れなくてずっと口の中で咀嚼し続けてしまうようなそんな感じ。
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公務員を目指す大学4年生の主人公は、ラグビーで鍛え上げた肉体と強い規範意識を持っていて、そのストイックなまでの自意識が読む者に若干の違和感を抱かせるが、それでも、公私にわたって順調に暮らしている。しかし、その自意識と、周囲との微かなズレが次第に大きくなって、小さな破局を迎えてしまう。
芥川賞の選評を見ても、この主人公に注目が集まるが、それはそうとして、同期の膝という男の独特の発想や話し方も本書の強いアクセントになっているように思う。類は友を呼ぶかのようだが、主人公と交際していた麻衣子や新しい恋人の灯にしても、普通ではない。
主人公が、ちょっと不道徳なことを思いついて、でも、自分は公務員を目指しているのだからやめておこうというシーンが幾つか出てきて、興味深かった。
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書評を聞いて、読みたいと思っていた本。話題になってからずいぶん時間が経ってしまったけれど読みました。「破局」の意味とは?と気になったり、テンポのいい物語だったこともあり、短時間で読み終えましたが、感想を一言でいえば「苦しい」かな。私は性的で、暴力的なものは苦手なので、テーマが苦手だったんだと思う。とても怖いし、読み終えた今は深夜なので眠れるかな・・・って。自分もこんな風に大切にしたいことやものを自らの手で壊していっていないか怖いです。
しかしながら、私はのめり込んで読んだのです。遠野さんの文章は自分にすんなり入ってくるんだとも思いました。違うテーマのものを読んでみたいと思います。
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好みかと言われれば、好みではないけども。
若い作家が書いた感じ。
山田詠美の選評の「身も蓋もない下品な表現」が多々ありますw
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これ新時代の虚無というほどのものなのか?全てを持っているようで何もないように感じる、ってわりと古典的な自己規定の闘いな気がする。勉強やラグビーなど資本主義社会の縮図で自己が空洞化していき、支配とコントロールに対する信望(亡き父が残した「強い男」像?)しか残らない陽介。レールにうまく乗れず一見不器用に身えるも、自己の保持と探求に正直な膝。(膝って無防備のシンボルとかなのかな…)灯は性欲という生理現象に対して陽介より感情的、つまり精神を肯定してる。麻衣子は…レール上に自己規定することで過去のトラウマからの回復を目指してる?彼女の視点から読んでみたい気がした。陰毛の擬人化が見事で笑っちゃったw
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第163回芥川賞受賞作。
公務員への就活をしている慶応大学生の陽介は、友人の最後のネタライブで知り合った1年生の灯と知り合い、議員志望の恋人と別れ、灯とのセックスを中心とした関係にのめりこむが、元カノとの別れた後のセックスによって灯との関係も壊れ、人的にも破局していくと、あらすじを書いてしまうとすごく薄っぺらな青春小説のようです。
印象に残るエピソードはストイックなくらいに体を鍛え上げていたり、友人の膝の独白であったり、高校ラグビー部の恩師の佐々木との関係であったり、元カノの麻衣子の幼少時代の独白だったりします。
文体も読みやすいので一気読みしましたが、環境にも恵まれていて、何一つなくすものがなかった主人公が、佐々木や膝との日常関係の変化から始まり、恋人をなくし暴力沙汰まで起こして人生の破局に到達してしまう自己への甘さに対して、嫌悪感を持ってしまいました。
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芥川賞受賞作。
少し狂気じみた三人の三角関係。
周りの人を思いやったり、無理強いせずに基本的に他人を思いやっているようで、何かあった時に感情をコントロールしきれない不安定さ。彼女がいるからと一応拒否するんだけど、結局流されしてしまったり。
自分も彼女がいる人を誘っておいて、逆のことをされると許せなくなったり。
付き合っているときはつれなかったのに、別れた後で誘惑してくるのは、未練?復讐?後悔?子どものころ、男に追いかけられたトラウマ?既婚者に言い寄られたのは、言い訳づくりに思えるけれど。
もしかしたら、どれもこれも、若い時代のごくありふれたどこにでもありそうな話なのかもしれない。自分の想像でしかないけれど。
受賞ポイントはどこにあるのだろうと、考えた。
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主人公の思考は全く理解できないまま読み終わったけれど、こんな感性で生きられたら幸せかもしれないと思った。
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こんな作家が出てきたのかと、驚きながら読んだ。オシャレだし、これ読んだ高校生は慶応に行きたくなるんじゃないかな。あんな結末にしなくてもとびっくりしたけど、あれも良さかな
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(「内容紹介」より)
私を阻むものは、私自身にほかならない――ラグビー、筋トレ、恋とセックス。ふたりの女を行き来する、いびつなキャンパスライフ。28歳の鬼才が放つ、新時代の虚無。
読了する3時間が無駄なじかんとなりました。まさに虚無な作品。
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感情があるのかないのか,心の壊れた主人公のロボットのような人間像.どんな生い立ちだったのだろうとそこが気になった.また,現代の病,依存症,特にセックス依存症がこんなに怖いものだとは知らなかった.とにかくひたすら暗いトンネルの中でただ前に進んでいるような息苦しい小説だった.
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これが芥川賞受賞作?と、疑いと驚きをもって読み終えた。リアリティのある私小説にも見えるし、情緒不安定な青春小説にも見える。主人公の外面に現れる人物像を、歪んだ暗さが垣間見える内面から説明する、気味の悪さが漂う。主人公の周りに、突飛な人物を登場させ、語らさせることで、常識感に反するようなストーリーが展開されていると思わせる反面、かくなる現実もあり得るかと考えさせられる。不透明感の中、最後に訪れる破局で、主人公が辿り着く安心感、それを情景で表現するところに、作品に対する安堵感を感じる。
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評判を聞いてなんとなく、主人公がヤリチンで片っ端から女とやりまくる話を想像していたら全然ちがった。体育会系のリア充で、自分本位なところはあるけど女性に対して優しくてよく気を使っている。彼女もちょっと変なところはあるけど二人ともかわいらしい。ちんちんが元気でうらやましい。
元彼女が子どもの頃に家に侵入者があったという話がとてもスリリングで、途中で終わってしまって続きが気になる。大して何も起こらなかったであろうことは想像できるのだけど、もうちょっと続きを知りたい。
最後の場面はめちゃくちゃで最高。
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人間はいくつもの「私」を持っている
だから、自分が何か失敗をやらかしてしまったあと
ネガティブな感情に引きずられないためには
やらかした「私」を切り捨ててしまえばよいのだ
そうすれば気持ちよく日々を過ごしていけるだろう、なんて
そんな思考パターンをデフォルト化した男が
見ようによっては欲望まかせの
行き当たりばったりを繰り返したあげく
最終的に、刑事事件をおこしてしまうという話
一人称ゆえの不条理というか
説明不足に不満の声があがるのも無理はないと思うけど