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投稿者:ハム - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本初の女性嫌韓の総理大臣が誕生。韓国のことが嫌いなひとでも、好きなひとでも、読んだらおもしろいです。
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なんとも言えない読後感。だんだんこんな世の中になるのかなと思わなくもないし…人間の熱しやすく冷めやすい感じが、いろんなものを萎えさせていく感じは、世界の人共通の感覚なんだろうかとふと思った。同じ時代の空気を吸っても、同じ腹から生まれたり血がつながっていても、私たちはどれ1つ同じ感覚で受け止めない。今この瞬間も何を大事にして存在するかは、ほんとにバラバラだ。私が考えたり信じたりしていることさえ、ひとつの方向性に過ぎないのに、いったい人間が思い描く未来に何の意味があるんだろうとさえおもってしまう。
作者の頭が良すぎて、人物の背景が複雑すぎた。それもルーツやアイデンティティのせいにしたら、もしかして差別になる?それともこれはちゃんとした感想?…とにかく、人物の背景が描いてあるけど複雑なぼかしが効いてた。
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李龍徳の信条告白のような作品だ。
梨花に語らせた、彼女の文学への信仰は李さんのものそのものではないか。
それを裏打ちするかのように、物語は結末へとなだれ込む。
世界は腐っている。
腐らせているのは私たち自身だ。
そして私たちは非力だ。
理想主義はいつだってむず痒い。
理想で現実は変えられない。
私たちはそれほど賢くない。
それでも、世界に一石を投じ続ける。
その波紋がなにも起こさないとしても。
それが次の何かにつながると信じて。
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日本人のわたしには〜という感想の貧弱さ。
そういうカテゴライズの暴力性をこれでもかというほどの筆力と熱量で見せつけられてその感想に至るのであれば、内なる分断の線に無自覚すぎます。
この小説が描くディストピアは、今の私たちの社会と決して遠くない。むしろ、一つ何かきっかけがあれば容易に傾く。
橋下徹をはじめとする維新の連中の、威勢の良い空虚な言葉を並び立てるものがなぜかテレビでは重用され
書店には嫌韓本が並び、ネット番組•SNSには目を覆うようなヘイトスピーチが溢れ
小池百合子は関東大震災時の朝鮮人虐殺を否定するかのような姿勢をとりつづけ
朝鮮人学校の前で信じられない罵詈雑言を浴びせかける大人たちがいる、さらにはその男が都知事戦であれだけの票を獲得する、この日本で。
なにができるか
なにをしなければならないか
1人の人間として、考え続けることしかできない
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今まで読んだことのないタイプの小説だった。不穏なタイトルから紡ぎ出される物語もまた不穏なものであり、また救いももたらされない。在日韓国人に対する差別がテーマであり、人間の心の醜さをえぐり眼前に突き出される、あるいはそれに対峙させられたことによって生じた苦痛を投げかけられる。正直、読んでいてしんどい内容であったが、同時に読むことができてよかった、この作品でなければ生じることのなかった感情を抱くことができた、と感じている。
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ネット上・SNS上の言説や、ここ数年の日本の雰囲気をみたとき、ヘイトや差別の行き着く先にこういう世界が訪れるかもしれない、そう思わせる怖さがある。
この本自体が、主人公のごとく、世界への抵抗の物語だ。
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現状から想定し得る極端な政治状況を設定するって点ではウェルベックの「服従」を彷彿とさせるところもあり、右派女性首相による国粋主義政策とかブログ調の文体は変にリアリティあったり、アプリの話はちょっとSF感もあってそこはそこでもうちょっと掘り下げてみてほしかったり。
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「排外主義者たちの夢は叶った。」という挑発的な一文で始まる、政治的で文学的なディストピアSF小説。
在日韓国人へのヘイトが法的にも黙認された日本を舞台に、魅力的な登場人物たちの、しかし破滅的な物語が描かれる。
人権問題や社会問題についての、示唆的な台詞や指針があるのはもちろんのこと(「世界を善くして」いくため、環境や女性や家畜や発展途上国の人々に「気兼ねして」生き続ける、というのは本質的な回答のひとつだと思う)興味深いし耳に痛いけれど、それだけでなく、最後までクライムサスペンスとしての体裁を崩さず、エンターテイメントとしての面白さを失せさせないところに、むしろ作者の志の高さを感じた。(「悪」を以て「悪」を払う、といった趣の最終作戦が、行き着いた結末の呆気なさには
、面白さよりも無常を感じるけれども)
日本の戦争犯罪だけでなく、韓国の戦争犯罪にも 触れたり、日本での生きづらさを描くときには、ともに、韓国での生きづらさに触れていたりしたのも作品としてフェアな姿勢だったと思う。
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在日朝鮮人の現実を描いた作品
日本人の私にはわからない
差別や葛藤が描かれている。
考えさせられる作品
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在日韓国朝鮮人に対する差別用語で溢れてる。作品の意図としては別物なんだと分かるが、強すぎる表現は読んでいてしんどかった。
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素晴らしかったですね。女性初の”嫌韓”総理大臣が誕生し、在日コリアンをターゲットにした排外的な法律が次々誕生し、ヘイトクライムが起きている日本が舞台のディストピア小説。在日韓国人として生まれた著者のものすごい熱量を感じる小説だった。差別への解像度が非常に高く(実際この本に書かれているようなことは歴史でも、今この時でも起きている)読んでいて眩暈がするほど。すごかったですね。
こういう表現をしていいのか分からないけれど、村上龍『五分後の世界』『半島を出よ』と近しいものを読みながら感じていた。この何か月かこの2冊のことを考えていたかもしれないけれど。この作者の本も何冊か読んでみることにする。素晴らしかった。みんな一枚岩ではない感じが、とても。象徴としない、属性でくくらないということをとても意識して書いたのだと思う。