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あとがきから引用
20世紀は、専門家から天下ってくる”客観知”が絶対的な権威を持っていた時代だった。21世紀になると、一般の人々の多様な”主観知”が、互いに相互的な位置を保って交流し、ネットを介して、ゆるやかな社会的秩序を形成していくのではないだろうか。個々の血のにじむような体験からなる、繰り返せない主観的世界こそ、生命体である人間にとって最も大切なものだからだ。
著者は工学部出身で、情報学が専門。このため、難解な箇所も見られたが、知のあり方はどうあるべきか、という問いに迫る読み応えのある一冊。
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「知とは何か」という問いかけは、決して、暇つぶしのペダンティックな質問などではない。むしろ、命がけの生の実践にかかわる問いかけなのだ。
前書きの1文を見ただけで、購入して失敗したと実感
小難しい単語を並べて、自己満足している学者チックな著者なのだと。案の定、本書は権威がありそうな他人の主張を参照するのみで、著者の意思が感じられない、いわゆるつまらない論文チックな文章となっている。
題名だけを見てネットで購入すると、たまに買ってしまう残念な一冊でした。
ペダンティック:pedantic
物知り顔の、学者{がくしゃ}ぶった、学者{がくしゃ}ぶる、知識{ちしき}をひけらかす (www.alc.co.jpより)
まさに、あんたのことだと著者に言いたい。
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集合知の本でありつつも「ビッグデータの集合で、最適な回答が導き出せる」という立場とは真逆の本。
情報学をベースにしつつ、認知学、心理学、組織論などの分野と関わりながら、人間と機械の違いに注目し、「人間の知が機械に取り込まれる」のではなく、「機械を使って人間がどのように知を流通させるか」がテーマ。
途中までの議論に比べると、最終的に示される方向性がかなり抽象的で、少し迷子になる感じ。
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正直、今の私には少し専門知識が不足していて咀嚼しきれない表現が多かった。通常、新書を読むペースより2倍の時間をかけ、目次を写してメモをとりながら2度読む方法をとった。
西垣通氏の著書は以前に何度か読んでいて社会学的な視点で興味のある眼差しを持っている方だという印象を持っていた。本書も、第一章で今沸き立っている一般意思2.0に安易に乗っかることへの警鐘を鳴らしている。この本を読む一年程前に読んだ『一般意志2.0』東浩紀氏著を読んだ時は、集合知の活用による新しい社会システムを待望したものだ。第三章・第四章と難しく感じたが、第六章は総まとめ的にわかり易く本書を振り返ってくれている。
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集合知とは何か?
共同体知、コミュニケーションにおける暗黙知。
自己の深層の活性化。
知識とは「主観的」なものである。
専門家の知識は、あてにならないことが、近年示されている。
「客観知」二人称の知として蓄積することが必要?
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クオリア,暗黙知,APS,HACS,ネオサイバネティクス,SEHS,分人,アサキモデル...色々な学説が出てきて、思ったよりヘビーな新書だったが筆者の要点としては、
①多様な価値観が混在する人間集団において閉鎖性・不透明性が保たれれば、メンバー同士の二人称対話(信用のキャッシング行為)にもとづき、社会は安定性と動的適応性へ向かう(→盲目的にオープン/フラット化した社会への反対)
②人間(生命体/心)はリアルタイムで閉鎖的な自律システムであり、機械は静的な時間で開放的な他律システムと、異なる性質ゆえに、ITエージェントはAI(Artificial Intelligence)からIA(Intelligence Amplifier)へ転換し、人間の対話協調を補助するものになるべきである(→自己言及のパラドックスに陥る汎用的人工知能への警告)
人間がどれだけ身体機能を機械に依存しても、人のクオリア(心)や対話能力はそれに代替できないから、ドラえもんとかタチコマみたいなのはやっぱりSFの世界ってことかぁ。。
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現時点の集合知研究の動向について紹介。
ref.
集合知への期待は領域を超える。
東『一般意志2.0』、山口『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』
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原発事故発生時のネット書き込み(集合知)の正しさなどの実例あり。そして集合知が正しいための条件が説明されている。
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メモ
ⅠⅡⅢコンピュータ
社会集団の下位レベルにある暗黙知や感性的な深層をすくいあげ、明示化するような機能が、ITに期待される
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クイズミリオネアでは、その問題に対してくわしそうな知人にたずねるのと、オーディエンスにたずねるのとを選ぶことができる。どちらが正解率が高くなるかというと、後者のほうなのだそうだ。少しの計算結果などを示しながら、その理由が語られる。なるほどと思う。「みんなの意見は案外と正しい」のだ。だからと言って、短絡的に、ネットを使ってみんなの意見を聞けば正しい答えが得られる、ということが本書に書かれているわけではない。集合知とはそんな単純なことではなさそうだ。クオリアあたりまではついていっていたと思うが、サイバネティクスからオートポイエシスあたりでは、字面を追うだけでほとんど頭に入らなかった。したがって、著者の意図するところをしっかり汲み取ることはできなかった。それでも、専門知から集合知へ、ネットをうまく活用していけば何らかの新たな解決策が見つかるような予感だけはする。ネット通販などがそうそう盛り上がっていかないというくだりは、人はそう単純な生き物ではないということを思い知らされた。
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前半部分,西垣通にしては分かりやすいと思ったが,やはり途中から難解に.
しかし,おぼろげながら雰囲気は分かったかも知れない.
逆に雰囲気しか分かっていないのかも.
とりあえず「みんなの意見は案外正しい(The Wisdom of Crowds)」というのは読んでみないといけないな.
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基礎情報学の祖、西垣氏の本。内容は、基礎情報学がベースとなっていて、おさらいしつつ集合知を考えていく。文中で紹介されている、平野啓一郎「私とは何か」、西川アサキ「魂と体、脳」に出会えたことが収穫。
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著者の知識量や多岐に渡る考察には感心したが、
脈絡がなく文章として読みづらい部分が多い。
前半部分はタイトルと合致した内容だが、後半は
脱線している印象。
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あとがきの日付が「2012年11月」となっているので、3年と5ヶ月前になる。
この間にITがいかに進歩したかを感じる。
なんといっても今月、AlphaGoがリ・セドル九段を破った事実は、ディープラーニングがITの世界にパラダイム・シフトをもたらした。
本書は、このディープラーニングという閉鎖システムがIT上で実用的になることを前提にしていない。
著者は従来の開放システム(=与えられたプログラムで処理するだけのもの)だけですべてが処理される世界になることを望んでもいないし、予想もしていない。
ディープラーニングによるパターン認識と学習は、主観知の相互作用による合意形成と根本的なところは同じものではないかと思う。
また、タイプIIIと呼んでいるものは、今、IoTと騒がれているもの。
IoTとディープラーニングを活用し各自の主観知から合意を作る世界、すなわち著者が望み予測するものに近い将来が実現に向けて歩み始めたのではないかと思う。
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軽い気持ちで読み始めたらかなり哲学的で大変だった…。集合知どうこうと言うよりも、今後の情報化社会やAIが活躍(?)する社会に不安を感じる人が安心できるような本かもしれない。生命体と機械って何が違うの?ということに対する記述箇所が面白かったと思う。(なるほどと思った)ただ今後、その違いすら埋められていくかもしれないけどね、とも思った。