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目の前にポロックがある、という環境の中でこれを読めるのは幸せ。世界を変える、香港の民権運動デモ、過激になり、一方で学生がついていけなくなりつつあり、という状況。アーティストを目指す張のもとに、ポロックの絵をそっくりそのまま真似てみろとのメッセージが、それは窃盗作品を持ち主の元へ返す謎の窃盗集団アノニムからだった。アノニムは、香港で行われるサザビーズオークションでポロックのNoゼロを奪うこと。オークションには、世界の富豪が参加する。アノニムは、世界の符号の中でゼウスが狙っていることを察知し、計画が立てられていく。台湾、香港、ニューヨークなどカラフルな人物が織りなすドラマを描く作品。ポロックの、情熱とピカソを超えるアクティブアート、魂の叫びをフラットに地面に置かれたキャンパスで描いた作品群。絵の前に立つと感じる激情を、小説では学生運動と重ね、その象徴にしていく。著者のアートへの愛をアノニムのメンバーに重ねた良作。ちょっと軽めのトーンで、アートに造詣が深い人でなくとも読みやすく仕上げている。もうちょっとマニアックに言ってもいいかなと思うけれど、コンテンポラリーは解釈も色々で、自由、つまり非常に難しい。
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初、原田マハ。
登場人物と横文字が多く挫折しそうになることもあった。
だが、あらすじの面白さと是非本棚に飾りたいと思い読了。
読む人によって評価はそれぞれだが、私は最後に良かったと思えた作品でした。
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全体的深みはないが、テンポがよくアニメ的な爽快感がある作品。
作者のアート業界に対する豊富な知識に裏打ちされた、リアルな設定が作品をチープなものにせず、リアリティを感じさせてる。
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アートを悪者から守る窃盗団アノニムと、民主化運動の中の香港の若者の話。
オークションの臨場感はすごくて楽しめた。ただ、アノニムは超エリート集団なはずなのに、プランに納得感が少なく感じた(アートを守るためなのになぜオークション後を狙う必要があったのか、なぜ偽物として香港の少年の絵を掴ませたのか、アートを大切にするなら少年の絵を掴ませるべきではなかったのではないか等)。また、民主化運動で、みんなが参加するから参加するという若者も多いというのも理解できるが、多くの人には関係のないポロックの作品を持ってきて、当日までスピーチのことすら知らない少年にスピーチさせるのには違和感を感じた。アートには人を動かす力があるのかもしれないが、そのような文脈にない民主化運動において、明確な熱意もない若者にスピーチをさせ、関係のないポロックのことを語るのは、熱意ある人々の思いを無視することにはならないか。
これらの違和感を抱いたまま物語が終わってしまった。
原田作品の「アートに関わる人たち」の物語は好きな分、その世界観に入りこめなかった作品。
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オークションがメインの話。あまりアートのすごさが伝わってこなかった。
お金が絡んでくるとあんまり好きじゃないのかな。アノニムはかっこいいけど、別に今回ゼウスは普通にオークションで買おうとしてるだけだからいいのでは...とか思っちゃう。
今までのアノニムのことがもうちょっと語られても良かったのかも。
漫画にしたらもっとどきどきしそう。
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『君には何もない、だからこそ、君にはすべてがある。
君は可能性のかたまりなんだ。
叫べ。叫んでみろ。描け。進め。そして生きろ。
きっと、君の目の前で、世界へのドアが開くはずだ。』
思わず自分を重ねてしまう一節に出会う瞬間のために小説を読んでいる気がする。
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The world is your oyster.
原田マハさん大好きだけど、最後が駆け足で結末が急に物足りなく感じる。
一冊通して面白くて夢中で読むのになぜか読み終わったあと、もどかしいというか、生意気にもあの部分もっと膨らませて欲しかったなとか思ってしまう。
今回は登場人物が多かったので不完全燃焼部分も。
でも、原田マハさん大好きなんですけどね。
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「おれたちには何もない、だからこそ、おれたちにはすべてがある。」
英才のスピーチのシーンで鳥肌がたちました。
私は英才みたいにアーティストではないし、アートに精通してるわけでもなければ、美術館に熱心に足を運ぶようなタイプじゃないし、アートに対する関心は薄い方だけど、この言葉に背中を押してもらえる局面はたくさんあると思う。
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いつもの原田マハとは、ちょっと違った。
ポロック自身の話ではなく、ポロックの作品を取り巻いたお話だった。その分、作者の幻想が膨らんだ。まぁサザビーズの事が少し解ったかもしれないが多くの読者にとっては現実感のないお話しになった。
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国立西洋美術館の帰りに上野駅で購入した。ジャクソン・ポロックを見た後だったのでワクワクしながら読み進めた。
義賊・アノニム。ルパンや鼠小僧など、昔からよくあるテーマで、疾走感もあり、作者らしい芸術的知識も詰まった作品であるが、それでも他の作品ほどの面白さは感じられなかった。
社会的に犯罪(悪)とされている手段を倫理的に正当化して芸術を救うという行為が芸術を愛する人の取る手段なのかということに疑問を抱いてしまい、ずっとモヤモヤが残ってしまった。
(ファンタジーを楽しめない私が悪いのだろうが…)
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盗まれたアート作品を盗み返し、修復後、元ある場所に戻すという謎の窃盗集団がいた。彼らの名は「アノニム」。
もう1人の主人公は、アートを愛する学生、英才。彼の才能を見込んだアノニムのボスは、彼に接触し、ジャクソンポロックの有名な絵「ナンバーゼロ」を描くように誘導する。
そして物語のクライマックスは、とある大事なオークション会場。
アノニムと英才。彼らの行動が導いた、ラストの展開は鮮やか。
前半は、導入部分が長く感じてしまい、正直あまり入っていけなかった。後半からはスピード感があり、楽しめた。
この作品はもう少し短めにして、登場人物も多いので挿絵なども入れてみたら、若い人たちも楽しめるものになるのではないかな?と思った。あと、ナンバーゼロもカラーにして見開き2ページにしたほうが、より胸に突き刺さると思う。
ルパン三世のような、痛快さがある一冊。
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本格アートものではなく、サザビーズのオークションをめぐるエンタメ系、といったところ。
ジャクソン・ポロックを深く掘り下げるというよりは、オークションの裏側とそれに参加する富裕層の実態を垣間見れるといった感じ。
ま、そう割りきって読めば、それなりに楽しめる。まるでよく出来た映画みたいなストーリーは元々マハ氏のお得意だし。荒唐無稽な展開とキャラクター達には「んなわけないだろ!」と何度もツッコミながら、あっという間に楽しく読み終えました。
2020/11
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著者にしてはエンターテインメントに振った感のある1冊。
絵画ビジネスやオークションの雰囲気も味わえ、まだ若者の民主化に対する勢いがあった頃の香港もきれいに切り取られている。
かの地の現状を思うと暗澹となってしまうが。
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原田マハさんが大好きで、ジャクソン・ポロックも好きだから、彼女の他の本で綴っているゴッホのように、ポロックの深い人物像が読めるのかと期待したのに、蓋を開けてみたらオークション中心の話だった。
しかもオークションの様子を語るには内容がとても薄かったし、終始語り口調がこれまでの原田マハらしくない部分が多々見受けられ、つまづきながら読むこととなった。
大好きな印象派から現代アートまでの歴史を簡潔に、分かりやすく綴ってる場面があり、その箇所は楽しく読めたが、正直期待外れだったので、評価は残念ながら⭐︎⭐︎で。
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香港にてサザビーズのオークションを舞台に美術窃盗団「アノニム」が時間をかけてジャクソン・ポロックの絵画作品を盗み出す。まるで映画のオーシャンズ又はキャッツアイ?のような出来事である。しかし、本来の目的は絵画を綺麗にして持ち主に送り返す秘密結社だったのだ!