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webに掲載されたインタビュー記事などを読んで興味を持っていたウスビ・サコさんの著作を図書室で見つけて借り出し。ざっくばらんな語り口で大変読みやすかったです。生まれ故郷のマリでの生活から中国と日本への留学、伴侶との出会いと結婚に子育て、その過程でいろいろ衝突したり理解してもらえなかったりしながらも自分を殺して周りに合わせたりせずに信念をもって努力するうちに相手にもその様子が伝わって和解し良好な関係を築いてきたことなどが、生き生きと明るい調子で綴られています。マリに居た頃から学校ではフランス式の教育制度と価値観の中で過ごし、家に戻ればマリの部族の言葉を話し文化の中で育つという、異なる価値観を行き来するような少年時代だったというのが印象深かったです。後半部分は日本の教育制度や組織の文化、人間関係の在り方について、サコさんから見ておかしいんじゃないの?ということをズバズバと書いてくれてあり、耳が痛いながらも、そうだよねと共感するばかりでした。共感しつつ、ではどうしたら良い部分を失わずに開かれた方へ向かって変わっていけるのかということに思いを馳せながら思考停止になりながらも、やはり内側だけを見ていてはダメで、内側のことは大事にしながらも外へ向かう窓のようなものを開けて、風通しを良くするようにするしかないのでは、と思ったりしました。大変興味深く読了。すぐ読めます。