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「その睨むような視線は、同情や憐憫を、ぴしゃりとはねつけていた。」
こういう風に終わるのか。ありがとう、と思った。
初めはどちらも同じくらい幼かったけれど、菫の強さと、光晴の弱さがどんどん明確になっていって辛かった。母親との不仲を理由にして、いつまでも大人になれない。承認欲求だけが強いそんな姿に共感してしまっていたから。
でも最後にそうやって強い姿を見たことで、なんというか逆に救われた気がする。
強さというのは、自分自身をしっかり見つめられること。
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リベンジポルノの被害から一歩ずつ前進していく1人の女性の話---と一言でおさめてはいけない一冊。自分を辱めた元彼への報復とか過去の自分に負けずに大変身とか、大それたことではなく、自分の裸を取り戻すために本当にちょっとずつ前に進んでいく主人公を繊細に描いたお話。
個人的には、頼りないお父さんが、単身で光晴の元へ向かったシーンは心が痛んでたまらなかった。
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幹夫くんがいいな、と思いました。
文房具のうた、聞きたい。
家族や環境や友達にめぐまれていることは、
ずるいことではない。のだ!
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あり得る話だと思う
人の人生や育ちの環境は
様々であるが、
幼い頃からの家庭の世界は
人格形成に多少なりとも
関わってくるとは感じる
百合が、とてもいいと思った
あんな力になれる人になれると
いいなと思った
自分を見つめて
自信を持って、
生きてゆけたら
とてもいいと思う
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昔、恋人が撮った自分の裸の写真が、偶然ネットで発見。
なぜ、今になって?混乱しながらも、自分と向き合いながら
一歩一歩前に進もうと頑張る物語です。
現在のOL生活と過去の恋人との日々を交互に進行していきます。恋人との出会いシーンでは、「暗渠(埋没してある川のこと)」というブラタモリやタモリ倶楽部などでしか聞けない言葉が、まさかここで登場するとは驚きでした。二人の会話は瑞々しく描かれていて、良い未来を築くかと思いきや、段々と主人公の心の中の不穏な空気が流れていきます。現在のパートでは発覚した後の心の不安定さが、丁寧に描かれていました。「ナイルパーチの女子会」でもそうでしたが、心のぐらつきの描写が上手い印象で、読み手にもぐらつき感が伝わるので、そこは素晴らしいなと思いました。
ネット流出ではありますが、そんなに拡散されず、ぼや程度なので、ネットの恐ろしさを伝えるというよりは、被害者側の心理描写を中心に描かれています。
一人で抱え込まずに勇気を振り絞って行動するのですが、意外とあっさりと家族や友人に相談するので、勇気あるなと感心してしまいました。
全体的には、軽めに恐怖を演出しているので、読みやすいのではないかと思いました。
主人公の勇気ある行動、「自分自身」を取り戻そうとする姿にはエールを送りたいです。
理解ある家族や友人で本当に良かったなと思いました。
ただ最後は、主人公がどう克服していくのかですが、個人的にはこういった発想はありませんでした。目には目を、歯には歯を、裸には裸をということなのでしょうか。
人それぞれですが、何とも・・・というのが正直な感想でした。
裸に限らず、自分の画像がもしかしたら知らず知らずのうちに流用されているかもしれません。
そうなった時、自分だったらどうするか?
色々考えさせられた作品でした。
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菫と光晴が暗渠をたどる道が、通学で京王線を使っていた私には懐かしかった。
しかしどこを読んでるときも気持ちが晴れない話だった。
寝る前に読んで変な夢を見てしまった。
菫のようなタイプ、私も苦手。そばにいるだけで、こちらの立ち位置が下がるような気がする。
「悪気がない」からこそなおさら。
でも人の裸を流出させたひとの「悪気のなさ」とはまるで異質けど。
柚木さん、スカッとするような明るい話を期待してるんですが。
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女性向けかなと思ったけど、しっかり男性側についても書いてあるのがすごいかな
この著者の作品は初めてでしたが、文章がスッと入ってきました。
物語としては帯とか後ろのあらすじだけで十分済むんだけど、登場人物の内面に重きを置いてる感じ
その感じが好きでした
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ストーリーは帯やあらすじに書いてある通りです。
主人公の菫と、元恋人の光晴、友達の百合を中心とした心情の描写が魅力的でした。
とても引き込まれ、考えさせられる物語。
登場人物はとても人間らしい。素敵な部分、読者として好きになれない部分がごちゃまぜになっていて、善人、悪役といった書き方がされていないのが面白かった。恋人や友達だからこそ、憧れて、比べて嫉妬して…。
東京の暗渠がモチーフになっていて、それは人間の暗渠、つまり隠れた闇の部分や無自覚な性質にも通ずるものがある、そんな書き方をされてます。
光晴はそれをあえて武器にしたダークサイド笑で、菫は無自覚で無邪気ゆえな暴力って感じです。
みんな無い物ねだりなのかな、と思ったり。
追記
個人的に一番好きな台詞は、ご飯の栄養のバランスを聞かれた菫のママ、亜希子さんの言葉。
「緑と赤を適当にとっておけばなんとかなるんじゃないかなって」
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学生時代の彼氏に撮らせてしまった裸の写真がネットに出回ってしまった主人公を描く。
2人がつきあうきっかけとなった深夜の散歩から始まり、会社員として働く現在と場面を入れ替えながら話が進んでいく。
男の子と付き合ったことのない主人公か大学で知り合って間もない同級生に恋心を抱いていく過程は切なく未来の出来事を暗示もしていたりする。
ネットで自分の裸の写真が拡散していることの恐怖、気持ち悪さ、そして周りの人間との関係性の変化といった状況がリアルに描かれていた気がする。それでももっとひどい画像や動画が拡散してしまった女性にとってはもっと深刻な状況に陥ってしまうのだろう。
流出してしまったきっかけや犯人を探っていくミステリーではなく、1人の女性が立ち直ろうとする話だった。実際どうなっていくのかはわからないが、前向きで力強い終わり方だったから読んでいるこちらも救われた。
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最後の数ページまで光晴のことが許せなかった。本当に辛い思いをしたのは菫のはずなのになんで自分が怒っていたのだろう。気にしていないふりをしながらもどんどん痩せていく姿を見ていると当事者でもないのに辛かった。それと同時に画像が広がることになってしまった原因もわからない気はしない。写真や人の身体には物語があるけれどそれを見る人にとっては前後の話なんてわからずに見てしまうのは自分にもあるなと感じる。表紙からは想像しづらい重さかもしれない。
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リベンジポルノの話。光晴が本当にクソだとおもった。あと同僚の坂咲さん、相談してって言っといていざ相談されてその回答は酷すぎる、、
親友の百合と、菫の家族が素敵すぎたから、辛い状況でも菫は立ち直れたんだなあと。打ちのめされるほど辛いことがあった時、助けてもらえる人が周りにいるのはとても幸せなことなのだと思った。
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澄んでいながら濁ってる。
濁りながら澄んでいる。
本当に苦しいときは閉じこもれない。
他人の行動を誰もジャッジする権利なんてない。
ジャッジしていいのはその本人だけ。
全ての人が、この混濁した世界を生きる戦士。
その人のことはその人にしかわからない、
そんな当たり前のことを思い出させてくれる本です。
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主人公が精神的ショックを受けてから立ち直っていくまでの心情がとてもリアルに描かれていた。自分も何かショックを受けることがこの先の人生であったとしても、時間がかかったとしても、心の持ち方次第で立ち直ることができるのだろうという希望も持てた。
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途中まで、読むのが辛かった。人の些細な悪意の書き方がリアルで丁寧。この作者さんの本を読むのは初めてで、もしかしてこのまま、救いが一切無いままに終わってしまうのかと怖かった。
救いが与えられた訳ではなく、「天は自ら助くる者を助く」と言った感じで、最終的に爽やかに読み切れた。読んでよかった。
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別れた彼氏に裸の写真をネットに流された菫が、その写真を削除しながら立ち直っていく話。
これは出だしから菫の気持ちを思うと辛かった。。。
自分の裸を世界中の人が見ている、今すれ違った男性も私の裸を見たかも、って思ってしまう菫が可哀想で可哀想で元カレに怒りが沸き上がります。そんなボロボロの菫をさらに会社の同僚が傷つける。家族が写真の流出を知ったら家族が悲しむだろうと思って傷つく。脱け殻のようになっていく菫を抱きしめてあげたかった。
幸い、友達と家族が菫に寄り添い問題を解決していくのだけど傷ついた心はなくなったわけではない。これは本当に女性が負うリスクが大きすぎる。自衛するしかないのだろうけど、男がクソすぎる。写真を人に見せると女性がどんな気持ちになるかの創造力が決定的にかけている。
最後は少しだけ希望が見えて終わったけど最後まで苦しかった。