電子書籍
もう新作が読めない
2023/01/20 23:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:リオボカ - この投稿者のレビュー一覧を見る
情景描写が秀逸でこのような厳しい冬山登山の経験はなくても寒さや痛みを感じ、映像が目に浮かぶ。作者の笹本稜平氏は亡くなられたのでもうこのような山岳冒険小説が読めないのが残念です。
投稿元:
レビューを見る
「ソロ」シリーズ完結。マカルー西壁冬季ソロ登攀に挑む奈良原和志。恩師磯村や友梨、スポンサーシップの山際らに支えられるが、今回もマルクの妨害が。ネパール政府観光局への圧力や同時期の極地法での大量パーティーの送り込み。しかし、さんなマルクに反旗を翻したアリエフや西稜からのアランたちと競いながら頂に立つ。アルピニズムの矜持を貫く和志に感激する。困難なクライミング場面にも力が入ったが、磯村と和志との衛星電話の会話の一つ一つにジーンときた。そして、磯村の思いは和志と友梨のことだった。夢に出た鎮魂登攀も感動した。
投稿元:
レビューを見る
酷暑の夏に読んでもマカルーの極寒猛吹雪の中にいると錯覚するほどの、圧倒的な情景描写。孤独の局地にいる一人称で語られながらも仲間たちの情熱が伝わってくる心理描写も凄い。
投稿元:
レビューを見る
高所もジェットコースターも苦手な自分だけど、崇高で荒々しい山々、そしてその難関に挑戦する熱い絆で結ばれた仲間たちには共感。魂の師への想いとともに難関に挑戦するソロクライマー奈良原の奮闘は妨害工作をする卑怯なマルクの存在も目が離せない!
投稿元:
レビューを見る
2021.1 シリーズ制覇!最終巻とのことだが相変わらず悪者との直接対決はないし、ストーリー性もあまりない。
でも畳み掛ける登攀シーンは臨場感もあり、グイグイいきます。
さすがです。笹本さんの山岳小説は好き。
投稿元:
レビューを見る
読書備忘録792号。
★★★★。
シリーズもの!順番を間違えたシリーズ第2弾!
こいつも実は読む順番を間違えた作品なんです。
作品の順番はこれが正解。
①ソロ(Facebook備忘録504号)
②K2復活のソロ(Facebook備忘録498号)
③そしてこいつ(備忘録792号)
備忘録番号が愚かの極み。
シリーズ通して、作者がアルピニズムに対する思いを物語にぶつけているという表現が一番適切かと思います。
ヒマラヤには8000m越えのピークが14峰ある。
8000mを超える高地は人間が生存できる領域ではない。長時間滞在すれば肺水腫などで死に至る。これは高度に強い弱い関係なく、人類であれば必ず死に至る。よって、デスゾーンと呼ばれる。
人類は、1900年代の初め、酸素ボンベを背負いエベレストなどを登頂した。
そしてそれに飽き足らないアルピニストは無酸素での登頂を始めた。
さらにそれに飽き足らないアルピニストは、より難しい条件、厳冬期であったり、ルート(北壁とか西壁とか呼ぶ)だったりを自ら課して登攀した。
登り方は大きく3種類。
極地法:大量のシェルパなどを使い、ベースキャンプ、第一キャンプ、第二キャンプ・・・、という具合に物資を担ぎ上げ、最後はエースクライマー数人が山頂に立つという方法。めちゃくちゃお金がかかり、期間も長くなり、最近では商業ツアーとかで使われている。
アルパインスタイル:数名でベースキャンプから一気に登る。例えば2名の場合、片方が転落を防ぐ為のアンカーを打ち安全を確保したうえで、片方が登る。次は交代して、登った側が転落防止の上、片方が確保していたアンカーを抜きながら登っていく。少人数なので、物資は最低限。一気に登り一気に降りてくる。
ソロスタイル:文字のごとく1人で登る。最も早い。しかし安全を確保してくれるバディはいないので、両手両足だけで壁にへばり付く。この物語の主人公の登り方。山では天候の急変などで雪崩、落石などが起き、それで命を落とす。ソロは時間が掛からない分そのリスクが無くなる。その代わり落ちたら終わり。
前置きはこれくらいにして。
もともと孤高のソロクライマー奈良原和志。人付き合いも苦手。それが、山登りの師匠であり恩師の磯村から誘われて、ノースリッジというメーカーのスポンサーシップを受けて前人未到の未踏破ルートをソロで登ってきた。
そして、この作品。まだ人類があらゆる方法をもっても踏破されていないマカルー(8463m)西壁にソロで挑む物語。
マカルー性癖、もとい西壁は「21世紀の課題」と呼ばれているくらい現実世界ではまだ登られていない。
物語の構成は笹本さんテッパン。
①主人公がいろいろ悩みながらチャレンジを決意する。
②本番までの世界各地でのトレーニング。
③笹本さんの山に対する思いが登場人物の口を借りて繰り返し繰り返し語られる。
④勧善懲悪ストーリー。このシリーズでは主人公に恨みを持つ欧州の御曹司マルク・ブラン。あの手この手で邪魔をするが結局は正義に負ける。
⑤そして達成する。笑
400p中、①②③④で300p。これはある意味どうでも良い。笑
最後100pの⑤。氷点下30度以下の世界で高度障害が出るデスゾーンでの1cmずつ身体を持ち上げていく、手足が凍傷になるような錯覚を覚える描写が全て。
間違っても手に汗握らない。
5000mのベースキャンプから山頂の8400mまで、ほぼ垂直の壁。デスゾーンで90度傾斜を超える120度オーバーハングを命綱無しで這い上がり、ぶら下がった状態で休憩する世界を想像せよ!笑
ミックスクライミング、ダブルアックスなど、専門用語は飛び交うがネットでちょいちょいと調べながら読めば一目瞭然。
さらにトレーニング地も含めてネットで調べるととんでもない世界が見れる!
満喫しました。笑