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もともと、たそがれやうつつかという世界観をのびのび描かれる方なのだが、今作は吉原、伊勢物語の頃、と織りなすように練った生地をまた伸ばしてねじって。。。その浮遊感も心地よかった。
平行して「江戸吉原図聚」を読んだ。
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題名『三度目の恋』から、昨今の著者の、また性愛ものかなぁ…と、そのジャンルが苦手だから少し面倒な気持ちで手に取ったが、違った。
現代から江戸、平安時代を行き来する。
川上弘美らしい、境目のはっきりしない感じそのままに、行き来する人格はそのままの人格のままではなく、やんわりとぼやかされている。
同じモチーフが繰り返し出てくることで、現代なのか過去なのか、そのまたもっと昔なのかわからなくなり、わからなくてもいいんだという気になる。
人格はぼやけても、それぞれの時代に必死に生きた姿は鮮やかに描かれる。
現代なんかよりよほど毎日を懸命に生きている。(寿命、自然環境、衣食住、どれをとっても今より厳しいはずだ。なのに。)
著者が伊勢物語を現代語訳したことでこの小説は生まれたとのこと。
伊勢物語も在原業平も古典で習ったなぁ。忘れたなぁ。どんな話なんだっけ??
最大の疑問。
主人公梨子のパートナー、ナーちゃん、そんなにいい男かぁ?めんどくせぇわ。
というか、この主人公は実際にいそうな、とても嫌いなタイプ。
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ふわふわとした、やさしい文体だけれど、時々どきりとするような表現がある。
女性、という性に深く降りて行くようでもあるし、ある意味ドライなリアルを追求したようでもあり、いろいろな捉え方のできる小説だなあと思う。
個人的にはこの方の書く、少し古風な擬音の表現が好き。
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川上弘美さん、なんというか「伊勢物語」がお好きなのですね。でも、この話って、うまくいっているのでしょうかね。なんだか、ポカーンとさせられました。
ブログに「悪口(?)」書いています。よければどうぞ!
https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202110310000/
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伊勢物語をコンセプトに書かれた恋愛小説との事で、知らずに読んだ素養の無い男としては非常に辛い読書となりました。
平安の時代と現代を夢の中で行き来するのですが、どうにも関心持てなくて、読んでごめんなさいという気持ちになりました。
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伊勢物語をコンセプトにして書かれた小説。
川上さんはとても勉強されていると思った。
伊勢物語の世界観、そして江戸時代吉原遊郭を舞台とした物語、それと現在における子育てと夫婦のあり方。
それぞれにおいて手抜かりがない。身体と心がその舞台に応じて遷ろうさまはまるでパラレルワールドのようで。
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三度目とは何か、一二度目は思ってるそれか、思いを巡らせながら読む。着地はそこへくるのか。答えは梨子の本質に迫る。それは私への課題でもあった。
川上弘美さんに導かれ、古典の手解きを受け、私までいにしへへ長い夢の旅をしたようだった。
現代に生きる梨子。梨子は夢の中で、江戸時代吉原の花魁、春月とし、さらに平安時代、お屋敷の姫さんの女房(侍女)として追体験をする。
江戸の武士社会、平安の貴族、それぞれ異なる文化背景や男女の情愛に触れながら、梨子は夫ナーちゃんとの関係を見つめ直し、自分自身を突き詰め考えていく。そこには高丘の存在が。風来坊のような高丘も謎で、わからない人だったなあ。
特に、平安時代の境界線のない男女の情が艶治で頭がくらくらしそうだった。この時代の、男女関係の動き感情は、動物の群れのようでもあり、欲望に忠実、それが自然なことであったと知った。
華やかに生きた中にも情が深く、男女にかかわらずその情をそそいでいた業平という人物。夫業平を支えた姫さんがいじらしいほどかわいい。そして姫さんの言葉は清らかで美しく、一言聞くたび心が洗われそうだった。書斎派の姫さんと呼ばれるほど学がありそこが魅力的だった。
正直言って、梨子が言うほど、ナーちゃんの魅力はわからない。けれど、人間は矛盾に満ちた生き物、その人(夫婦)のことは当人(同士)でなければわからない。
文中のセリフのように、「君が語った今の物語は、君の物語なんでしょう」
これからも日々は続く。
ラスト一頁は川上弘美さんが現れ、話されているように感じ、ずしっと響いた。
愛しい、と書いて、かなしいと読む。私たちの愛するとは少し違うその時代のニュアンス。これもとても勉強になった。読み切って良かった。
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愛(あい)する
愛(かな)しむ
人をいとおしくおもうことって
かなしい時もあるよね。
伊勢物語読んでみようと思います。
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恋人じゃなくても、寒いひとがいたら、あたためあうのが人情なんじゃない?
愛の夢や恋の夢と現の間をゆらゆらと漂うようなひとりの女の人の物語
多分ちゃんと構成を理解したり、元になった本を読んで理解するような読み方をすることも可能だろうけど、
主人公の夢のようにぼんやりと時々鮮やかに気分良く読んだ
その時々で、印象に残るところが変わるだろうと思う
良い物語でした
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視点?人物?が揺蕩う。
少し不思議な物語。
気持ちの移ろいがわかるようなわからないような
2022.3.26
47
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伊勢物語がモチーフ。梨子の幼いときからの憧れ、後に夫となる「ナーちゃん」は、誰もを惹きつけてしまう在原業平を思わせる男性。だから、つねに他の女性の影があって…。
この設定で川上弘美、というだけで、読みたい!と思った。何気ないセリフや常軌を逸した行動、フラフラととらえどころがない、でも憎めない登場人物にこれまで何度も魅了されてきたから。
が、読み終えてちょっと想像と違った。作者が最初に意図していたものと、途中から違っていっちゃったんじゃないかとさえ思った。
まず、ナーちゃんにあんまり魅力を感じない。彼に何人もの女性が寄ってくるが、どこか説明的。
途中から、梨子と高丘さんの交流、梨子が「夢」で経験する吉原のおいらんや業平の妻である姫さんに仕える女房としての視点がメインになってくる。
平安時代の結婚の仕組みや梨子の目からみた女性の地位や子育てのシステムなどの現代との比較などが延々と解説され、それがテーマだったの?と少し混乱した。
でも遠い昔も現代も、人間の恋愛感情に大きな違いはない。業平と二条の后との悲恋をナーちゃんと副社長の婚約者との恋に置き換えたり、逆に吉原編では、梨子が男と逃げる立場になったり。
夫に浮気されて怒り嘆くだけでなく、別の視点に立つことで(=いろんな経験を生きることで)、気持ちが平静になっていくのが、高丘さんのいう「魔法」なのか。そう思うとなかなか深い話にも思えてくる。
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伊勢物語をベースに男女の性愛の形が、吉原の遊女春月、業平の妻となる紀有常の長女の女房として現れる主人公梨子の夢を通して描かれた物語。自転車で旅をする高丘は、春月と逃げる高田、父の平城天皇の思い人である薬子に横恋慕する高岳親王として時空を超えて梨子の前に出現し梨子の夢の謎を解き更なる夢に導く。夢が意識の補償作用であるなら、夫のナーちゃんに対する不安の補償として高丘への依存を夢に描かせたのだろうか。
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久しぶりにグッと惹き込まれた小説。こんなふうに魅了される本に出会える機会は少ないし、何年ぶりのことだったから大学の図書館で借りて1日1回は読む時間をつくった。はじめは幼い主人公が熱心にナーちゃんに恋をしている様子がとても胸熱で、ナーちゃんも主人公を女性として見るまでの流れがとてもナチュラルで普通にキュンキュンしたり、心に残る文章に感銘したりしていた。でも、読み進めていくと江戸時代、平安時代へと飛び越え、その時代の人の立場や仕事や風景の細かい描写がとてもリアルで、めっちゃ調べて勉強してこの作品を書いたんだろうなぁ!と作家さんの凄さを感じた。〜なのです口調の文末のお話も久々に読んだから新鮮で、古風さを増しましにしてた。まだ読み途中だから後半も楽しみ。
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ちょっと浮世離れした感じの主人公の女性、梨子が、初恋の「なーちゃん」と結婚して、なーちゃんの浮気(?)にモヤモヤしながらも、夢の世界で恋をする物語。夢の一つは江戸時代で、自分は貧しい小作農の家に生まれ、身売りされて遊郭へ行き、そこでお侍と恋をする。もう一つは平安時代で、「姫さん」の「女房(女中のようなもの)」として過ごしており、そこでも恋をする。
どちらの夢でも恋の相手は、現実の世界でなーちゃんとは別に昔から慕っている年上の男性で、夢と現実が混じりあいながら進んでいく。あり得ないような設定ではあるが、けっこうドキドキしながら読めた。
最後までふわふわと、現実感のない小説のまま終わるのかと思いきや、最後の方で梨子が夢の世界から抜け出し、現実に一人の女性として自立していこうとするところが、意外性もあって良かった。
輪廻転生みたいなものは信じないけど、私たち人間は脈々と、歴史を紡ぎながら生きているのだから、祖先と言うか、昔の人の意識のかけらみたいなものが遺伝子に組み込まれていてもおかしくないし、どこか意識の片隅で、祖先が体験したものごとに影響を受けているかもしれない…なんて思った。
あとがきによると、伊勢物語をモチーフに小説を書く、というテーマだそうで、私は伊勢物語には詳しくないのだけど、江戸時代や平安時代の女性目線でのストーリーは面白かった。古典が好きな人ならもっと楽しめるのかも。
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久しぶりの星5つ。
モテ男ナーちゃんと結婚して、浮気されても、自分のことも大事にしてくれるから幸せ、とか言ってる時点で、全く梨子に共感できなかったんですが…。気がつくと、なんともいえない不思議な世界観になり、もの凄く引き込まれました。
幼かった梨子が、最後にはもののあわれのわかる、女の人になっているのが、なかなか良かったです。
愛しい、と書いて『かなしい』と読む。
伊勢物語を読まねば!と思いました。