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川上弘美さん、やっぱり好きだなぁ〜。
すらすら一気に読み終わってしまった。なんて品の良い文章を書くのでしょう。
この本を読了後、本谷さんの「生きてるだけで、愛。」を読み返してたら、言葉選びが違いすぎて笑った(笑)本谷さんの方がしっくりくるけどね、川上弘美さんの文章は憧れる。
三度目の恋だなんて、なんだかパッとしない題名だなぁなんて思ったけれど、最近結婚だの恋愛だのを意識するお年頃になったせいか、梨子の結婚観だったり育児観だったり、あらゆるエッセンスを含めて、あるときはそうゆうものなのかぁと半ば納得し、あるときはそれは古すぎるのでは?と拒絶したくもなり、あるときはよくぞ言語化してくれたと心から共感を覚えたり、忙しく感性を揺さぶられる作品でした。
あらゆる時代の定めがあって、定めなのだからと人々は半ば諦めて生きてゆく。それは、型に嵌め込まれた個人の自由意志など存在しない文化・しきたりとしての定めも、型などもはや存在せず自己の思うがままに全てが成せるその自由が故の定めも含まれていて。どの時代でも人生なんてままならぬもので、こと男女なんてものはいつの時代でも恋愛の前提・価値観が大きく変われどもやっぱりままならぬもので、答えなんてきっと人類が何億年と営みを続けたとて出ないんだろうなっていう諦念がふつふつと湧いてくる。自由に恋愛できない春月のような境遇を不憫に思う一方で、定めと割り切れるその型の中の小さな自由に憧れたりもして、心に決めた人に人生を預けきれない覚悟のなさとか、この時代の幸せとされる人生を送るために偽ろうとする気持ちがゼロではなかったり、ありとあらゆる矛盾をひっくるめて私で、いずれは矛盾を抱えたまま人の親になってゆく私なのだなぁと、梨子と自分を重ね合わせながら、思ったりもしました。
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「愛する」ことと「愛しい(かなしい)」こと、その違いを感じることのできる物語だった。
一人の女性の人生をずっと追いかける形式だったということもあり、読者が彼女の友人になったかのような気持ちになって読めた気がする。
川上弘美が現代語訳を行なったという、日本文学全集の伊勢物語も読みたくなった。
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その昔、『不倫は文化だ』と口にして
総叩きにあった俳優さんがいたけれど
不倫なんて当たり前の時代だってあったのだ。
女性を買うこと、子どもを売ることもお咎めなしで
人々は今よりずっと欲望に忠実に生きていたらしい。
伊勢物語をモチーフにしたというこの小説。
平安時代の貴族も、吉原の花魁も、現代の若奥さんも
みんなみんな恋愛に悩んでいる。
この先社会の常識や結婚のルールがどんなに変わったって、人はずっと恋をして、悩むことを止められないんだろうな。
恋って一体なんなんだ?!
益々わからなくなったぞ。
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もともと、たそがれやうつつかという世界観をのびのび描かれる方なのだが、今作は吉原、伊勢物語の頃、と織りなすように練った生地をまた伸ばしてねじって。。。その浮遊感も心地よかった。
平行して「江戸吉原図聚」を読んだ。
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題名『三度目の恋』から、昨今の著者の、また性愛ものかなぁ…と、そのジャンルが苦手だから少し面倒な気持ちで手に取ったが、違った。
現代から江戸、平安時代を行き来する。
川上弘美らしい、境目のはっきりしない感じそのままに、行き来する人格はそのままの人格のままではなく、やんわりとぼやかされている。
同じモチーフが繰り返し出てくることで、現代なのか過去なのか、そのまたもっと昔なのかわからなくなり、わからなくてもいいんだという気になる。
人格はぼやけても、それぞれの時代に必死に生きた姿は鮮やかに描かれる。
現代なんかよりよほど毎日を懸命に生きている。(寿命、自然環境、衣食住、どれをとっても今より厳しいはずだ。なのに。)
著者が伊勢物語を現代語訳したことでこの小説は生まれたとのこと。
伊勢物語も在原業平も古典で習ったなぁ。忘れたなぁ。どんな話なんだっけ??
最大の疑問。
主人公梨子のパートナー、ナーちゃん、そんなにいい男かぁ?めんどくせぇわ。
というか、この主人公は実際にいそうな、とても嫌いなタイプ。
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ふわふわとした、やさしい文体だけれど、時々どきりとするような表現がある。
女性、という性に深く降りて行くようでもあるし、ある意味ドライなリアルを追求したようでもあり、いろいろな捉え方のできる小説だなあと思う。
個人的にはこの方の書く、少し古風な擬音の表現が好き。
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川上弘美さん、なんというか「伊勢物語」がお好きなのですね。でも、この話って、うまくいっているのでしょうかね。なんだか、ポカーンとさせられました。
ブログに「悪口(?)」書いています。よければどうぞ!
https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202110310000/
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伊勢物語をコンセプトに書かれた恋愛小説との事で、知らずに読んだ素養の無い男としては非常に辛い読書となりました。
平安の時代と現代を夢の中で行き来するのですが、どうにも関心持てなくて、読んでごめんなさいという気持ちになりました。
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伊勢物語をコンセプトにして書かれた小説。
川上さんはとても勉強されていると思った。
伊勢物語の世界観、そして江戸時代吉原遊郭を舞台とした物語、それと現在における子育てと夫婦のあり方。
それぞれにおいて手抜かりがない。身体と心がその舞台に応じて遷ろうさまはまるでパラレルワールドのようで。
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三度目とは何か、一二度目は思ってるそれか、思いを巡らせながら読む。着地はそこへくるのか。答えは梨子の本質に迫る。それは私への課題でもあった。
川上弘美さんに導かれ、古典の手解きを受け、私までいにしへへ長い夢の旅をしたようだった。
現代に生きる梨子。梨子は夢の中で、江戸時代吉原の花魁、春月とし、さらに平安時代、お屋敷の姫さんの女房(侍女)として追体験をする。
江戸の武士社会、平安の貴族、それぞれ異なる文化背景や男女の情愛に触れながら、梨子は夫ナーちゃんとの関係を見つめ直し、自分自身を突き詰め考えていく。そこには高丘の存在が。風来坊のような高丘も謎で、わからない人だったなあ。
特に、平安時代の境界線のない男女の情が艶治で頭がくらくらしそうだった。この時代の、男女関係の動き感情は、動物の群れのようでもあり、欲望に忠実、それが自然なことであったと知った。
華やかに生きた中にも情が深く、男女にかかわらずその情をそそいでいた業平という人物。夫業平を支えた姫さんがいじらしいほどかわいい。そして姫さんの言葉は清らかで美しく、一言聞くたび心が洗われそうだった。書斎派の姫さんと呼ばれるほど学がありそこが魅力的だった。
正直言って、梨子が言うほど、ナーちゃんの魅力はわからない。けれど、人間は矛盾に満ちた生き物、その人(夫婦)のことは当人(同士)でなければわからない。
文中のセリフのように、「君が語った今の物語は、君の物語なんでしょう」
これからも日々は続く。
ラスト一頁は川上弘美さんが現れ、話されているように感じ、ずしっと響いた。
愛しい、と書いて、かなしいと読む。私たちの愛するとは少し違うその時代のニュアンス。これもとても勉強になった。読み切って良かった。
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愛(あい)する
愛(かな)しむ
人をいとおしくおもうことって
かなしい時もあるよね。
伊勢物語読んでみようと思います。
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恋人じゃなくても、寒いひとがいたら、あたためあうのが人情なんじゃない?
愛の夢や恋の夢と現の間をゆらゆらと漂うようなひとりの女の人の物語
多分ちゃんと構成を理解したり、元になった本を読んで理解するような読み方をすることも可能だろうけど、
主人公の夢のようにぼんやりと時々鮮やかに気分良く読んだ
その時々で、印象に残るところが変わるだろうと思う
良い物語でした
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視点?人物?が揺蕩う。
少し不思議な物語。
気持ちの移ろいがわかるようなわからないような
2022.3.26
47
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伊勢物語がモチーフ。梨子の幼いときからの憧れ、後に夫となる「ナーちゃん」は、誰もを惹きつけてしまう在原業平を思わせる男性。だから、つねに他の女性の影があって…。
この設定で川上弘美、というだけで、読みたい!と思った。何気ないセリフや常軌を逸した行動、フラフラととらえどころがない、でも憎めない登場人物にこれまで何度も魅了されてきたから。
が、読み終えてちょっと想像と違った。作者が最初に意図していたものと、途中から違っていっちゃったんじゃないかとさえ思った。
まず、ナーちゃんにあんまり魅力を感じない。彼に何人もの女性が寄ってくるが、どこか説明的。
途中から、梨子と高丘さんの交流、梨子が「夢」で経験する吉原のおいらんや業平の妻である姫さんに仕える女房としての視点がメインになってくる。
平安時代の結婚の仕組みや梨子の目からみた女性の地位や子育てのシステムなどの現代との比較などが延々と解説され、それがテーマだったの?と少し混乱した。
でも遠い昔も現代も、人間の恋愛感情に大きな違いはない。業平と二条の后との悲恋をナーちゃんと副社長の婚約者との恋に置き換えたり、逆に吉原編では、梨子が男と逃げる立場になったり。
夫に浮気されて怒り嘆くだけでなく、別の視点に立つことで(=いろんな経験を生きることで)、気持ちが平静になっていくのが、高丘さんのいう「魔法」なのか。そう思うとなかなか深い話にも思えてくる。
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伊勢物語をベースに男女の性愛の形が、吉原の遊女春月、業平の妻となる紀有常の長女の女房として現れる主人公梨子の夢を通して描かれた物語。自転車で旅をする高丘は、春月と逃げる高田、父の平城天皇の思い人である薬子に横恋慕する高岳親王として時空を超えて梨子の前に出現し梨子の夢の謎を解き更なる夢に導く。夢が意識の補償作用であるなら、夫のナーちゃんに対する不安の補償として高丘への依存を夢に描かせたのだろうか。