難しいです。自分なりの結論を。
2020/11/29 22:28
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:てつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
正直、何を伝えたいのだろうと思う一方で、人それぞれが違う結論を出せる素敵な本とも言える。伊勢物語が執筆構成の中心にあるからしょうがないけど、時代の行き来がすごく難しい。ただ、この本の不思議なところは、それでも止まることなく読めちゃうところ。家で穏やかなときに読むといいかな。
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すごい、、読んだことないような御伽噺みたい。古典とファンタジーと現代小説の融合というか、なんだろ、すごいスペシャルな一冊。なかなか物語がすすまなくて、たくさん読んでるのに、物語のスピードと現実とのタイムラグがある感じ。すごくすごく不思議な物語で、伊勢物語をきちんと読みたくなった。川上弘美さんすごいなーやっぱり大好きって思った一冊。
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雑誌の連載で読了。川上さんの紡ぐ物語は不思議な話も多いですが、こちらの恋の「三度」の内容も中々に不思議。しかし興味深い。壮大。
川上さんの真骨頂ともいうべき作風。このように数千年経っても縁を感じられる関係性や関わりってまず感じないですよねー。年不相応に憧れたりはしますが(笑)そこが小説の楽しみですね。
読む人の好みがばっちりと別れそうなテイスト&ストーリーではあります。
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しあわせな読書タイムでした。
久しぶりの川上弘美さん。
ほわほわと、漂いながら
一緒に恋をしました。
表紙の青がすき。
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僕には全く合わず。
『センセイの鞄』は面白かったがこんな感じの展開が続くと思うと読む気が失せる。
途中で断念。(これを機に合わない本は無理して最後まで読むのを止めようと決めた)
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読んでいる最中も、まるで主人公と共に何百年前を旅しているような本でした。千年前の生活や心持ちをよくここまで書き上げたものだと、驚きとても楽しませてもらいました。そうですね、千年経って、今の男女が果たして幸せなのかどうか…考えさせられました。平安時代の生活や恋愛事情、まるで伊勢物語を現代訳で読んだような深さがありました(これが筆者の狙いだったのかもしれないですが)。さすが!と言わざるを得ません。なかなかに出会えない本だと思いました。素晴らしい!
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夢の中で時空を越える。本当はどの時代が現実なのか…それぞれの時代のその後もちょっと気になる。
伊勢物語ね
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綴られる言葉一つ一つが美しく、久々に美しい日本語に触れました。 「愛しい(かなしい)」 私は、これまでにそのように思えたことがあるでしょうか? 愛している、好き、愛おしい・・・そのようなどれとも違う感情。 川上さんの美しい言葉の世界に漂いながら、私も、彼らとともに、長い長い旅をしてきたような想いです。 素晴らしい読書体験でした。
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平安の世の恋は、「男が、また女が、複数の相手とまじわりをもつこつとが禁忌とかされていない世」「平安の女も男も純粋に恋のかけひきを愉しむことができました。よき男ぎみを得たい。よき女ぎみを得たい。」平安の世の人々の共通認識は、おおらかな意識が広がっていたのかなと思いました。
主人公の梨子さんが現在、江戸、平安の世を行き来することでの心の変化。それを読みその時代を知ることが出来ました。
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贅沢な小説だった。一冊の中に3つの物語が入って構成されているんだもの。
ひとつは老若男女、誰からにもすかれるナーちゃんを好きで好きでたまらない梨子の結婚するまで、してからの物語。
2つめは江戸時代の口減らしのため吉原の花魁となった春月と高田と駆け落ちする物語。
3つめは平安時代、貴族の姫君に仕える女房の目を通して、
姫と主君の業平と高丘さんと高田さんと同一人物であろう真如の高岳親王の物語。
梨子の夢の話しとして紡ぎ出される江戸と平安時代の話しにも夢中になって読んだ。
伊勢物語も読んでみたくなったほど(多分読まないけど)
梨子が小学生の時に出会った用務員の高丘さんが夢のすべてに登場して、現実との梨子とも遭遇する。
あーこんな魔法が使えたらどんなに素敵だろう。
夢の中で(夢といってもそれは現(うつつ)かもしれず)
過去に遡ってひとりの女性として生活しているなんて!
最後の章でナーちゃん、高丘さん、そして今度は三番めの恋をするだろうと、それは人間ではないかもしれない。
生き物でなくてもいいとさえ。
それがぼうっとともった春の灯のようであってくれればいい。
梨子は春月、女房を経てこのような境地に達したんだろうな。
この小説を読むと平安時代の(宮中の)女性たちの性の奔放なこと。
さまざまな男性と情を交わし、特に後ろ指さされることもなく自由闊達に生きてた感じ。
まっ、外出もままならず、髪も服も重そうでもちろんシャワーなんてないし、宮中の奥の間で生活する窮屈さはあったろうけどね。
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昔の章まではわーすごいなぁ、ってわくわくしながら読んでいたが、次の章になるとなんだか興味が失せてきました。でもよくできたお話だと思う。夢の中でもうひとりの人生を経験出来るってすごくない!
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平安、いいかも。
現代の窮屈さを考えると
羨ましい~。はぁ。
物の豊かさはないかもしれないが
心の豊かさはあるんだろうな~。
高丘と梨子の関係性は
永遠に続くのだろう。きっと。
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『そう、物語。ほんとうの世界は、ただの断片からなっているだけで、見渡すことなどなかなかできないはずなのに、ぼくたちはみんな、その断片をつなぎあわせて、自分のためのお話をいつも作りあげているんじゃないかな』―『昔の章』
どこかで読んだ記憶。川上弘美は新しい言葉に出会うとそれを手帳に書き写すそう。理由は書かれていなかったかも知れないが、こんなことを想像する。たとえそれが日本語の言葉であっても、見知って間もない時にその言葉を使おうとすると、英単語をカタカナに読み下しただけの言葉と同じように感情のこもらない言葉となってしまう。手帳の中で熟成させ自らのものとなったと思える時にそっとさりげなく使ってみる。そんな古風な響きのする言葉によって思考に句読点が打たれる。そういう言葉たちが積もりつもってあの独特の文体に至る。そんな風に考えてみたりする。
「三度目の恋」にはそんな風に写し取られたであろう言葉が其処彼処にこれでもかと出現する。生真面目な、学んだ通りの意味合いをたがわぬように置かれた言葉。川上弘美節とでも言いたくなるようなたおやかさとは少し異なって。そのことが災いしてか、読みながら少しざわついた心持ちとなる。翻訳ものではない単行本としては珍しい著者自らのあとがきで、その小さな違和感の元が何であるのかは大方説明がつくのではあるけれど。この本は小説というよりは川上弘美の思考実験。
江戸時代の花魁、平安の世の女房の心。そんなものが現代人として沁みついている価値観を離れて理解できるのか。この本では、小説の体裁を借りながら、その異なる時代の価値観の隔たりを、どこか道徳の教本を思い起こさせる理屈で解こうとする試みのようにも読める。理解の手掛かりとするのは女であるという共通性。女としての情愛の感じ方。それだけに、決して数学や物理のように誰しも同じ結論に辿り着くとは限らないと判りつつ、三段論法的に理解の歩を進める様子が道徳の教本で見かける口調を思い起こさせる。とはいえ、理解の中身は現代人としての倫理観に拘泥することはない。男女の間柄を互いを活かし活かされる構図と捉えることへ徐々に向かう主人公の思考。にも拘らず深く残る男と女の彼我の差。
余りに異なる価値観を認めつつ、現代人として理解できる形に何とか丸め込もうとする主人公と作家の立ち位置はほぼ同じところにあるようにすら思える。あるいは、主人公である現代人の主婦に作家の秘めた心持ちを強制している、と言ってみてもよいのか。これまで余り川上弘美の小説でそんな風に思ったことはないけれど、この小説では余りにも理屈っぽく主人公が情愛について捉えている様を読みつつ、作家が言いたいことが透けて見えてくるような感覚にとりつかれる。もちろんそんな風に読むものではないと思いつつ、主人公が熱く語る情愛や子育て、主婦としての矜持などを読むと、ついつい作家の来し方を重ねてしまう誘惑がそこには、ある。
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たゆたうように流れていく文章と、それにまつわる感情。まるで境目を感じない、現代とむかしとむかしむかし。当たり前のように自然と異世界を取り込む川上さんの手法は何度か読んできたけれど、この時空を超えた物語には今までで一番惹き付けられた。現代の梨子と高丘。江戸の吉原、春月と高田。平安の世の女房と真如。時代が変われば繋がり方もまた変わり、しかし真に繋がっている者たちは何処かで必ず出会うことができる。大人なファンタジーとしてひどく憧れてしまう物語だった。そして、江戸の吉原にしても、平安の生活にしても、まるで見てきたような時代考証や言葉遣いでさらっと表現している川上さんの凄さを体感できる素晴らしい作品であった。
ナーちゃんにも業平にもならなくていいけれど、誰かにとっての高丘さんにはなってみたいな、と思った。
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夢とうつつを幾度となく行き交い、その時代を生きる一人の女として恋に落ちる。
江戸時代、平安時代、そして現代。
女はみんなその時代の”さだめ”を受け入れ、時代の波を静かに、時に荒々しく渡っていく。
そんな女たちの恋する気持ちはいつの世も変わることはない。
恋することは苦しい、切ない、愛(かな)しい、そして、いとおしい。
伊勢物語をモチーフにした川上さんの渾身作。
年明け早々とても優雅な気持ちに浸れていい気分を味わった。
私もたとえ夢の中でもいいからこんな風に時代を渡り歩き、その時代の殿方とその時代に似合った恋に落ちてみたい。
特に平安時代の開放的で艶めいた恋愛にどっぷり浸かってみたい。
新年早々素敵な夢を見させてもらった。