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伊藤野枝の評伝小説
U2 さいたまスーパーアリーナで開催されたライブで、
スクリーンに映された女性の一人は伊藤野枝でした。
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超大作だった。ほとんど名前しか知らない存在だった伊藤野枝という人物の生き様に引き込まれた。いまだに男女平等には程遠い世の中で、程遠いことを実感する出来事が続く2021年を予見したかのようなタイミングで書かれた小説であることに村山由佳さんのセンスを感じる。
彼女や大杉栄があと30年長く生きていたら、今の世の中はもう少し違っていたのだろうかと思わずにはいられない。章ごとに時系列は進みながらも登場人物それぞれの視点で物語が展開されるのは、これだけの長編を飽きずに読ませるテクニックなのかもしれない。
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甘粕事件程度しか知らなかったけど、野江という人物、思想がようやく違和感なく受け止められる時代になったのだなと思ったし、このタイミングで野江を選んだ作者のセンスが素晴らしいなと思った。
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最終章が呆気なかった。
正力や甘粕との確執、当時の公安の卑劣さをもっと説明して欲しかった。
二人がどのような最期を遂げたかも、フィクションなのだから作者なりの解釈があっても良かったかな。
源兄が復讐出来たかなども判らず仕舞い。
少女時代から青鞜社に入るまでのガッツに感動した分、その後のアレコレが余計に残念に思える。
※作者なりに野枝を弁護して欲しかった。
野枝の後半生は大杉栄抜きには語れないから仕方ないかもしれないが、後半は大杉栄物語になってしまったのも何だかなぁ
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壮絶な人生を歩んでいった人々の人生を垣間見ることができた。
国や社会のことを真剣に考えて行動するということは、本当に難しいことなのであろう。
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時代は明治から大正。婦人解放運動家の伊藤野枝(実在人物)の28年の生涯を鮮烈に描いた圧巻の「評伝小説」。3度結婚し7人の子供を産んだ。ボリュームがあるので読み終わるのに時間がかかったけれど、面白かったです。
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伊藤野枝、よく知らなかったけど唯一無二、すごい生き様。
ドラマ化されるとのこと、どこまで描かれるのか、楽しみ。
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青踏社社員であり後にアナキストとなった伊藤野枝の生涯を描いた作品。女性の評伝は誰々の妻、誰々の母という点が一般的には強調されすぎるがゆえに不適切な描かれ方をすることが多いが、この作品はつねに妻でも母でもなく、また、妻でも母でもある伊藤野枝という一人の女性を軸にして、それがぶれていないことが素晴らしい。章ごとに物語る人物が次々に変わっていくのも、伊藤野枝という人物の多面性を浮かび上がらせ、また、伊藤野枝に関わった人びとの背景も描かれていて非常によかった。「不倫の末に大杉栄の内縁の妻となった」と簡単に(かつネガティブに)記述されるだけのことが多いが、フィクションとはいえ、その一文からは取りこぼされてしまうものが丁寧に描かれている。村山由佳さんは時々すごく怒った文章を書き、その文章が好きだったりするのだが、村山由佳さんが甘粕事件から100年あまり経った今日でも変わっていない性差別への怒りを行間に含ませながら、伊藤野枝を描いたことにはとても大きな意義があると思った。
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伊藤野枝の短い生涯、その思想とともに熱く燃えたぎる愛情を描く。前半は大杉栄に出会うまでのノエ、後半は出会ってから憲兵に殺されるまでを、ノエだけでなく周りの人々の視点からいろんな角度で切り込んで、彼女の一筋縄ではいかない人格を見せてくれた。
特に女の意識を変えるには男の意識を変えないといけないと述べているところがあるが、此の時代に言ってのける野枝真実を見通す目は素晴らしい。
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600超というページ数に反して、この読みやすさ。文章のリズムが巧みだからだと思う。
ひとつの出来事を過剰に引っ張ることなく、緻密な下調べに基づいて綴られている。人物像が魅力的。
特に、今宿時代や上野高専時代の野性味溢れるノエが印象的だった。
生と死というものは表裏一体で、死を恐れすぎるうちは十分に生を全うすることができないのかもしれない。
この本を読むと死への恐怖といった観念が薄まりそう。
それにしても、なにごとも潜在しがちな現代に比べて、激しく鮮烈な時代だと思った。
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本の雑誌・2020年ベスト作品。まずボリューム感にちょっとひるむんだけど、人物伝というより、普通に面白い小説として描かれているので、すぐに気にならなくなる。伊藤野枝について何も知らないので、人物を知る意味でも興味深く味わえた。愛だ恋だの描写が強まって、主義主張がぶれる中盤、ちょっとだれた感じがしてしまったけど、圧巻のクライマックスで帳消し。素晴らしい作品でした。ちなみに、先だって途中挫折した”パンとペン”もこの界隈の物語だったけど、ノンフだった分、しんどく感じたのかも?本作読了後の今だったら、もう少し楽しめる気がしてきた。
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村山由佳の振り幅すごい。
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“子どもでいたいのではなく、自由でいたいだけだ。”(p.131)
“女だけが我慢を強いられるような社会は、きっといつか終わらせましょう。”(p.186)
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主義主張とプライベートは別だ、他人を動かす野性的な情熱は魅力的だ、と思う反面、こどもさえ捨てる人間がいくらきれいごとを言ってもと思い。
ページを繰る度に反射的に生まれる主人公への生理的な嫌悪感と、それだけで切り捨てられない彼女を知りたい気持ち。
野枝を通して、女である自分、一市民である自分を見つめる機会になった。
とても疲れる読書時間だったが、有意義でした。
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まるで火のように熱く、向学心の塊のような伊藤野枝の生き様を見せつけられた。もしかしたら作家に伊藤野枝が憑依したのではないかと思うほど、常に高い緊張感を強いられながら読破したような感じだ。ただ唯一残念なのが最後に出てくる甘粕だけがステレオタイプに感じてしまい、少しリアリティーに欠けた。やはりそこは歴史上、ベールに包まれているからだろうか。
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明治、大正の荒波を駆け抜けたアナキスト伊藤野枝、大杉栄の壮絶な物語。大作、651ページ。二人と取り巻く人々の息遣いが聴こえてきそうだ。38歳と28歳の生涯。生きていればどんな生涯を送ったのだろう。