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紙の本
SFとハードボイルド
2002/10/25 02:33
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ray - この投稿者のレビュー一覧を見る
SFとハードボイルドの合わさった作品は少なくは在りません。
代表的なものではラリー・ニーヴンの『ARMのギル』シリーズやディックの『ブレードランナー(アンドロイドは電気羊の夢を見るか)』等があります。
しかし、特にブレードランナーの影響なんでしょうが、『SF』+『ハードボイルド』=『サイバーパンク』というステレオタイプな作品が多い様に感じられる事もしばしばです。
そんな中で、この作品は『サイバーパンク』ではなく、『SFハードボイルド』と呼ぶのにふさわしいと思います。
確かに舞台設定や小道具はSFの物です。しかし、読者の頭の中に浮かんでくる登場人物像は『トレンチコートにソフト帽姿の殺し屋』や『汚いスーツを来こんだ中年の刑事』、『陽気なバーテン』、『安タクシーの運転手』等、紛れも無くハードボイルド小説の登場人物です。
彼等が読者のお馴染みの口調でお馴染みの会話を繰り広げている姿は、やはり『ハードボイルド小説』と呼ぶのに相応しいと思います。
この作品はこの作者の作品の中でもやや変り種ではあるとは思います。しかし、その中でも一寸した会話や連作形式の作品間の関連などの巧みさはこの作者の持ち味が表れていると思います。というよりは、今までのライトSFノベルズの形では『洒落』の形でしか表せなかったハードボイルド嗜好が存分に発揮されたのがこの作品なのかも知れません。
この作者のファンの方で無くてもハードボイルドファンの方は一度は読む価値があると思います。
紙の本
この表紙だけは……いただけません。
2001/08/01 22:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:谷池真太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
すちゃらかSF作家で未完の帝王の異名をとったこともある遅筆の人・火浦功が大昔に書いた、ハードボイルド作品集。「好きな小説のジャンルはハードボイルド」と公言するだけ会って、入魂の一作である。
ただ、再版されたことは非常に喜ばしいことなのだが、この表紙は作品のイメージとはまったくそぐわない。この作品は、純粋な、男のハードボイルド(火浦功風味)なのだ。
紙の本
羊の皮を被った狼
2001/08/06 19:28
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ほし - この投稿者のレビュー一覧を見る
長らく入手困難だったが、このたびようやく復刻し日の目をみた作品なので、持ってない人はぜひ買っておこう。
洒落た会話はあるけれど、お笑いなし、全編シリアスという普段の作風からは信じられない作品集。お笑い作家と見せかけて、実はハードボイルドも得意分野なのであった。ひとつの街を舞台として、一話ごとに主人公が異なり、なおかつそれぞれにつながりをもっているという設定も楽しい。ハードボイルド好きの読者なら見逃せない隠れた傑作だ。
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