紙の本
歩く、歩く、歩く
2022/04/23 21:17
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投稿者:hachiroeto - この投稿者のレビュー一覧を見る
ひたすら昼飯を食う「孤独のグルメ」に対して、こちらはただひたすら歩く。そのことの、なんと圧倒的に自由で、豊かであることか。町の景色。ちょっとした驚き。そんな日々の光景が、宝物のように描かれている。
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造本も良い、もちろん絵も良い。すべて心地よい作品。少し前の郊外(モデルは清瀬市だそう)の景色や人の姿も懐かしい。このゆったりした紙の本が何とも言えない。
なお、最後のフランスなど欧州で出されたものはちょっと読みにくいのは右からよむ日本式になれてしまったせいか?説明的なものも不要だろうと思うが、西欧人には必要なのかもしれない。
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取るに足らない情景を愛する価値観にはとても共感するし、散歩も大好き。だから『孤独のグルメ』も、『散歩もの』もある面では神レベルで好き。…なんだけど、人物の絵柄が好みでないせいか、「大好きです」とプラカードを掲げたい気持ちにまでなれないのが正直なところ。
また、最近オノナツメばかり読んで女性が描く(理想の)男ばかり見ていたため、「歩くひと」からほのかに薫ってくるリアル(?)なオヤジ臭さに思わずたじろいだ。
でも風景の絵はとても緻密できれいで、全体の空気感というか、この余白をへたに音楽で埋めないでほしいと願いたくなる「間」みたいなもの、読んでいるだけで夏の日差しや雨の匂いが感じられるところなど、さすがの一言。
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是枝裕和 埼玉県との県境にある清瀬という小さな街の公団住宅だ カタクリの花は群生と呼ぶ程は多くなく 仕事で心が荒んでいたからか いつも苦心惨憺しているいる人々の小さな営みの積み重ねと豊かさが 細密に描かれてはいるものの 名所旧跡 風光明媚 キャンバスを据えて 僕は限りない羨望を抱くのである 欅の木 午睡 縦柱に 東京西郊せいこう 笠智衆あるがままに 佇んで 原獣辞典 知己ちき 依って かひん佳品の揃った短編集 優れた詩や音楽はそれを実現していると思うのだが漫画はやっていないのではないかと思い、そこに行ける気がした。記憶を掘り起こす犬を友として。
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図書館でたまたま見つけて借りてきた。谷口ジローのルポ的漫画はまだ乗り切れないところがある。また歳をとってから読もうか。
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谷口ジローが1990-91年に連載していた自身の原作・作画による記念碑的作品の1つ。タイトル通り、妻と2人で暮らす40歳くらいの男がひたすら適度に自然が残る町中を歩くだけの作品なのだが、ここまで静的なマンガというのは初めて読んだ・・・といっていいくらい、日常生活の静けさに溢れている。
17つの話で構成されているが、各話にストーリー的なつながりは全くないし、それぞれの話の中でも特に明確なストーリーというものは存在しない。何せ幾つかの話においては、全くセリフすら登場しないのだから。
ただ一人の男が町中を歩き続け、自然の風景やそこで暮らす人々の営みに出会いながら、妻が暮らす自宅へと帰っていく。その静けさへのこだわりは正直若干の恐ろしさすらあり、極めて平和なマンガであるにもかかわらず一種の前衛性すら感じてしまった。
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ただ歩いているだけなのに、どうしてこんなに素敵なのだろう。美しい風景や驚くような出来事に出会うわけでもない。淡々と近所を歩く。それだけなのに、心が豊かになる。緻密に書き込まれた絵と極力そぎ落とされたセリフが、人生の愛おしさを語りかける。路地を抜ける、よしずを買って帰る、雨の中を歩く、海を見に行く。何もないからいい、歩いているだけだからいい。私も外へ出て歩いてみよう。
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谷口ジローも散歩が好きだったんだろうな、と思わせる。歩くひとは歩くこと自体を楽しむ。通い慣れた道でも、たまには違う路地を選んでみる。そんな日常の風景を瑞々しく切り取った、谷口ジローにしか描けない名作。
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・世界が激しく変わろうとしている今、移動する、生活するスピードを私たちは問い直さざるを得ない。谷口さんはそんな時代を予見したかのように、立ち止まり、深呼吸をし、空を見上げて来た。あなたたちは相変わらず時間に追われながら私の脇を、小走りに通り過ぎていくのか。