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川上弘美さんの小説を読み終わると、毎度のことながら時間がしばらく経つまで、その世界観にどっぷりとはまりこんでしまう。文章のリズムのせいなのだろうか、どっぷりと浸かってしまったときは一気に読み込んでしまうのに、足先だけをほんの少し浸けたくらいでは読み進めるのは容易ではない。チーズや漬け物と似ている、発酵されゆくほどに浸かりきってしまう。その独特さ。毒毒しさに。
初期の作品ではゆったりとした中に棘を隠していて、少し気を抜いてしまえば刺されそうなほど攻撃的だったのに、今回読んだ「ざらざら」は沼の底にいるような、おどろおどろしい雰囲気がして呑み込まれそうになる。
それにしても解説の吉本由美さんのいう通り、川上弘美さんは男の子をかくのがうまい。彼女が所々で登場させる男の子(高校生以下)には、実の所私も結構どきどきさせられている。
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二十三の短編からなる本。読み始めてしばらくは、実に下らないと思いつつ、それでも一編一編が短いので読み進むうちに妙な面白さに心地よくなる。そうなれば作者の思う壺なのかもしれないが、なんだか知れぬ心地よさがあるのだ。何処にでもありそうで何処にでもなさそうな、普通のようでいて普通でなさそうな。そうか、こんな会話をしている女達がいるのか、などと納得してみたり、とにかく面白さに嵌ってしまった。中でも好きな三編は、「山羊のいる草原」修三ちゃんがいい! 「椰子の実」これはちょっと泣ける。
「月火水木金土日」ちょっと不思議なとこが異色といえば異色。
わたしは、この三話がお気に入りだった。読む人によってそれぞれのお気に入りが見つかりそうな、そんな楽しい短編集だ。
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川上弘美は初期の「神様」や「蛇を踏む」のように幻想的な感じの作品が好き。本作収録では「月火水木金土日」だけがそういう感じ。
ただ、この短編集を読めるのは人の描き方がうまいから。人って、何かあった時にすぐ怒りとか悲しみとかにいかないと思う。そういう時もあるけど。ドリカムの歌詞「抱いた膝に次々にこぼれるしずく、そうかわたしずっと泣きたかったんだ」みたいに、自分の感情にすぐに気がつかないような、そういう描き方がうまいと思う。
ふわふわとしたマシュマロの中に悲しさ苦しさ、嬉しい、楽しい、怒り、そんな感情がくるまれている、そんな短編集だ。
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雑誌『クウネル』に掲載されていた短編。
言われてみれば一部覚えがあるような。
「えいっ」と杏子と修三ちゃんが好きです。
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いい!好きだー しばらく離れていたけどやっぱり好きだ。
いま、読むからかしら。
センセイの鞄びいきの私としては、こういう恋愛もののがしっくりくる。
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ひとつひとつの話はあまりインパクトがなく、寝て冷めたらストーリーを忘れてしまいそう。
ただ、ところどころの表現や思想はやはり秀逸。
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断片的だと思った。別にいい話でもないし、特に感動させようとしてるとかでもない。
だからかな。何となく鞄の中に入れっぱなしにしておきたくなる感じ。
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弘美嬢の短編が23篇も読めちゃいます。
やはり川上弘美。今作もラスト直前に「月火水木金土」という短編で『これでよろしくて』と同じ仕掛けがなされています。
この仕掛けは一体何なんでしょう?? 儀式??
「びんちょうまぐろ」「同行二人」「椰子の実」「桃サンド」が良いです。
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いろいろ目線。思い当たる時間を過ごしてきたし、こんな時間を過ごすのだろうかとぼんやり思った。 春の色のオレ目線が新鮮で良かった。
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さらりと読むことができて、でも十分楽しむこともできて、いいなってカンジ。
この著者ならでわの不思議さが、いい方向で効いている印象。
ショートストーリーで積み上げられる「何か」の雰囲気も素敵。
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久しぶりに手に取った小説はやはり川上弘美。
クウネルで連載していた時から単行本化を楽しみにしていた。
短編だからということもあるけれど、すごくさらっと読める…読め過ぎるかも。日曜の午後にはぴったりだけど。
吉本由美さんの解説も良かったです。
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いつも読むほどに怖かった川上作品が、あれ?怖くない?
それは私が変わったから?それとも川上作品の新しい側面が出たから?
解らないけど、きっとどちらもなんだろう。
女は進化する生き物なんだな、きっと。たぶん。
じっくりと夢うつつを漂いながら生きていく川上の女たち。
恋したり、うだうだ言ったり、人を大切に思ったり、嫌いになったり…
「びんちょうまぐろ」
「山羊のいる草原」
「パステル」
「淋しいな」
「笹の葉さらさら」
「草色の便箋、草色の封筒」が好き。
特に秀逸なのは「びんちょうまぐろ」「パステル」かな。
キャラクターがいいのは「草色〜」
「淋しいな」は…女の作品って感じがする。
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昔の恋愛や、淡い思い出がフラッシュバックするような短編集。ほろ苦くてほのかに甘い。そのストーリーに合うように、表記に気を配っているところがたまらない。
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かつて単行本で読んだのを忘れていて、つい文庫本を買ってしまったので、もう一度読み直してみました。
それにしても上手いなぁ・・・。プロの作家に対して失礼な云い方ですが、でもやっぱり、川上弘美さんって上手いなぁというのが率直な感想です。
この本は、23の物語からなる掌編集なのですが、わずかなページの中に、日常の一場面や、感情の浮き沈みをぎゅぎゅぎゅぅぅぅっと凝縮させてしまうだけでなく、登場人物がこれまで歩んできた道のりや、背負ってきたものや、ときには胸の奥底の襞々までを、一瞬にして読者に分からせてしまわなければならないのですから、それはプロの作家でもなかなか難しいことなのだろうなと想像がつきます。しかも、川上さんの場合、切なさも、哀しみも、深刻ぶらずに、やさしくふわふわした、やわらかい感じで語られるので、言葉選びのセンスもピカイチなんだろうなぁ。
・・・と、いうようなことからも、川上弘美さんの文章って、やっぱり良いなぁ。ステキだなぁ。上手いなぁと思いました。
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短編集って一気に読んじゃうと全部の話がごちゃごちゃになってしまって,あんまり頭に残らない...ので,これは寝る前に2,3話ずつ読みました.どの話も川上さんらしい不思議な感じの素敵な話でした.