紙の本
カテゴライズされない強く美しい関係性。
2021/04/12 16:36
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゲイリーゲイリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
暴力に魅了され類まれなる強さを誇る主人公・新道依子。
とある騒動がきっかけとなり新道は、暴力団組長の娘である内樹尚子の護衛を任せられることに。
本作の魅力は何といっても彼女たちの関係性であろう。
喧嘩をしている時にこそ生きる実感を得られるほど暴力に魅了された新道と、組長である父親から愛玩動物のように扱われ自由を奪われた尚子。
どちらも社会や世間一般が定義するような女性像とは程遠い。
それでも彼女たちは、自らの力で既存の価値観に抑圧されることに抗い続ける。
その姿の美しさやカッコ良さは、男女問わず胸に迫るものがあるはず。
彼女たちが築いた「友人」や「恋人」でもなく「夫婦」でもない、誰にもカテゴライズされない一蓮托生の関係性。
その関係性の根幹には、「友愛」でも「愛情」でも「性愛」でもないカテゴライズされない彼女たちだけの感情があるのだ。
本作では他にも、まるで映像が頭に浮かんでくるかのような格闘シーンや、彼女たち以外の登場人物のキャラクター造形も魅力に上げられる。
生々しくリアルでありながらも、どこか爽快感を覚える格闘シーンは是非映像化してほしいと願わずにはいられない。
個人的に最も魅力的だと感じたキャラクターである柳も、決して良い人ではない一方で、悪人と断定することもできない多面的な人物。
「有害な男性」としてではなく、あくまでも中立的でフラットな人物として描かれる柳のような人物こそ、もっと評価されるべきだろう。
小説では女性の登場人物は下の名前で表記されることが多い。
しかし本作では「新道」という苗字で書かれている。
そういった細かいこだわりからも著者が、女性像の崩壊そして再構築を願っていることが垣間見えた。
それと同時に、押し付けられた価値観に抑圧されることなく、自らの力で勝ち取ってやろうと血が沸騰するような力強さを与えてくれる作品だ。
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疾走感がある展開で、一気に読めた。
小説だからできた仕掛けではあるんだけど、描写が映像的で映像化も期待したくなる。
宮藤官九郎に、ハードな中にたまにユーモアを入れる感じにやってほしい。
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一気読みした…めちゃくちゃ面白かった。読むバイオレンス映画。そして最高のロマンシス。雇い主と雇われた人間じゃない、でも友人でもなく、恋人でもないふたりの名前の付けられない関係もさることながら展開のすごさよ…ミスリードというか自分が先入観でものを見ていたことに気がついた瞬間膝を叩いたわ。ほんっとに面白かった!!!!
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怒涛の展開。叙述トリックめいたものもあり。サラッと読めたが、結局タイトルは本文中では伏線回収されてないような。
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巧みな構成と血が煮えたぎるようなアツい展開…!
依子の戦闘シーンはまさに手に汗握るというか。「戦うために生まれてきた」というのがピッタリですね。
依子と尚子の関係性もたまらない。私はそれをどうしても愛と呼びたくなってしまうんだけどな。
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良い! 最近、自分の本選びセンサーがビンビンだわ〜。平山夢明『ダイナー』以降、ぶっ飛びバイオレンスの中毒症状が続いていて、この間ライアン・ギャティス『血まみれ鉄拳ハイスクール』があんまりだったので中毒症状に手が震えていました。
昨日の夜、カフェで残業した帰りに買ってから止まらなかった!一気読みで読了。
アクションはもちろんよく描けているし、テンポも密度もハイレベル。守られるヤクザの組長の娘と格闘家女子の関係性が瑞々しくてソウルフル。周りの下衆男達との対比で生き抜く魂の美しさが際立ってとても清々しい読書感。無用なエロを絡ませてくる菊池秀行や夢枕獏なんかの国産バイオレンスより私は断然こちらが好み。
そしてそして、二段階ロケットかよ!のストーリー展開は完全に予想外だった。
口、開いたわ。
すんげー面白かったし、泣いてもーた。
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新年から一気読み。
もっと長くしてもよかったんじゃないかなと思う。
柳や尚子、尚子の母親ももっと登場させて、ガッツリ長編で読みたかったと思った。この長さではもったいないかな。
でも発想が新しくて2021年いい読書で始まりました!
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騙されこそしたけど、ちょっとあっさりし過ぎかな。。。
もう少し2つの話を並行させて、上下2巻くらいの分量にしても良かったのでは、と思う。
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おもしろかった!シスターハードボイルドで、本格的かはともかくがっつりエグいやくざもの。友情でも恋でも愛でもない、何者にもなれなかった二人の関係性と、良展開を生み出す構成にやられました。事前情報はあまり入れず読んでほしい、、。とてもサクサク読める。
ネットの感想ではラストへの賛否が見られたけど、私はラストまで含めて好きでした。
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暴力に生きる女と暴力団長の娘の友情物語、とてもよかった…
どちらにしても「普通の世界に生きる普通の人」ではなく、それでも「普通の人」なんだなぁという。面白かったです。
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登場人物の個性が濃い。
逃げてる夫婦はあっちの二人かと思ったら、こっちだった。
ラストまでの疾走感とラストの寂静とのギャップ。余韻。
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特に理由なく暴力を求め、ヤクザをなぎ払う女、新道がとにかく強い!カッコいい!!シッ!
お嬢さんの悲しさの対比がまたいい。
単行本化で、新道の強さや二人の関係の記述が増えてないかなと思ったけど、加筆はそこまで多くはなかったかな。でも満足。
表紙がまたカッコいい!
出版社のTwitter(https://twitter.com/Kawade_bungei/status/1313810215846862848)で、挿画全面を公開してくださってますので、好きな方は必見。
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王谷晶さん流『お嬢さん』!内樹&宇多川が上月(チョ・ジヌン)で、柳が藤原伯爵(ハ・ジョンウ)、お嬢さんはキム・ミニ、と脳内再生しながら読んでしまった。
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六本木TSUTAYAにて。目を引く表紙で、あらすじを読んでテーマもジャンルも大好物かも!と即買い。
読み終わったあとは90分くらいの映画を観た気分。ちょっと駆け足すぎるかな。面白かったけど、せっかくみんな魅力的なんだからもう少しバックグラウンドをしっかり欲しかった。
読み終えてからババヤガの意味を調べてタイトルの素晴らしいさを感じた。
Baba Yagaはスラブ民話に出てくる妖婆で、森の中に住んでいる。
なるほど。。
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後半20頁くらいからが本番といった感じ。
なるほどシスターフッド、ハマる人がいるのもわかる気がした。