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65年もの狩人生活の中で約60頭ものクマを仕留めてきた姉崎等氏と、アイヌ語研究者でもある片山龍峯氏による対談本。
アイヌの村で育った姉崎氏の幼少期の話や、そこで見聞きしたアイヌ独特の儀式や知恵、自身の戦争体験、更には氏が協力した北海道大学のヒグマ調査の話題まで、本当に人ひとり分の「人生」に触れてしまったような、濃密な読書体験でした。
姉崎氏が村田銃1丁で対峙するヒグマは、単なる狩りの獲物ではなく、かと言って神格化し過ぎるわけでもなく。自分と同じように知恵と感情を持ったひとつの“命”としてクマと向き合ってこられたんだなあというのがひしひしと伝わってきて、姿勢を正さずにはいられません。
漫画『ゴールデンカムイ』(野田サトル/ヤングジャンプコミックス)でアイヌ文化に興味を持ち始めた方にも是非おすすめしたい1冊です。
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本だからこそ体験し得ないことを得られるなぁ、と本の良さを実感した一冊。
冬眠前は、お腹いっぱいにしてこもるのかと思ったら違うんだ、とか。
人間から見えてなくても、クマはこちらをみてる、とか。
知床でクマみれなかったけど、見られてた可能性はあると。
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違う理由で手に取った一冊だが…
ものすごく為になった(笑)
実体験に勝る説得力はなし
熊をお師匠さんと呼ぶアイヌ最後の熊打ち…
なんだか矛盾があるような気もしたが読んでみると、成る程ねってところでしょうか。
相手を知るには対等に向き合うこと、受け入れること…それはとても大事なことなんだと改めて考えさせられた一冊でしたとさ。
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アイヌの文化も、自然のままの森も、クマも、クマを撃つ人もみんな失われていくのだな。仕方のないことなのだろうか。
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カテゴリはあえて「実用書」に。
姉崎さんの話を聞いていたら、クマが愛おしくなった。
クマは平和主義者で、本来人を襲うような動物ではない。
クマは人間が怖い。
クマは人間をよく観察している。
ルールを守っているのはクマで、守らないのは人間。
無性にクマに出会いたくなる。
私がもし山でクマに出会ったら、こうするぞ。
じっと立って動かない。大声を出す。
子グマのほうは決して見ず、かつ親グマから目を逸らさない。にらめっこで根くらべ。絶対に逃げたり走ったりしない。
車のガラス窓のパッキングを常に携帯し、ヘビのように振り回す。持つ銃は、1弾式の村田銃。
もし最後の最後で、クマに組み伏せられて食われる寸前の段階になってもあきらめない。
こぶしを作って腕を思い切りクマの口の中に突っ込んで、クマの舌をつかんで引っ張る。←できねえ〜
あとは山(クマのテリトリー)に入ったら、食べ残しを絶対に山に残さない。
人間の習慣で(クマは)悪者にされちゃったんですよ…という姉崎さんの言葉が身にしみました。
良書。
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今年最初の一冊は
アイヌ民族の最後の狩人姉崎等さん
(姉崎さんはアイヌ民族と日本民族の
二つの民族の血を受け継がれていました)への
片山龍峯さんの何回かにわたるインタビューを
文字におこしまとめた“クマにあったらどうするか”
です~
全国でクマの被害が報告されていますが
もともとクマは人間の近い所に住んでいた動物、
極力人間に会わないようにと暮らしていたのが
なぜ人間が襲われることが多くなったのか
帯にもあるように
この本はクマ知るための教科書です!
“クマは人を観察している”
“一度人を襲ったクマは駆除しなければならない”
“もともとクマは人間の傍で生きてきた”
クマの食物が減ってる現実は、気候やクマの出産だけでなく、原生林を伐採して、成長の早い針葉樹ばかりを
植林したことにも原因がないとはいえません
“規則をよしんば作っても
クマの方は守るかもしれないけれど、
人間の方は守らないでしょう”
という姉崎さんの言葉はとても重く、深い言葉です。
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冗長な言いまわしのように思える箇所もあるが、語り故の、しかも山を、クマを知りつくした姉崎氏ならではの話と思うと、感慨は深い。みずから山に入っていったような臨場感が伝わってきた。
クマに対処する方法はそれぞれあるようですが…私は出あわないよう祈るのみ。
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特定の文化のなかに生きていた人独特の感覚というものがある。
その感覚を字に起こして共有してもらえることの、幸せというかなんというか。
私には一生わからないだろうけど、人間だってやっぱり動物なんだ。
そんなことを思い出した。
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3年積ん読してやっと読んだ。植木ななせさんの表紙絵がかわいい♪姉崎さんは父は福島からの屯田兵で母はアイヌという、大正生まれ。ヒグマ猟はもう禁止されてるから、「最後の」狩人なのね。
陸軍病院で痔瘻治療していた兵隊さんを見て、クマの止め糞に対する知見を得たとか、なんなのこの人、面白すぎる。クマがベルトを怖がる話、ムジナの毛よじり、コクワの蔦の水はおいしくない、ソ連の捕虜時代フップチャで食いつないだ話、ホパラタの話、などなど。金カムに出てくるアイヌの逸話がわんさか出てくるよ。
アイヌと和人のハーフということで、アイヌからも差別を受けていたという姉崎さんの一言一言が深い。クマしか信じていない感じ。
「悪い神様のいたずらの方が早いから」とか「規制をよしんば作っても、クマの方は守るかもしれないけど、人間の方は守らないでしょう」とか、印象に残ることをおっしゃるなぁ。
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アイヌの最後のクマ撃ちである姉崎等さん。インタビュー形式によって書かれた本書は、その生涯から魅力的な知恵を学ぶことができます。「クマにあったらどうするか」。世間で言われている対処法は本当は正しいのか。その答えを知るためには、クマという生き物を知らないといけません。「クマは師匠」と言う姉崎さんからは、クマについての生き生きとした知識が次々と出てきて、非常に面白く学び知ることができました。そして世間のクマに対する偏見が、人間とクマ双方に問題を発生させている現実があること。絶滅危惧種であり、人間に危害を加え得ることもあるものに対する対処の矛盾。その解決の道しるべを知ることで、同じような矛盾に対しての方策を学ぶことができると思います。このような考え方が、どうしてかできない人間が多い世の中に、貴重な生き方の筆跡を残されたことに感謝します。
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「アイヌ最後のハンター」の聞き取り記録。
クマとの遭遇の対処法だけじゃなく、クマの習性、クマとのつきあい方、アイヌの習俗、山での生活・サバイバルなど、我々には知り得ないし体験し得ない話が多い。経験の豊富なベテランハンターならではの語りに舌を巻く。
ちょっと話を盛ってるんじゃないの?とも思えなくはないけど、実に面白い。
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元アイヌの最後のハンターである姉崎さんとのクマ(ヒグマ)に関するインタビューがまとめられた一冊。
クマとはどんな生き物なのか、どんな生活なのか、何故里の動物と呼ばれているのか、何故人を襲うことになるのか、人の共存の仕方は、どうすれば襲われたときに助かるのか。そしてアイヌの狩猟の方法も。質問者が聞いたことを、ハンター視点で答えている。クマへ怖いイメージを持っている人も、和らげることができると思う。
人との共存という点では、彼らの住む環境を壊してきたこと、人が山でのルールを守れないことが、住む領域の似通っている人とクマではネックになるなという感想を持った。
自然動物を狩り、減りすぎたから保護しようという一連の流れの中で、人はどうしていくべきか。その生物の正しい知識を持ち、あらゆる人が自然界を意識しなければ共存していくことは難しいなと感じる。
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アイヌ民族最後の一流の狩人が熊と狩猟についてすべてを緻密に語ってくれてて、その膨大なインタビューを文書化した貴重な一冊!
20年近く登山を楽しんでいてバリエーションルートも歩く身でありながら、この人に比べて山の経験や知識は恥ずかしながら足元にも及ばないと痛感しました。
現場人だからこその経験値と洞察力がすごすぎて、ため息しか出てきませんでした。
また後半に山の自然破壊についてさり気なく語っていますが、人間が異常に独占的すぎるんだなってマジ思いました。
力もあるんだし今こそ山の生き物たちや未来人にむけて森を再生するタイミングじゃないかって思いました!!
(今までの環境破壊を猛省し、森の再生に徹底的に税金が使ってほしい。将来投資だし結構ありだなって思います。)
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アイヌ最後の猟師と呼ばれる姉崎等氏は、猟の対象としながらもヒグマをカムイ(神)として敬う、伝統的なクマ撃ち。 本書は片山龍峯氏によるインタビューをまとめたものである。 自然と向き合いながら蓄えた英知は、一つの文化として興味深く、貴重な記録として伝えていかなければならない。
姉崎氏は大正12年に屯田兵の父とアイヌの母の間に生まれ、12歳で父を失ったために、猟で一家の生活を支えることになった。 兵役で樺太に渡るも敗戦、引き上げののち結婚し、イタチやムジナを獲る猟師になる。 やがて毛皮を目当てにクマ撃ちに。 クマを師匠と敬い、山の歩き方をクマの行動から学び、猟師として成長してゆく。 氏の語る、猟師としての極意や熊の生態、それぞれの領分を守りつつ共存してゆくための知恵は、経験に裏付けられた説得力に満ちている。
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面白かった。くまの生態が面白い。良い熊と悪い熊の見分け方、目付きが悪いやつは悪い、人間と一緒ですね。ほぼそうですね、とか、ほっこりした。
若い熊はイキってる、大きな熊は落ち着いている、とかも、人間と一緒な気がした。
若い熊が血気盛んに人里にも顔を出したりする。モラルのない若い人が熊の住む山にごみを残したりする。
人間と熊はもともと、居住空間が近い動物だったという。熊と神の音が似ていて、語源が同じなのもそのあたりと関連がありそう。お互いがうまく暮らすには「熊は危険」というレッテルを貼って張り合うのではなく、「見て見ぬふり」くらいの距離感がいいという。
野性動物といっても、人間の活動を受けて変化している、というのに、何かはっとさせられた。自然讃歌(人間が悪)派 VS 人間の進歩主張派の、着地点を、かすかに見た気がした。
そういう意味では、人間だってどこまでいっても自然の一部だ。自然を離れたところから扱ったり捉えたりするのではない、自然のなかでの私たちの「振る舞い方」について考えさせられる本だった。動物たちも、私たちを、じっと見ている。