投稿元:
レビューを見る
定年前に異動した部署でも家庭内でもトラブル続きな癇癪持ちの泰介。ある日の認知症の母の「私は…東洋の魔女」という謎の発言の真相を解き明かそうとする過程で自分自身を見つめ直していく。現代の泰介パートと交互に語られる母、万津子の過去の壮絶さが重く読み応えがある。夢見た通りの結婚からどんどん不幸な道に進む姿が辛かった。それでも前を見つめる万津子の強さや一人背負い続けた苦しみが最後に開放される流れ、万智子から泰介の娘、萌子までをバレーボールで繋げる設定の巧みさ、萌子の指摘をきっかけに泰介の特性が明らかになり自分が変わる事で周りも変わる展開と骨組みも綺麗でとても心に響く話なのにどうもいまいち乗り切れなかったのは何故だ。前半の癇癪をすぐ爆発させる泰介がクズ過ぎて想像ついた特性が原因とはいえ後半救われ方が安易だと思ってしまったせいか。
投稿元:
レビューを見る
世間に受け入れられない息子の性質を、バレーボールを通して息子を活かすと密かに決意した母。だが認知症で綻びが。
投稿元:
レビューを見る
前半、あまりにも読むのが辛くて何度も読むのをやめようかと思ってしまいました。
80歳の母ともうすぐ定年になる息子が一章ごとに交互に語り手になるのですが、どちらもあまりにも辛くて辛くて‥‥。
母が若き日に見た東京オリンピックと、今回の東京オリンピック。母、息子、そしてその娘、3代にわたってバレーボールでのオリンピック出場を夢見る。そのくらいの前情報で読んだこの作品。
母はなぜそんなにバレーボールにこだわるのか?その謎が分かってからはもう心が震えてページを捲る手を止められませんでした。
「この世の中には、普通の人もいないし、異常な人もいない。どんな脳の特性も、人間社会にとって必要なものだからこそ、今の今までDNAが残ってるんだよ。」
これ以上は書けません。ぜひともネタバレなしに読んでもらいたいので。
娘がとても聡明な女の子。なんていい子なんだろう。
投稿元:
レビューを見る
よく言われる地域の女性蔑視問題、痴呆の問題・・・書きすぎるとネタバレになってしまうが、現在日本が抱える問題を、オリンピックに絡めて正面から描いている小説。都合の良すぎる部分も多いがそこは物語であるので、素直に感動作として読むのが正解。
投稿元:
レビューを見る
2021夏の文芸書フェア
所蔵状況の確認はこちらから↓
https://libopac.akibi.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2001012641
投稿元:
レビューを見る
女工時代が楽しそうだっただけにその後の結婚、子育て、現在の息子からの扱われ方をどんな気持ちで読んだらいいのか戸惑いが続いた。息子をバレーに集中させ、良い孫もでき、どんなにほっとしているかと思いきやずっと秘密を守り抜く母の強さが重すぎて苦しい。
投稿元:
レビューを見る
単なるオリンピックの内容だけでなく、そう言う方向の話しだったのかと膝を打った。バレーを頑張る萌子がとても良い娘で良かった。
投稿元:
レビューを見る
図書館本
認知症の母、万津子と暮らす泰介一家。娘はバレーボールの才能あり。
泰介はバレーボールでオリンピック選手にはなれなかったが、猪突猛進タイプの会社員、ちょっぴりへなちょこ。
母は東洋の魔女ではなかったか? から始まり、母の過去と、現在の泰介の生活がクロスする。
苦労に苦労を重ねて上京した母と、実は発達障害の泰介。その1番の理解者の妻や、バレーボールの才能を花咲かせようとしている娘。
新旧の時代背景を混ぜ込みつつ、綺麗に伏線回収していく物語。ほんと、綺麗に。
人は、家族は、ずーっと繋がってるんだな。
投稿元:
レビューを見る
主人公は58歳の会社員、泰介とその母の万津子。80歳で認知症になってしまった母の姿を認められない泰介は、つい冷たくしてしまう。そんな母に妻の由佳子がとても細かく行き届いたケアをしてくれているのを当たり前のように振る舞う泰介にイライラしたが、それは後半への布石だった。また、万津子が、育てやすくない子供である泰介をけっして諦めず、叱らず、叩かずに育てる姿は感動しかない。由佳子もいい人だし、娘の萌子は、泰介の今後の人生を救う程の聡明さを見せる。ジェンダーが当たり前な時代だった前半の万津子の生活が辛かっただけに、後半からは一気に読んでしまいました。いいぞ!東洋の魔女!と思いました。
考え方の癖を直していく事で、生きやすくなる。とても大事なことを、教わりました。泰介ほどではなくても同じような事を感じていたので、勉強しようと思いました。
投稿元:
レビューを見る
この本を20代で書いたことが驚きです。取材と想像力、資料の読み込みでここまでリアルにあの時代の日常を描きだせるとは。
私は母親世代がまだ万津子のような生活をしていたことを直接聞いて知っていますが…。多少残っているああいう空気も肌で感じているし。関門海峡から南に行くと、今でも一気に時代を遡るんですよ。本当に。家(うち)んこともでけんでおって、外さん働きに行くとは、家んことしよごんなかけんたい、とか、普通に言われちゃう。スーパーウーマンじゃないと、そがんこつでけんて。
あらすじ紹介で想像していた内容とはちょっと違いました。私がこの本で面白かったのは、万津子時代の生活の描写と、その流されていく様、また、泰介の変化です。
泰介の小説前半の酷さといったら、自分の夫が可愛らしく見えてしまうほど。いかんいかん、錯覚だよ?泰介の変化のきっかけや内容が読みながら、もしかしてそうかな、と感じていたことと重なり、面白かったです。
朝読書も効果あると思うけど、朝ランニングとか、朝縄跳びとかで身体動かすのも落ち着きない子には効くと思います。
投稿元:
レビューを見る
家族との関係性や愛情といった登場人物の心情が丁寧に描写されていて気持ちの変化や言動の理由について疑問を抱くことなく頭に入ってきて良かったことそれにあっている雰囲気の違いなど面白かった。
投稿元:
レビューを見る
読み進めていくのがとても辛い作品でした。でもその中でも、息子を信じ抜き愛を注ぎ続けた母の万津子、献身的に夫を支え続けた由佳子、泰介を父親へと導いた娘の萌子、自分を知り認め行動を起こすことができた泰介という存在が小さいながらもこの作品の希望へと導いてくれました。
熊本から東京へ一歩を踏み出した万津子は自分の人生を楽しめたかな。泰介、徹平の為に頑張る以外に自分のために生きれる時間が少しでもあったかな。あったらいいな。
投稿元:
レビューを見る
泰介は、頑固で自分の思い通りにならないと機嫌を悪くする見栄っ張りな性格で、しかも子供の頃から手のかかるいわゆる問題児だった。
後半のADHD発覚の流れは正直予想していなかったけれど、娘の存在に救われてよかった。
良隆くんは泰介のことを助けてくれたのか。
徹平は色々とどう思っているのかも気になる。
万津子の人生が波乱に満ちていて、苦労人だったんだなあ…。DV夫から逃げられたと思ったら実家でも冷たい扱いを受けて。他の場所に行ったのは正解だった。由佳子はとてもできた人だし、泰介がいい方向に変わった時にはもう十分な意思疎通ができる状態じゃなかったのは切ない。全部持って行っちゃうんだ。
投稿元:
レビューを見る
『個性と病気のはざまに翻弄された母の一生』
1964年東京オリンピック当時、子育てに苦悩していた母と、2020東京オリンピックを翌年に控え、認知症を患ってしまった母を行き来しつつ、自身の人生を見つめ直していく息子、泰介の姿を描く。最後まで息子を信じぬいた母の強さに心打たれた。
投稿元:
レビューを見る
人物造形が、あまりに図式的ではないかと感じたが、それは意図があることであったのか。
ただ、そのゴツゴツした感じを除いてしまうと、ストーリーや人間関係が、やや図式的というか、アイデア帳を見ているような気分になってしまうことも。