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失速気味
2022/02/15 11:59
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公がどんどん出世して政治との絡みも増え戦争も戦略的な面が中心になるにつれて、書きにくくなったのか上巻で遺憾なく発揮されていた熱と勢いが薄れてきている。特に最後の章はどうにも落ち着きが悪い。この作者の作品にしばしば起こるこの終章の失速蛇足は途中までが素晴らしいだけに大変に惜しい。
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ゲクランの妻の死、ゲクランの死、そしてシャルルの死。一時は絶頂に立ちながら運命の歯車が狂っていくさまが悲しい。
当時の歴史について調べたくなること請け合いの一作。
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中世フランスの将軍、ベルトラン・デュ・ゲクランの半生(てか回想的に前半生も綴られるので一生か)と周囲の人物を描いた歴史小説の下巻。上巻の勢いのまま最終章まで英雄譚として突っ走るのかと思いきやさにあらず。上下巻の長編ですが、読んで損なしです。
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ついに大元帥の位まで登りつめた、ベルトラン・デュ・ゲクラン。国王シャルル五世との奇跡のデュオは、民衆に希望をもたらした。破竹の快進撃を続ける武将は、いつしか生ける伝説に。だが、フランスで、スペインで、強敵に打ち勝ってきた男にも、黄昏は訪れる。その日まで―、男は太陽のように、周囲を照らし続けた。不世出の軍人と彼を巡る群像を描く歴史小説、堂々の完結編。
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上巻より、この巻の方が面白いですね。
デュ・ゲクランの栄華と喪失が、その周りの人物達の思いとからめて上手く描かれています。
ゲクランのライバルで不遇の天才・グライーと酒を酌み交わすシーンが好きです。
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フランスとイギリスが大陸の領土をかけて戦った百年戦争の時代,貧乏騎士からフランス大元帥の座にまで登りつめた自称「戦の天才」ベルトラン・デュ・ゲクランの一代記です。
上巻ではベルトランの大活躍が痛快に描かれていましたが,下巻ではついに彼の死が描かれます。私は涙もろいので,ベルトランが死ぬところを読んだら絶対泣くだろうなーと思いながら読み進めていたのですが,彼の死の瞬間は割に淡々と描かれていて,意外にもあっさりと終わってしまいました。しかしエピローグで,従兄弟エマヌエルと副官モーニの会話の中でベルトランの最期の言葉が明かされた時,そのたった3文字の言葉があまりにも切なくて涙がボタボタと……ああいかん,妻N子に借りた本なのに……。幼い日から彼が求めてやまなかったのはそのたった3文字で,彼が大得意とした戦争なんてのは,それに比べたら手慰みのお遊びに等しかったのです。それが切ない。で,彼が何を求めてやまなかったのかは,これから読む人もいると思うのでここには書きません。自分で読んでみてください。
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日本ではなじみの薄い、英仏100年戦争の英雄ベルトラン・デュゲグランを主役に据えた傑作。
作者の佐藤賢一をフランス史版司馬遼太郎なんて表現する人もいるそうだが、非常に細かく調べ上げた史実にフィクションを絡ませ、まるで実際にそうだったと思わせる手法は司馬遼太郎っぽいです。
とにかく熱く、量的にもサクサクと読める一冊でした。
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やはり長いという感は否めない。話の勢いは上巻の方があったかな。
とはいえ、文章に凄く惹きつけられたのも確か。特にベルトランを恐れる周囲の恐怖心のようなものは、ひしひしと伝わってきた。
歴史小説が苦手でも存外に楽しめる一冊。
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ついに大元帥の位まで登りつめた、ベルトラン・デュ・ゲクラン。国王シャルル五世との奇跡のデュオは、民衆に希望をもたらした。破竹の快進撃を続ける武将は、いつしか生ける伝説に。だが、フランスで、スペインで、強敵に打ち勝ってきた男にも、黄昏は訪れる。その日までーー、男は太陽のように、周囲を照らし続けた。不世出の軍人と彼を巡る群像を描く歴史小説、堂々の完結編。
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全くなじみのないフランスの歴史小説。
でもすごくおもしろかったなー。
上下巻ともボリュームがあったけど、ちょうどいい読み応え。
質、量ともによかった。
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主人公、それを取り巻く登場人物達の魅力に最後まで満喫。
上下巻では足りない!これこそ大長編で読みたい。
ベルトラン・デュ・ゲクランという人物は本国フランスではどのぐらい名を知られているのだろうか?
これだけ興味深い人物なら何度か映画化されても不思議ではないような。かのオルレアンの乙女より物語としては爽快感抜群なのに。気になるところ。
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上巻に比べると、デュ・ゲグラン自体の生き生きとした会話が減り、
どちらかと言うと周りの状況で話が進んでいく感じです。
それでもおもしろくは読めましたが、少し物足りなさは感じました。
晩年だからでしょうか・・・!?
実際登りつめていく若い時と違い、
登りつめてしまってからでは勢いは違うものですよね。
自分は変わっていなくとも、
自分を取り巻く人や環境が変わっていくのは若い頃だって同じなのだけど、
歳を取ってからの変化は何か寂しいものが付き纏います。
これだけみんなに愛されて、また好きに生きたであろうに、
それでもこの人の人生はとても悲しく感じます。
最後にモーニとエマヌエルに語らせなければ、
悲しい気分のまま終わったかも・・・。
爽やかな読後感に仕上げてくれたところに感謝です。
それにしてもこれだけの人がどうしてここまで無名だったのでしょうね?
ナポレオンの隠蔽工作って話も出てましたが、それでも不思議・・・。
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この本が読者を掴んでしまうのは、やはりゲクランの個性なのかもしれない。後書に佐藤氏のコメントがあるが、様々な古書からもあながち脚色ではないということで味わいも一層深まるというところである。いつまでもガキ大将で礼儀知らずそのくせ滅法な戦上手で戦をやらせたら連戦連勝、しかし女嫌いな醜男、一体これ以上のキャラクターが存在するのだろうかと思うほどである。脇を固めるのがやや神経質ともとれる従兄弟で托鉢修道士でもあるエマニエル、ゲクランが母との確執の中で疎遠になり、その後復縁したギョームとオリヴィエ、そして軍神ゲクランをフランス王家の復活と失地回復に最大限活用したシャルル5世。これだけ見ても
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100年戦争の英雄と言えばジャンヌダルクぐらいしか思い浮かばないけど、フランス史にこんな痛快な英雄がいたことを全く知らなかった。
ベルトランの無邪気な振る舞いは正に子供のようで、エマニエルやシャルルをはじめそれに振り回されつつも盛り立てる人々が親のようであり、その互いに思い遣る関係に温かい気持ちになる。
現代社会でも無邪気な子供を優しく見守ることのできない未熟な大人がいるように、中にはベルトランの出世に嫉妬する貴族や実弟もいる。そんな人たちには相応の末路が用意されているあたりも痛快だった。
ただベルトランの過去、実の母親に愛されることがなかった過去はあまりに辛く哀しい。
連戦連勝でフランス王家の信頼を得て大元帥の地位まで昇った英雄。嫉妬も愛情のひとつとカウントすればフランス史上最も多くの人々に愛されたと人物だと言える。でも母親の笑顔はベルトランに向けられることはなかった。こんな哀しいことなんてあるだろうか?同じ男の子として生まれたものとしてベルトランの哀しみは痛いほど解る。
男の子は誰よりも母親に喜んで欲しくて、認めて欲しくて頑張るし無茶もする。大元帥の地位まで昇るほどにガムシャラに頑張ったのに母親の笑顔を得ることなく終わったベルトランの不幸はあまりにも残酷だと思う。それほど男の子にとって、いや全ての子供にとって母親の存在は大きいものだと思う。
親の愛情を受けられないってことは最も大きな不幸だと思う。それはベルトランほどの成功を手にしたと思われる大人物であっても。