紙の本
縦横無尽
2003/08/08 17:49
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投稿者:死せる詩人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
よく『傭兵ピエール』と比較されるこの作品ですが『傭兵ピエール』をヒロイックとすれば、この作品はエピックな小説と言えるのではないでしょうか。一介の傭兵隊長からフランス軍の頂点である大元帥にベルトランが上り詰め、そして落ちゆく一生を描いたこの作品。騎馬試合に始まり、小規模な合戦、そしてフランス全土を巻き込む戦争を駆け巡り、縦横無尽に才を振るう様はまさに痛快の一言でしょう。彼を取り巻く人物も多彩で、克明に描かれています。名参謀のエマヌエル、好敵手のグライー、ベルトランをアイするティファーヌ等々。また、戦だけではなく、その裏に横たわる政治、陰謀、更には個々人々の人生などが、まるで当時のフランスの風景を目にしているかのように、情感たっぷりに語られています。少々長い物語ではありますが、佐藤賢一さんの作品の中では癖が少なく、読みやすいので佐藤賢一作品を知る最初の一歩にお勧めです。
紙の本
だって面白い。
2001/08/22 23:50
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投稿者:重蔵 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書あとがきの北上次郎氏の解説には、「克明に描かれる中世戦争絵巻は司馬遼太郎の戦国小説を読んでいるかのような興奮があり、破天荒な騎士物語には大デュマに通底する面白さがある。」とある。んで、百年戦争の英雄というとジャンヌ=ダルクが思い出されるが、著者に言わせると、彼女が追放したのはオルレアンを囲んでいたイングランド軍だけで、本作の主人公ベルトラン=デュ=ゲクランは実際にイングランド軍をフランスから放逐した英雄なんだそうだ。そんな英雄談は読んでいるだけでも面白いし、それが史実(それなりの脚色は否めない)となればなおさらなのである。
黒太子の異名をとるエドワード、隻眼の鉄人ジョン=チャンドス、ベルトランのライバルにしてガスコーニュ貴族のジャン=ドゥ=グライー。登場人物もみな魅力的だし、彼らが実在した人物と言うのがすごい。
上下2冊で分厚いので、なかなか読みごたえがあるけど、中世フランスの情景、風俗なんか浮かんできてなかなか飽きない感じ。
筆者運営サイトより抜粋。
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余計な描写説明がなく、一気に読めました。単に痛快な英雄ものというだけではなく、登場人物の背景や屈折した部分が描かれていて、とても安心して読み進めることができる物語だと思います。
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日本ではなじみの薄い百年戦争の英雄、デュ・ゲクラン大元帥と、賢王シャルルことシャルル五世。出遭うべくして出遭った二人が頂点に上り詰めるまで。
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9月26日購入。28日読了。も,ものすごい面白い…。佐藤賢一はなんとなく食わず嫌いだったんだけどひょいと読んでみてよかったです。挿し絵って大事だよなあ。
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中世フランスの将軍、ベルトラン・デュ・ゲクランの半生(てか回想的に前半生も綴られるので一生か)と周囲の人物を描いた歴史小説の上巻。フランスの歴史には殆ど知識も興味も無かったのですが、登場人物一人ひとりが多面的に丁寧に描かれており、大変面白かったです。
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軍神ゲクラン現る!久々に衝撃をうけた作品。
佐藤氏は天才じゃあ。
戦争シーンは必読。人物描写もイイ!
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時は、中世。イングランドとの百年戦争で、劣勢に陥るフランスに登場したベルトラン・デュ・ゲクラン。このブルターニュ産の貧乏貴族、口を開けば乱暴粗野なことばかり。だが幼き日より、喧嘩が滅法強いベルトラン、見事な用兵で敵を撃破する。神は、武骨なその男に軍事の大才を与えたもうた!鉄人チャンドスは戦慄し、好敵手グライーは闘志を燃やす―。歴史小説の新たなる傑作。
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英仏百年戦争も中盤を過ぎようという頃、劣勢のフランスに国王の跡継ぎとして生を受けたシャルルは、絶望の淵にあった。
そんな折、ブルターニュの貧乏貴族、ベルトラン・デュ・ゲクランがあらわれる。口を開けば乱暴粗野なことばかり、見るものの記憶に刻みつかずにはおられない異様な風貌、、、、そして、伝説的な喧嘩と戦争の強さ。彼を前に、シャルルは涙する、「我に仕えてくれるのか、、、」。イングランドの鉄人チャンドスは戦慄し、戦争の天才グライーは奮い立つ。そしてフランスの歴史は流転する。
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あとがきにもありますが、百年戦争のフランスの英雄と言えばジャンヌ・ダルク。けれど彼女が有名になった背景には後のナポレオンによる宣伝活動に負うところ大。そして、実際に最も大きな功績を残した人物といえば、このゲクランなのだそうだ。
ゲクランの異様なキャラクター、彼の周りを取り巻く人々の強烈な個性、、、本当に描ききった!という感じです。ゲクランは英雄になるべき人のはずなのに、ぶさいくだし、粗野だし、下品だし、アホみたいなことばかり言うし、どうしようもない甘ったれだったり、ひねくれたり、、、、なのに、どうして読み進むにつれてこの人物がこんなにも魅力的に感じてしまうのだろう、と首をひねることしきりでした^^。また、シャルル5世の偉大さはゲクラン元帥なしにはありえなかった、という2人の関係もすごくいい!更に、イングランドの戦の天才グライーとのからみも、すごくイイ!この辺りは女性ウケの方が良いかもしれませんね。とにかくオススメです!
あと、この作品、佐藤賢一作品の中では、女性の取り上げ方が一番まともかも^^;。いっつも、時代に虐げられて、ただ弱いまま死に潰れていく女性ばっかりなんで。これに出てくる女性は皆、翻弄はされるけど、芯の強さがあっていいです。
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ちっちゃなピースがでっかい絵になるさまが
シェフ殿の長い長い腕によって芸術的に組み上げられる
男も女も、「男の子心」を猛烈に掻き立てられる一作。
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最初はデュ・ゲクランの下品ぶりに引き気味でしたが、
後半、王太子シャルル(後のシャルル5世)と出会ってから面白くなってきました。
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1300年代。英仏100年戦争の前期の話。
イングランド軍に対し劣勢となっていたフランス軍にベルトラン・デュ・ゲクランという貧乏貴族がいた。これが,フランス王子シャルル5世に見出されて軍神とよばれるまでに至る物語。シャルル5世とベルトランは全く反対の性格であった。シャルル5世は理性に頼って熟考する。ベルトランは本能に頼って直感する。物事を決断する時は,シャルルは暗すぎ,ベルトランは明るすぎる。暗さに徹するシャルルはベルトランの直感に勇気を与えられ,明るいままのベルトランはシャルルの熟考に安心する。この2人が運命的に出会ったところからフランス軍は次々と敵に渡った土地を奪還していく。ベルトランは隙だらけの人格が幸いして,不思議と他人に居場所を作ってやる人間だった。
全2巻
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ウンコとかチンコとか言ってる高齢童貞が英雄になって童貞喪失して悪のエドワード下痢太子をやっつける話です。
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百年戦争といえばジャンヌ・ダルクが有名ですが、彼女の登場は戦争の終盤。この物語は百年戦争初期を舞台とするものです。国王ジャン2世が捕虜となり危機を迎えたフランスですが、皇太子シャルルとベルトラン・デュ・ゲクランの活躍により次第に劣勢を覆していきます。このデュ・ゲクランが非常に破天荒な人物として描かれており、読者を飽きさせません。読み物としても面白いのですが、百年戦争にはこのような展開もあったのだと、勉強にもなりました。デュ・ゲクランは日本でこそ無名ですが、フランスではフランス王家代々の墓所であるサン=ドニ大聖堂に埋葬されるなど、評価の高い人物です。この本を読んで、あまり知られていない歴史上の英雄に触れてみるのはいかがでしょうか?
読了日 2006年11月
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男性の登場人物はとても魅力的。
いつも「男も惚れる!!」てキャッチコピーを付けがちな人を主人公にするよね。佐藤賢一って。
でもその分いっつも女性がひどい。感情移入まったくできないし・・・つーか扱い悪くない??