紙の本
ライツヴィルシリーズ2作目
2021/03/05 22:42
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投稿者:とりこま - この投稿者のレビュー一覧を見る
ライツヴィルで12年前に妻を毒殺し受刑者となった男。その息子は自分も妻を殺してしまうのではないかと悩み、かつてライツヴィルで殺人事件を解決したエラリイ・クイーンに再捜査を依頼する。
男の無実を証明する事実が出てこず、モヤモヤしながら進んだあとに、残されたある証拠から導かれる事実とそこに隠された真相。
苦い後味と、ニヤリとするラストシーンが印象に残った。
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名探偵エラリイ・クイーンが活躍する、「ライツヴィル」という(架空の)町を舞台にした作品の第2弾、その新訳版です。(第1弾は『災厄の町』)
まず感じたのは、旧訳版に比べて、新訳版では第二次世界大戦(太平洋戦争)の影響を色濃く感じたこと。
1945年に発表された、1944年が舞台の作品ですが、本書の主人公であるデイヴィー・フォックスは日本軍との激戦で、戦争の英雄となりながらも心の傷で病んだのでした。
本書の解説によれば、旧訳版では日本軍に対するデイヴィーの感情を少しぼかした翻訳表現もあったように推察されますが、今回の新訳版ではそこをきっちりと訳されているようで、そのため、より戦争後遺症の苦しみ、すなわちデイヴィーの苦しみが感じられるようになったと思います。
そして、そんなデイヴィーの心理には、過去に父ベイヤードが母を毒殺した事件が影響している…ということで、12年前の毒殺事件を再調査するために、探偵エラリイ・クイーンが登場します。
この部分は、ほぼ同時期に発表されたアガサ・クリスティーの『五匹の子豚』——回想の殺人を扱った佳作——などを思い出し、興味深かったです。
事件の真相は、作家クイーンの某作とも少し重なる印象も抱きましたが、それに対するある人物の言葉が感動的です。
そして、「ライツヴィル」という町の変遷も楽しめるこのシリーズはまだ続きます。
次作『十日間の不思議』もハヤカワ文庫から新訳版が出ましたので、ハヤカワ文庫からは(ライツヴィル・シリーズではありませんが)『九尾の猫』も合わせて、クイーン中期の傑作四作が新訳で甦りました。
訳者の越前敏弥さんもおっしゃっていましたが、ぜひ、
『災厄の町』→『フォックス家の殺人』→『十日間の不思議』→『九尾の猫』
の順番で読んでみてください。
※)以上の感想は、「本が好き!」サイトに記した書評を少しまとめたものです。
https://www.honzuki.jp/smp/book/295501/review/257188/
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一時、離れていました。
久しぶりのクイーンです。
新訳という事で思った以上に読みやすかったです。
肝心の本編も面白かった!
12年前の殺人の再調査。聞いただけでもワクワクするじゃありませんか?
過去を振り返りながら調査を進めるエラリィ。
楽しませて頂きました。
面白かった‼️
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ベイヤード・フォックスの息子デイヴィーと、
タルボット・フォックスの養女リンダ
夫婦の心配事をエラリイは解決できるか?
情報を集めて集めて……集まってきた情報も加えて解きほぐす。
フォックス家はどうなるのか??
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トリックそのものは小ぶりだが、薬屋の台帳や水差しに残った跡から見せる推理は鮮やかで、らしい。そして、「ヨードチンキ」ならぬ、アスピリンの謎が、最後に悲劇的な真相を導くのにはニヤリ。
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戦争で心を病んだフォックス大尉。父が母を毒殺したという過去が彼の心理に関わっていると思われ、父の無実を証明することが彼を救う手段になるのではないか、ということで相談されたエラリイ。十二年前の事件の細部を繙き、真実を明らかにしようとするミステリ。
描かれる事件は十二年前に起こった、一見単純に見える毒殺事件のみ。ということでミステリとしては地味なんじゃないか、読み進むための求心力があるのだろうか、などと思ってしまいましたが。それは杞憂でした。フォックス大尉とその妻の苦しみ、事件が町に落とした波紋、ライツヴィルという町の雰囲気、といった物語性が魅力的。そして丁寧に過去の細部を検証していく中で起こった変事とそこから導かれる事件解決への光明、と惹きつけられる要素は充分でした。
ベイヤードが犯人ではない、ってのはもう確実なんだろうなーと思いながら読んでいましたが(笑)。しかし真相が何だったのか。ほんっと最後の最後まで読めなかった。そしてこれが最適の解決だったのですね。
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12年前に起こった事件を再調査。手がかりや証拠が少なくなかなか進まないが進みだしたら、あっという間。
真実がわかった後の事件に関わった人たちの行動が興味深かった。
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エラリー・クイーンの作品は結構読んてきたが中でも読みやすい一冊てした。
割と最後まで、犯人が絞り込めず先が見えなかったがちょっと推理できる展開ではなかったかも。手がかりがすくないし、トラップが多い。人の親としては結構考えさせられる最後。親の愛は偉大。
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一九四五年発表の作品。デイヴィー・フォックス大尉ーー何人もの日本兵を叩きつぶした「英雄」ーーの凱旋を、ライツヴィルの人々が華々しく歓迎する場面から物語は始まる。しかし実際のところ、彼は戦場で心を壊してしまい帰還したのだった。ミステリー作家として、殺人事件が核となる娯楽小説をずっと書いてきたクイーンだが、戦局が激しくなってきて、改めて「人が人を殺すとはどういうことか」をきちんと示したかったのかな…と思わせる冒頭。
後半でも、ナチスの強制収容所の話が出てくるが、それ以外はいつもの謎解きエンタメ性バッチリ。ドラマツルギー的にだいたいこういう筋書きだろうなあとは予想ができるものの、どうやってその結論にたどりつけるのかはさっぱりわからなかった。そこへ、エラリーの推理でピシッパシっとパズルのピースが埋まっていく快感はやっぱりたまりません。
私は今『ダブル・ダブル』の新訳発売に向けて、先延ばしにしていた未読のライツヴィルシリーズを今こそ読まなきゃ〜と焦っているところ。それでも、唯一読んでいたが忘れかかっていた『災厄の家』を読み直してから臨んで良かった。懐かしい面々がたくさん登場するので、エラリーと一緒にライツヴィルに戻ってきたかのような気持ちになれます。デイキン署長、マーティン判事はもちろん、エミリーン・デュプレさえ愛おしくなる不思議。
ニューヨーク組のパパ・リチャードとヴェリー部長刑事も、出番はほんのちょっとながらいい感じで出演してくれるのも嬉しい。巻末解説に「裏ベスト」なんて言葉もあったけれど、確かに確かに、エラリー初心者には響かずとも、エラリー作品に愛着のある読者にとってはかなり満足度の高い一作なのでは。好き。
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『災厄の町』のライツヴィルという町に、
大戦の英雄が帰ってくる!というところからストーリーは始まる。彼、ディヴィーも、迎える家族同様に過去に受けた心の傷のため、今も心を病んでいる。
そのためにほじくり返そうという過去の殺人事件が今回の大きな軸。
ほじくり返されたら、出てくるのは悲しい真実の他にも沢山あった…
登場人物に向けられるエラリー・クイーンの一種、冷ややかな視線など結構楽しみながら読むことができ、最後の最後まで真犯人はわからない…ということなど充分に満足出来る一冊だった。
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12年の時間を隔てての困難な調査を進めるエラリイの鮮やかな頭脳。それと平行して語られるデイヴィーの心の傷の深さが痛ましい。我々敗戦国の人には知り得ない、戦勝国ゆえの苦しみ。ほんと、戦争はイヤだ‼︎
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屋根裏探索のあたりから犯人が分かったんだけど、
これってある意味Yの悲劇。いや、まあ、しかも本人はそのつもりないから(そのつもりというのは純粋なる悪ではなく、本当にそんなつもりはないという意味の)全然ちがうんだけどね。
言うならば、救いのあるYの悲劇。
レーンはあの顛末を敢えて見過ごし、エラリイはあの悲劇を優しい嘘をつくことで見過ごした。
デイヴィーの記憶の底には自分のやらかしが潜在的に存在してて、父親の罪の問題ではなく、自身の罪の問題の発現だったとしたらめちゃくちゃ怖いし、冒頭のあれは暗示的ではある。
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「災厄の町」よりかなり読みやすくなっているのか?一気に読み切った、ライツヴィル第二作。
父親が母親を殺した、その思いに苦しむデイヴィーの心理描写は胸に迫るものがあった。結末は何となく想像出来たというか、最後の最後にエラリィが語った真の真相ではなく、皆の前で語った真相の方。そういう形になるのかな?と思いながら、終盤読み進めていたので、やはりそうか、と思ったが、その先に真の真相があった。
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12年前の事件を再捜査するクイーン。
論理パズルと回想・記憶って噛み合うのだろうかと思っていたけど、さすがに上手いねぇ。ライツヴィルシリーズの中では好みの作品だ。
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戦争後遺症に苦しむ、デイヴィー。奥さんの助言で、エラリークイーンに相談する。
父と同じように、妻の首を絞めてしまったからだ。昔の事件を説明する。
ライツヴィルという架空の町の話。「災厄の町」から新たなる展開があった。単なるミステリではなく文藝作品をエラリークイーンは目指したのだった。
自分も父と同じように奥さんを殺すのでは。戦争では人を殺すことばかり。殺して殺して殺しまくる。それが出来なくなることは死ぬことだ。
でも、もし父が母を殺してないなら、と、奥さんのリンダがエラリークイーンに過去の事件の再考察を要望した。12年前の事件。
なんか、切ないなあ。一方を取れば・・・。
途中の薬剤師の嘘はいらない。
ジェシカからの手紙。
自殺か? それともやはり。
うううう。