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ストレートなタイトルだが、内容は相当にひねくれている。主人公の葵は相当に魅力的な女性なのだろう、彼女との関係をもつ男・もちたがる男・もった男が次々と登場するが、どいつも敢えなく玉砕する。相当にこじれそうな関係も容赦なく切り捨てる姿には爽快感すら覚えた。それでいて芯は脆く、それが男たちの庇護欲をかきたてるのかもしれない。ビジネスウーマンとしてもなかなかやり手のようだが、彼女の経営する店はこの危機を乗り越えられるだろうか。
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あけましておめでとうございます。
2021年の初レビュー。
ほんとは昨年のうちに読み切って、2020年の締めの本にしたかったが、間に合わず…
島本理生さん、直木賞受賞後初の長編。期待して読んだ。
会社員の葵は、ワインバーを営んでいた母親の突然の事故により、店を引き継ぐことになる。生活が目まぐるしく変わり、様々な出会いがあり、そんな中葵がたどり着いた場所とは?
この本、おもしろいです。装丁どおりの素敵な内容。
島本さんの文章は上品で、スラスラ読める。就職せずそのまま職業作家になっただけあって、読ませるのがうまい、と思う。
しかし、実は設定が結構複雑で、感情の表現なんかも捻くれていたりする。たまに立ち止まらないと、理解できてない箇所や見落としがあったりして、奥が深いなぁ、と。
テイラー・スウィフトの「Blank Space」をカラオケで歌う葵は…かっこいいのかどうかよくわからないけど、やたら男性にモテる。しかし、僕から見ると、登場する男性が皆似ているんだよな…。
所詮、葵は外見とか雰囲気で男を選ぶんだな、
内面重視じゃないんだな、
と、心の中で毒づきつつ、
じゃあ、男の内面って人によってそんなに違うのか?
と問われると、
そんなに変わんない
という答えに行き着く(笑)
ちなみに、島本さんによれば、この本のテーマは「母と娘」なのだそうだ。
新年早々、全く読み違えた(笑)
今年もよろしくお願いします!!
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2018 年の春から物語は始まり、2020年の春まで続く。
主人公の葵と、その周りの男女をめぐる物語。といっても湿っぽさ、狡猾さというよりは、一人ひとりに対して向き合う誠実さや強さのようなものを感じた。
途中だが、
「始めなければ戻れると思って」
と、主人公が既婚の年上の男性との関係の近況を話すと、
「そうですか?」「戻れることなんて、なくないですか?」
と言われるシーンがある。
きっとそう、ここからスタートというような明確な区切りなど無いんだ。もっと曖昧で、気づいたら始まっていた、気づいたら終わっていたというようなことばかりだと今になるとしみじみ思う。
主人公を取り巻く男性が一人ひとりタイプが違っていたのが印象的だった。
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出会いと別れの中で自分1人で生きていると思いがちだけど、実は今の自分は出会った人々によって作り上げられている、と気づける話。選択肢の繰り返しで今ができていて、自分の選んだ道を逞しく生きていく話。とっても美味しいワインを飲みながら読みたくなる一冊。
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『人と関わるっていう行為のすべての最終目標は、相手を幸せにすること』
『恋愛は義務ではない。大事なものは結論よりも過程だ』
『可愛くしていれば大事にされるかもしれない。当時はそれを男性への期待だと思っていた』
『指先が離れていくときに、わずかに淋しくなって、ああ、人は人に触れることでこんなにもたくさんのものを負ってしまうのだな、と実感する。負の感情も、幸福感と、安心も』
『出会って別れて、別れてまた出会って、別れて、別れてーあと死ぬまでに何度繰り返すのだろう』
『恋愛だけじゃない。家族、友人、ペットー誰しもがどこかで分身を欲している』
『私は寄りかかっていた壁から背中を離しながら、忘れることのない、対等、の一語を胸の中で唱えた。今はもう永遠にいらないものたちを見送りながら』
母の急死によってワインバーを引き継ぐようになった主人公の葵。
モテる女性の煩悶と決断。
『2020年までの恋人たち』で連載されていて、単行本化にあたり、加筆、改題。
東京オリンピックとコロナ禍…
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沢山の出会いに翻弄されながらも、
自分の心に素直に真っ直ぐ生きていく主人公の話。
幼少期から育ってきた環境によって、自身の価値観が大きく左右されていくと実感した。
色々な恋愛の形があって、人それぞれ幸せのあり方も違う。
この作品に出会って、大人の世界を少しだけ知った気がする。お酒の奥深さにもっとハマりたいと思った!
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読み終わるまで、主人公の葵がどうなるのか先が読めないことが面白くて一気読みしてしまいました。
コロナ禍になってしまった現在の描写には少し胸が痛みました。
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島本理生さんはほんとうに負の感情の表現が秀逸だなぁ。
読むといつも自分のなかのマイナス部が刺激されて少しだけ不安定に傾く。
葵はひとりで生きたいと思いながらも言動が伴ってなくてそれがまたリアルな女の表現でさすがだなぁと。
葵が2021年の春をどう迎えるのか覗きに行ってみたい気もするな。
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1人称で書かれた私の再生の物語.ワインバーをやっていた母の突然の死から自分が引き継いで店を開く.新しいことを始めることでどんどん世界が変わっていく面白さ.過去のしがらみが清算されていく様子は痛みは伴うものの,胸のすくような感じだった.新しい恋も始まったり始まらなかったりしてそれもワクワクし,ワインの蘊蓄も含めて料理が美味しそうで楽しめました.
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読みやすい本。
1年の中で様々な男性と、出会って、別れて、また出会って、な話。
1年単位で振り返っても、私たちは本当にたくさんの人と出会ってすれ違ってを繰り返していて、本当に手元に残る人ってなかなかいないよね。
でも出会うことを続けたいよね。おいしいお酒とご飯を食べたくなるし、人と話したくなります。
地味な部分だけど、芹さんと、主人公葵の関係性が私はすごくお気に入り。お互いに自分の生き方を尊重している感じが良いな。
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2020年中に読みたかったけど2021年になってしまった。
主人公は恋多き女性で自分とは全く違う人間だと思うのだけど、なぜか共感できることは多くて、特に誰かに恋する場面や深く触れ合う部分ではすっと感情移入できてしまう、それが島本さんの小説の好きなところの一つだと思う。
といっても恋愛だけが中心ではない、親子、仕事、色々な関係性をひとつずつ結んだりほどいたりしながら、ちゃんと選び取っていく女性のお話です。
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亡くなった母のワインバーを引き継ぐかどうか、
選択を迫られる葵。恋人の港、常連客だった
幸村、試飲会で知り合った瀬名…。めまぐるしく
変化する日常と関係性のなかで、葵の心は
揺れ動き…。
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出会って別れて、迷って決断しての繰り返しの中で手放していくものと抱えていくもの。そのひとつひとつが自分であって生きてきた証のようなものでいつかそれを全て受け入れることができればと強く思う。読んでいて楽しかったり悲しかったりと揺さぶられたし何故か泣きたくなるような瞬間もあったけれど読み終わるともう少し頑張ってみようかなという気持ちになっていた。島本さんの作品をたくさん読んできたわけではないけれどこの作品が一番好きだ。人物の服装の描写も良くてさりげなく、でもその人の主張を伝えてくるような感じで楽しい。とても素敵な作品です。
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読み終えた時にバーで美味しいワインとチーズが食べたくなりました。自分のことが分からなくなることは誰しもあると思いますが、そんな時こそ過去にとらわれないようにと、葵の姿から考えさせられました。島本理生さんの作品の中では読みやすいものだと思います。
男性よりは女性の方がストーリーが入ってきやすいかもしれません。
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Twitterででてきて、装丁が可愛かったので。
大好きな島本理生さん。
今回は大人の女性が主人公。
あ、そうそうこの感じと湿度のある文章と
美味しそうな食べ物、爽やかな街の描写。
すぐ読むことが出来ました。
私は瀬名さんが1番好き。
そう思う時点で全然大人になれないと思います。
外食になかなか行けない今。
金曜の夜にお酒のお供にぜひ。